第13話 記憶探しと再び動き出すストーリー


「質問に答えて頂き有難うございました」


「ごめんね、力になれなくて・・。」


「そんな、謝る事じゃないですよ」


私と香子姉さんで手無くした私の記憶の手掛かりになりそうな情報が無いか聞いて回っているのだがこれといった収穫は今の所無い。

得られた情報は私には「純白の英雄」という呼び名があるらしい。


「純白の戦士か・・。」


「何か思い出せた?」


「いや何も・・・」


「もしかしたら、あそこの店主なら貴方の事を何か知ってるかも」


「本当ですか?!」


「あぁそこに服屋があるだろ?そこの店主が前に「ウチにあの純白の騎士が来たんだよ」と自慢してたからね」


「ありがとうございます!それでは」


「えっ、ちょっと待ってよ!」


私は走ってその服屋に向かい走り始めた。



=======



「誰がきたかと思えばあんたかい、久しぶりだねお嬢ちゃん」


私が店に入るのと同時にお店のレジに立っている人がまるで知人のようなノリで話しかけてきた、もしかしたら私の無くした記憶の重要な手かがりがつかめるかもしれない。


「あ、あの~」


早速聞こうとしたがこの人と会った時の記憶が無い私にとってはこの人は初対面の人な訳であって、人見知りな私には初対面相手に話すのはキツイ物があるわけで・・。


「そ、その~」


「もぉ、置いて行かないでよ~」


私がモジモジしていると丁度いい所に香子姉さんが来た。


「香子姉さん~!」


「きゃっ!!」


私は香子姉さんの胸に抱きついた。


「もぉびっくりさせないでよぉ~、どうしたのいきなり抱きつくなんて」


「実はね、ゴニョゴニョ・・・・。」


姉さんの耳元で小さい声で話した。


「あ~はいはい、つまり私が話せばいいのね?」


「うん」


私はそう答えながら小さく頷いた。

お姉さんなら私と違って人見知りとかし無さそうだから私の代わりに何か知らないか聞いてもらう事にした。


「あんたはこの子の連れかい?」


「そうです」


「嬢ちゃん何処か元気ない感じなんだけど何かあったのかい?」


「実は・・・、」


香子姉さんは店の店主に私が記憶喪失になってしまった事を話した。

最初は冗談だと信じてくれなかったが私の反応を見て最終的に信じてくれたんだと思う。


「そうかい、嬢ちゃんアンタ今までの事全部忘れちまったのかい」


「・・・すみません」


「謝る事じゃないよ忘れてるなら改めて自己紹介する必要がありそうだね、私はドロシーこの店の店主さ」


「よろしくお願いします。」


「嬢ちゃん、一つ聞いても良いかい?」


「私が今分かる事でしたら」


「アンタもしかしてアルレットの事も忘れてるのかい?」


アルレット、聞いたことある名前なのだろうその人物が誰なのかは思い出せないのだが不思議とその子に呼ばれているような感じがする。


「どんな人かは思い出せないんですけど、ただ私にとって大切な存在そんな気がします」


「・・・そうかい、コレ持ってきな」


ドロシーさんが渡してきたのはメモ用紙に書かれた地図のような物だった。


「これは?」


「アルレットの嬢ちゃんが住んでいる家までの地図さ、あんたが居なくなってきっと心配してるだろうからさ会いに行ってやりな」


「ありがとうございます!では」


ドロシーさんに礼を言って私達は店を後にした。



=======



私達はドロシーさんに教えて貰った「アルレット」という記憶を無くす前の私と共にいたであろう少女が住んでいる城の門の前に着いていた。

来た所までは良かったのだが、いざ来てみると門の中に入れないといった問題が発生した。

てか城に住んでるって事はお姫様って事?!記憶無くす前の私がハチャメチャな人に思えてきた、まぁ自分なんだけど・・。


「香子姉さん、何か方法無い?」


「私に言われても、それこそ貴方を知っている人にこの中に入れてもらうぐらいしかないんじゃない?」


「そんな事言われても記憶が無いから話かけられる訳ないじゃないですか!」


「いつまでも人見知りしてると分かる事も分からないままだよ!」


「うっ・・・、」


私だって分かってる自分から積極的に話かけて行かないといけない事ぐらい。だからといって知らない人に話かけるのは私にとってはとても高いハードルで超えられそうにない。

話かけられずに門の前で長い時間たっていると誰かがこちらに向かって来ていた。


「ショウタ様?お戻りになられたのですね?!」


メイドのような服装をした女性がこちらに向かいながらそう言ってきた。

私の後ろにいる香子姉さんの本名は氷見香子だから、姉さんを呼んでる訳ないだろうし、もしかして私の名前?!


