第10話 魅惑のアイスと戦うお姉さん
「今日も買い足しに行くの?!昨日買ったんじゃないの?」
「今日の目的は昨日食べ損ねたアイスです!」
「私もそのアイスっていう物を食してみたいです、主様」
「ライニャーまで・・。」
今日の朝からずっとコレだ、俺は昨日徹夜して王様に頼まれていた「ストーリー」についての報告書を一晩で書いたためもの凄く眠たいのだ。
書いた文字数自体は800文字ぐらいと少ないのだが、慣れない言語だから辞書で一言一句全て調べながら書いたので時間掛かり、ベットの上に行けたのは日付が変わってからだった。
転生前の体だったらそこまでキツく無かったのだろうか、今の俺は小さい女の子。
こんなに幼い体で無理したせいでとてつもなく眠い。
「じゃあ俺は寝てるから二人で行って来たら?」
「昨日、奢ってくれるって言ったじゃないですか!」
「じゃあ、お金渡すから二人で言って来て」
「仕方ありません、こうなったら・・・、」
アルレットは昨日買ったドレスを自分の部屋から持ってきた。
「ショウタ様、このとても可愛らしい服を着て私とパーティーに出席するか、今から私とアイス食べに行くのとだったら、どちらがいいですか?」
「俺が・・・その服を?・・・無理無理!アルレットだって知ってるだろ?俺は可愛い服を着るのが苦手だって!」
「勿論です、それを理解しているから聞いてるのです」
アルレットの俺を見る目、コイツ本気でやらせるつもりだ・・。
「さぁ、パーティーに行くのとアイス食べに行く、どちらがいいですか?」
俺は寝てる振りしてやり過ごす!どちらも嫌なら答えなければ良い!
「・・・そうですか、でも寝てしまわれたのなら仕方ない、それではショウタ様がパーティーに出席するとお父様に伝えてきますね」
そう言ってアルレットは部屋をでt、・・・え?
「待って!悪かったから、俺が悪かったから!それだけは勘弁して!!」
「では、一緒にアイスを食べに行くんですか?」
「・・・・・」
「それでしたら、再びお父様の元へと向かう事にしましょう」
「分かった、行くから!行くから俺をパーティーに出席させようとするのやめて!」
「では決まりですね、ささっと準備しちゃって下さい。」
「・・・はい、ただいま」
眠たい体を無理やり起こしていつも着ている服に着替え、いつものバックを肩からかけて部屋を出た。
「主様、最近アルレット様の思うように動かされてません?」
「うるさい、ライニャーそれ言わないで」
これじゃあまるで俺がアルレットの妹みたいだ、アルレットの前でカッコいい所見せて英雄としての名誉を取り戻さなくては・・。
そんな事を頭に中で考えながら、アルレットとライニャーと共に町に向かい始めた。
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街に来てから約2時間が経った、さっきからずっと昨日のアイス屋を探しているのだが一向に見つかる気がしない・・・。
「今日はアイス屋来てないんじゃないか?また今度って」
いきなり何かが爆発したような大きな音が聞こえた。
「何の音だ?!」
「ショウタ様、あちらです!」
アルレットの指さす方を見ると2体の怪人が町の人に襲いかかっていた。
俺はすぐさま二人に指示をだした。
「ライニャーとアルレットは街の人を避難させて、怪人は俺に任せて」
「承知しました、主様」
「無理しないで下さいね、ショウタ殿」
「勿論、そのつもりだ」
アルレットにそう返事した後、俺はすぐさま2体の怪人が居るところに向かった。
「お前達、こんな所で何してる?!」
「町を破壊しに来たって言ったらどうする?」
「破壊される前にお前達をぶっ倒す!」
1対2か、少し不利な状況だな、でもアルレットとライニャーが必死になって町の人を避難させてくれてるんだ。少し不利だったとしてもこの戦いに必ず勝ってやる!
「変身!」
『これからのストーリー! 俺のストーリー! Modern・The・hero!!』
「お前が純白の英雄とやらか、でも俺達2人相手に勝てるのか?」
「純白に英雄?違うね、俺の名は「ストーリー」、お前達の最後を語る者だ!」
「最後を語るだと?・・・おもしろい、やれるものならやってみろ小娘」
「望むところだ!うぉりゃーー!」
キー・ウエポン(剣状態)を右手に構えて怪人共の方へ走った。
「喰らいやがれー!」
腕に持っているキー・ウエポンを思いっきり振った。
「なっ、やりやがったなこの野郎!」
「だからそう言っただろ?」
2体の内の1体と話していると横からもう一体が近づいてきた。
「何処見てんだぁー?!」
「気づいてない訳ないだろ?」
もの凄い速さで向かって来ていたので俺は後ろに下がり奴の攻撃を避けた、俺に攻撃を当てられず勢い余ったのか向かって来てた怪人はもう一体の怪人が居るところまで転んだ。
2体を一気に倒せるチャンスが来た!このチャンスを見逃すまいとキー・ウエポンにチップを差し込み、構えをとった。
「これで終わらせる!」
しかしそう簡単にうまくはいかなかった。
「させるか!」
いきなり背後から何者かに攻撃された。
「なっ・・!」
俺はそのまま町の建物の壁に叩きつけられた。
「大丈夫かお前ら、助太刀しにきたぞ」
「おお、助かった!」
・・・え?なんか敵の数がいきなり倍に増えたんだけど、どうすんだよ?!
