第6話 ソーニャ、メスガキをわからせる

 今日も、狂った放課後が始まる。

大助だいすけ、大助ー! 家に帰ったら、凌辱対策の特訓につきあってくだサイ!」

 声の主は同居している、キ●ガイ美少女ソーニャ。二ヶ月ほど前に、北欧から転校してきた。

 日本の凌辱ゲームばかりやったため『日本の高校は全て、肉便器を育成する機関』と思いこみ、さまざまな凌辱対策をしている。

 たとえば、ザーメンをした水溶き片栗粉を飲んだりだ。

 最近の再現度はすごくて、こいつの疑似ぎじザーメンレシピがネットで公表されれば、汁男優しるだんゆうは職を失うであろう。

「それでソーニャ、今日の特訓って?」

「凌辱で快楽堕ちしたあと、ソープで働かされるときの特訓デス」

 快楽堕ちしてる時点で、凌辱対策に失敗してないか?

(あと『ソープで働く特訓に付き合う』って……)

 ま、まさか、僕がお客さん役とか?

「ちょっと私、学校で用があるんデス。先に帰っててくだサイ」

 ソーニャが頬をポッと染めて、指で僕の胸をなぞる。

「大助は……アレを膨らませて、ソープの特訓を待っててくだサイね?」

 胸の高鳴りが止まらない。

「ソ、ソーニャ。膨らます『アレ』って、もしかして……」

「お風呂の洗い場に敷くための、エアマットです。女子の私だと膨らませるのキツいデスから」

 はい。そういうオチですよねー。

「じゃあ大助、またお家デ」

 ソーニャが投げキスをして、廊下へ歩いて行く。銀髪をなびかせるその姿に、クラスメイトは皆ウットリしていた。内面はともかく、見た目はとんでもない美少女だからな……

 先に帰るため、鞄に教科書をつめていると、


「あなたが、江口大助ですね?」


 声の方を見ると、ドアの所に、腕組みした少女が立っている。

 身長は140センチほどしかなく、ツインテールにニーソ。ロリっぽい見た目だ。

 後ろには、五人の男子生徒を従えている。

(あいつは……)

 僕と同じ一年生の、雌花めばなみのり。

 学年屈指の美少女として有名だが、それ以上に……

「クソ雑魚ざこワンちゃんたちは、お座りしててください」

「「はい」」

 男子生徒五人が、教室の隅に正座する。

 こんな風にメスガキとして、ドMの男子をはべらせているのだ。ロクなヤツいねえなこの学園。

 ちなみにメスガキとは、生意気かつ、淫らに誘惑してくるロリキャラのことだ。

 雌花めばなは近づいてきて、僕を指さす。

「突然ですがあなたを、私のワンちゃんにします」

 はぁ? と言う僕のネクタイを、雌花めばながぐいっと引く。

 そして耳元で、ささやいてくる。


「あなたみたいなザコには、勿体ない待遇でしょう?」「ざぁこ。クソざぁこ!」「私に逆らえるわけ無いですよねぇ?」


 いきなり罵倒されて、喜ぶヤツがどこにいる。

めるなよメスガキ)

 僕は普段から、ソーニャ、琴ねえという、S級美少女とふれ合ってるんだ。貴様など……


「どうしました、ヘナチョコさぁん?」「ぶ・ざ・ま」


 だが雌花めばなの甘ったるい声と、間近で見る可愛さに脳髄が溶かされる。

(くっ! しっかりしないと!)

 僕は凌辱ゲーのヒロインが簡単に堕ちたら『もっと粘れ』と怒ってたじゃないか。そんな僕が……!