「ショウタ様、ご無事でしたか!?」


「いや~、そのですね~」


「・・・・・?」


私は香子姉さんの方に向けた、香子姉さんは私の言いたい事をすぐ理解したようでメイドさんにドロシーさんの時のように説明を始めた。

メイドさんは説明を聞いて驚いといたものの、事情を把握してくれたみたい。私達を屋敷の中にへと案内してくれた。案内された部屋は客室と言うより誰かの個室のような感じだった。


「ショウタ様、何か思い出せませんか?」


「いや、特には・・・」


「では私の自己紹介をさせて頂きます、アルレットお嬢様のお世話をさせて頂いてるメイドのシャッフと申します。」


「一つ聞いても良いですか?」


「何でしょう?」


「さっき私をショウタって呼んでますよね、出来れば私の名前をフルネームで教えてくれますか?」


「分かりました、フブキ ショウタ それが貴方の名前です」


「・・吹雪正太、・・・ありがとうございます」


名前を知ることが出来たのは大きい、名前がないって結構不便だからね。


「それよりもアルレットお嬢様がいなくなられてしまったんです!」


「「え?!」」


「昨日の夕暮れ頃からお嬢様の姿が無くて、王様には報告したんです。ですが「アイツが自分で何かをやり遂げようとして出て行ったんだ、私はそれを邪魔する気は無い」と言って何もしないんです。」


「でもまだそのお嬢様って・・・」


「はい、ショウタ様と同い年ぐらいの女の子です」


まだそんな小さい子に旅させるなんて凄い考えの王様だな。


「そこで一つ頼みたいんですけど、お嬢様を探してくれませんか?」


「分かりました」


「えっ?!」


香子姉さんが手招きするので近くに行くと小さい声で話始めた。


「(そんな簡単に探すって言っても大丈夫なの?)」


「(でも私の無くした記憶を取り戻すにはその子に会って見るのが一番だと思うんです。)」


「(どうしてそう思えるの?)」


「(勘です)」


なんて言えば良いのだろう、私の中の何かが彼女を助けたいと言ってるのだと思う。見て見ぬふりをすれば後々後悔することになると思う、私の無くした記憶を取り戻す為にも何か大切な物を失わない為にも彼女を探すのが最善の策だと思う。


「分かったよ、私も協力する」


よしまずはその子を探すのに一番重要な事を聞いておこう。


「シャッフさん、アルレットって子の容姿がわかる物って何かありませんか?」


「はい只今!!」


そう言ってシャッフさんは部屋を飛び出した、容姿が分からなければ探しようがないからね。

それにしてもこの部屋始めてきたはずなのに何故か自分の部屋のように安心する、不思議な気分だ。

のんびり部屋でシャッフさんを待っていると突然凄くデカい音が廊下から聞こえた。


「きゃぁ!!」


シャッフさんの悲鳴と共に何かガラスが割れたような音だった、私はすぐさま音のする方へと向かった。着くとそこには私と同じくらいの大きい剣を背負った女の子がいた。


「純白の英雄とやらは何処にいるのかと聞いている」


その女の子はシャッフさんの胸元を掴み、圧力をかけ聞いていた・・・いや、恐喝と言っても差し支えないような状況だった。

純白の英雄って私の事だよね、あんな物騒な子に狙われているって記憶を無くす前の私は一体何をしてたの?!