続々と他の所にいた奴らも集まってきて、最終的に敵の数は合計8体となった。
流石に8人を一人で相手するのは無理がある、でもまだ避難できていない町の人が居る、今俺がこの場から逃げれば間違いなくコイツらに襲われてしまう・・。
生憎、フォームチェンジしようとしてもモダン以外のチップは城の自室に置いてきてしまった。
なんとしてでも俺が此処で足止めをしなければ・・。
しかし戦おうとしても体が怯えてまともに立つ事も出来ない・・・くそっ、怯えてなんかいられないのに!
そんな時、俺の前に一人の女性が現れた。
「そこの君、大丈夫?・・・じゃないよね」
「貴方は・・・。」
その女性は昨日此処らへんでアイスを売ってくれたお姉さんだった。
「貴方達、小さい女の子1人相手に8人で相手してて恥ずかしくないの?」
「もう少しで仕留めキレた所なのに、貴様は何者だ!」
「ただのアイス屋じゃない事くらい見て分からない?」
そういってお姉さんがカバンから取り出したのは、見た事のない変身ベルトだった。
「まさか、貴方も・・・。」
「そうゆう事」
ベルトを腰辺りに当てると自動でベルトが腰に装着された。
『Sweet・driver!』
「変身!」
彼女が掛け声と共に腕に持っていたアイスクリームに似ている何かをベルトにセットすると空から大きなアイスが彼女目掛けて落ちてきた。
そのまま彼女の全身が大きなアイスの中に埋もれてしまった・・。
「えっ・・嘘、大丈夫ですかって、何々?!」
さっき落ちてきたアイスが突然周りに小さなアイスをまき散らすように回転し始めた、そしてそれはアイスが無くなるまで回転し続けた。
回転が終わるとさっきまでアイスがあった場所には・・、
『flavor・vanilla!』
そこには、いかにも特撮っぽい白いスーツに身を包んだ戦士がいた。
「君、立てる?ほら、さっさと倒しちゃうよ」
「は、はい!」
白い戦士のお姉さんに体を起こしてもらって何とか立つことができた。
「それじゃあ、反撃開始と行こうか!」
「はっ、はい!」
「はっ!」
「う~ん、やっぱり大量の敵を一度に相手にするにはこの味じゃ少し無理があるか、それならコッチで!」
『flavor・chocolate!』
お姉さんがさっきと同じようにベルトにセットした、すると今度は茶色のアイスがお姉さんの上に落ちてきた。
そしてアイスが回転を始め、終わるとさっきと違って全身がチョコレートのような茶色になってて、手元のは2本の剣を持っていた。
「それでこっちにバニラ付けて、コッチにはチョコ付けてっと」
そう言いながら右の剣には白いアイスを、左の剣には茶色のアイスをセットした。
するとセットしたアイスと同じ色のオーラのような物がそれぞれ剣からあふれ出し始めた。
「それじゃあ行っちゃうよー!」
『flavor mix! vanilla&chocolate‼』
両手に持っている剣を何かを絡めるような仕草で交え始めた、するとお互いの剣からあふれ出ていたオーラ同士が交わり、両方の剣が白と茶色のオーラを交互に出すようになった。
「いっけー!」
『vanilla&chocolate finish!』
お姉さんは自身の周りに居る4体の怪人達えお、両手に構えた2本の剣で切り裂いた。
俺も負けてられない!キーウエポンにチップをセットしてトリガーを引いて必殺技を発動させた。
『high speed・Slash!』
2体の怪人は俺の姿を見失って周りをキョロキョロしていた、その隙にそいつらの背後に回りキー・ウエポンで何十回も切りまくった。
そして時間切れで俺が普段のスピードに戻ったのと同じタイミングで2体の怪人はその場で爆発し、死んだ。
「よ、よくも仲間達を!!」
「先に襲撃してきたのはそっちじゃないか」
例えこいつらが元人間だったとしても、無実の人達を襲うのなら俺は容赦しない。
「一気に決めるよ!」
「了解です!」
俺はお姉さんの合図と聞くとベルトのレバーを引いた。
「お前たちはコレでおしまい!」
『high speed・kick!』
「それじゃあ、しめのデザートといこうか」
『vanilla finish!』
「「せいはぁー!」」
俺は北側の1体に、お姉さんは残りのもう1体に必殺の蹴りをお見舞いした。
「・・・・そんなバカな、神に選ばれた我々がこんな小娘らに負けるなど!」
「だから言ったろ?お前達はおしまいって」
怪人共の身体は街中に響く大きな爆発音を発しながら跡形も無く消えていった。
終わった・・・、怪人達を倒せたという安心感と同時にどんどん意識が遠くなって行くのを感じた。
「・・・あっ、ダメだ意識がなくなっ・・・。」
「お疲れ、って大丈夫?!起きてるなら返事して」
さっきのお姉さんが何か必死に話しかけてきていたが俺は返事を出来るような状態じゃなかった。
そしてそのまま俺は意識を失った。
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