「くそっ……僕はお前に、射精管理なんかされないぞ」

「いや、射精管理なんて一言も言ってないですけど……」

 してくれないのか。

 中学のとき、琴ねえに射精管理され、一日三回に制限されたものだ――

 そんな、淡い思い出に浸っていると。

「大助に、何してるデスかー!」

 戻ってきたソーニャが、僕から雌花めばなを引き剥がす。用事が思ったより早く終わったのだろうか。

「大丈夫デスか、大助」

「ああ。助かったよソーニャ。危なく、メスガキ様に屈しかけるところだった」

「『様』つけてマスけど……」

 残念ながら、もう屈していたようだ。

 頬を膨らますソーニャを、メスガキ様が見上げ、

「ソーニャ・ラーゲルフェルト! 久しぶりね」

「あなたは確か、雌花めばなみのりサン」

 名前を呼び合っている。これはまさか。

「ソーニャ、知り合いか?」

「ハイ。私が出場した『モーツァルト・ピアノコンクール』の準優勝者デス」

 たしか、欧州一のピアニストを決める大会。

 ソーニャが、両手でチ●ポしごく時に備えてピアノはじめたら、なんか優勝してしまった大会だ。

「私は、ピアノに全てを懸けていたわ」

 メスガキ様が遠い目で、過去をお話しになられる。

 僕は他のワンちゃんたちの隣に正座し、拝聴させていただく。

「でもラーゲルフェルトに完敗を喫した。私は代々続くピアニスト。世界一の演奏家になりたくて、五歳の頃から欧州に留学し、特訓を続けてきたのに……!」

 ソーニャがピアノはじめた動機を聞いたら、自殺しかねんな。

「私はピアノを辞め、違う道に進むことにした――立派なメスガキになり、男達を手玉にとってやろうって」

 意味がわからんが、メスガキ様には僕のような犬には分からぬ崇高すうこうな理由があるのだろう。

「ちょっと前まで一年生男子は皆、私に夢中だった。でもラーゲルフェルト……あなたが転校してきてからは、羨望の視線を全て奪われた! 私は二度と貴方に負けたくないの!」

「なるホド。だから私と仲のいい大助を、誘惑したのデスね」

「そうよ! ピアノで負けても、女の魅力では――」

 メスガキ様の、お言葉の途中。

 その小さな両手を、ソーニャがとった。まじまじと見て、

「手の甲と、小指の筋肉が衰えてナイ――あなた今でも、ピアノの練習を欠かしていまセンね?」

「!!」

 メスガキ様が、目を大きく見ひらいた。

 世界一のピアニストになるという夢を、諦めていなかったのだろうか。

雌花めばなサン。私この手、好きデス」

「ラ、ラーゲルフェルト……!」

 ソーニャとメスガキ様は、見つめ合う。

 友情が、芽生えようとしていた。

雌花めばなサン、この指ならきっと……」

「ええ」

「とても上手に、チ●ポがシゴけますよ」

「な、なんという暴言!! ピアノなんかやめて、メスガキらしくシゴいてろっていうの!?」

 たぶんソーニャにとっては、褒め言葉だったと思う。

「バカにしてーーー! 覚えてなさーーーい!!」

 メスガキ様は教室を飛び出した。

 後を追おうとするソーニャを、僕以外のワンちゃん五人が止めた。

「僕達が慰めます」「大丈夫」「温かい紅茶を飲ませれば、落ち着きます」

 一糸乱れぬメスガキ様へのフォローに、尊敬の念を禁じ得ない。

 ワンちゃん達が出て行ったあと、僕はうつむいて、

「メスガキ様……大丈夫だろうか」

「むー、大助ったら。雌花めばなサンにデレデレしちゃって」

 ソーニャは頬を膨らませたあと。

 目にも留まらぬ速さで、己の髪をいじった。すると何と……

 ツインテールになっていた。

 驚く僕の耳元で、全身がとろけそうなほど甘い声で、


「あっれぇ~? どうしたのぉ~?」「ドキドキしちゃってる? だっさぁ~い」「ざぁ~~こ……クソザコおち●ちん……」


 驚いた――

 スタイル抜群のソーニャが、ロリ体型である雌花みのりを超える、メスガキに見える!

「な、なぜこんなに、ご立派な、メスガキ様になれる……!?」

「私、演技の練習もしたんデス。凌辱されたとき、快楽堕ちしたと見せかけて、逆転の機会をうかがう事もあるでショウ?」

 いや、ないけど。

 ただこいつはマジの天才だ。


「今日も一人でシコシコ、ぴゅっぴゅーするんデスかぁ?」「無駄撃ちクソザコおち●ちん……」「情けない大助ぇ。私が射精管理してあげまショウかぁ?」


「くそっ! バカにするな!」

 だが結局僕は屈し、しばらくソーニャ様に射精管理された。









後書き:モチベーションにつながるので、

面白かったら作品の目次ページの、レビュー欄から

☆、レビュー等での評価お願いいたします


あと、ファミ通文庫から発売中のラノベ

『朝日奈さんクエスト〜センパイ、私を一つだけ褒めてみてください〜』

原作を担当した漫画

『香好さんはかぎまわる』

も、よろしくお願いします



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