「私は・・知りません・・。」


「そうか・・・ならば死ね・・。」


「私ならここにいる!!・・・だからその人から手を放して!!!」


私は思いっきり大きな声を出した、必ず向こうがコチラに気が付くように。

そして剣を持った少女は女性から手を放し、コチラに目線を変えてきた。


「お前が純白の英雄なのか?」


「そ、そうよ私が純白の英雄よ!」


そう答えると彼女は私を睨むように顔をしかめた


「そうか・・・、お前が純白の英雄なら此処で斬る!」


「・・・え?!」


大剣を構えてこちらに向かってきた、私は怖くなってその場でうずくまってしまった。

目を瞑った、しかししばらくしても意識があった私は恐る恐る目を開けた。

そこには少女の攻撃を剣で受け止めている姉さんの姿があった。


「・・・・香子姉さん?!」


「まったく、いいから早く逃げて!」


「邪魔するな!!」


姉さんは何処からか機械のような物を取り出し腰の部分に当てた、すると機械からベルトのような物が出てきて姉さんの腰に装着された。


「あの子を殺そうとしてるなら黙って見てられないんでね」


「なら貴様も殺す・・。」


「なら私も本気出させてもらうね、変身!」


『flavor・vanilla!』


姉さんの腰に付いていたベルトから音楽のようなものが流れ、姉さんは白いスーツに身を包んだ。


「では行くぞ!!」


「どこからでもどうぞ」


私は彼女が香子姉さんと戦ってる内に倒れていたシャッフさんを安全な場所へと避難させた。


「申し訳ありません、ショウタ様にご迷惑をかけてしまい・・。」


「そんな事いいから、まずは自分の事心配して!」


「・・・・ありがとうございます、ショウタ様」


シャッフさんを避難させた後にさっきの場所に戻る事にした、逃げろとは言われたがやっぱり香子姉さんの事が心配だ。


「ふん、口ほどにも無いじゃないか」


「・・・・・」


私のせいで姉さんが殺されてしまう・・・、今の私には何か姉さんを助けられる方法は無いのか?・・・一つだけある。

このカバンの中に入っているベルトを使えばあの少女を止める事ができるんじゃないか?

カバンからベルトを取り出したが手が震えていた、やっぱり戦う事が怖くてしかたがない・・。

変身したとしても記憶の無い私に戦えるのだろうか?どんどん息が荒くなっていく。


「お前のはコレで終わりだ」


いや考えてる場合じゃない、このままだと姉さんが殺されてしまう!戦い方は戦いながら決めればいいい!!


私は戦う覚悟を決めて、記憶を失う前の私がつかっていたベルトを腰に着けた。

ベルトが巻かれたこの感覚で気が引き締まるような気がした。

やっぱりこのベルトには無くした私の記憶と深い関わりがあるように思えてならない、・・・いや今はそれどころじゃない!速く香子姉さんを守らなきゃ!!


チップに刻まれた矢印の方向に従ってベルトにチップを差し込みながらこう叫んだ。


「変身!」


『これからのストーリー! 俺のストーリー! Modern・The・hero!!』


ベルトから流れる音と共に私の体は一瞬にして黒いスーツーに包まれ頭にはヘルメットのような物が付いた。


「・・・コレが私」


なんだか不思議と自信がみなぎってきた、とにかく今は香子姉さんを守る事に集中しなくちゃ!近くに向かおうと走ると凄い速さが出て一瞬に香子姉さんの近くに着いた。

私が着いた時は彼女が姉さんに止めを刺そうと剣を振っている最中だった、私はすぐさま剣を思いっきり蹴った。

剣を彼女の腕から離す事は出来なかったけど何とか香子姉さんに止めを刺されることは防ぐ事が出来た。


「なっ!」


「香子姉さんは殺させない!」


私が剣を受け止めた事にそんなに驚いたのか彼女は後ろに下がった。


「お前は何なんだ!」


憶えていなかった記憶の一部が蘇ったのだろうか、こういう時に名乗るべき名が頭の中をよぎった。


「私はストーリー、貴方の最後を語る者の名よ!!」


少し違うかもしれないけど・・・、まぁいっか!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オタクな私(元俺)は、ボーイズトイで無双します!~異世界で憧れのヒーローになる~ ゆうやけ @yu-yake44

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