第6話 アルレットに連れてかれ
街に戻ると何故か多くの目線が俺に集まってた。
隣にいるアルレットじゃなくてなんで俺に目線が集まるのだろう、いや逆にアルレットの隣にいるから目線が集まっているのかもしれない。
闘技場で戦った時はあまり目線がきても大丈夫だったけど、こんな感じに近くで見られてしまうと恥ずかしくて死にそうだ。
「アルレット、なんか目線が俺に凄く来てるんだけど俺の顔に何か付いてる?」
「ショウタ様が災害級の魔物を倒した事が広まったのかもしれませんね」
「どうしようアルレット・・・、」
俺は周りからの目線に耐え切れなくなり、情けない声でアルレットに助けを求めながら手をそっと握った。
「私にいい案があります、着いてきて下さいショウタ様!」
そう言ってアルレットは俺の手を引っ張って何処かに向かった。
俺の手を引っ張って何処かへと案内してくれている彼女の背中は頼もしく思えて、そしてこんな小さい子に助けて貰った自分が情けなく思えた。
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着いた場所は街中にある普通の服屋だった。
「アルレット、どうしてここに来たんだ?」
「ショウタ様が目立っているのは男性の服装だからだと思うんです」
「確かに言われてみればそうだけど、」
今着ている服は転生した時に着ていた服をそのまま使っている、サイズがピッタリだったから俺的にはコレで大丈夫だと思うのだが。
「可愛い服装だったら、まさか災害級を倒した戦士だなんて思われませんよ」
「別に思われても良いのだけれど」
「とりあえずお店の中に入りましょ、ショウタ様」
「ちょっ、ちょっと待って!」
アルレットは俺の手を強引に引っ張って店内に入った。
「いらっしゃい!お、誰が来たかと思えばアルレットの嬢ちゃんじゃないか」
「いつもお世話になってますドロシーさん、今日は私の隣にいるショウタ様の服を作って欲しいんですけどお願いできますか?」
「勿論、このワタシに任せなさい!」
アルレットと親しげに話しはじめたのは、身長がでかいおばちゃんだった。
「もしかして、その子が勇者様に匹敵する力を持ってるかもしれないって噂の嬢ちゃんかい?」
「やっぱり噂になってるんですか?」
「そりゃ勿論さ、勇者様に匹敵する力を持ってる人なんて今まで聞いた事ないからね。
それじゃあショウタの嬢ちゃん、アンタのサイズ図るからコッチにおいで」
俺はコクリと頷いてドロシーさんの方に近づいた。
「じゃあ両手を上げてね」
俺が言われたように両手を上げるとドロシーさんは慣れた手つきで俺のサイズを測った。
「・・・よし、サイズは分かったから今から作ってくる。大体30分もあれば出来るからそこの椅子に座って待ってな」
ドロシーさんはそう言って店の奥に戻っていった。
「アルレット、服って30分で作れるもんなの?」
「いいえ30分で服を作れるのはここぐらいのもんですよ、何でも服をあっという間に作ってしまう道具があるのだとか。」
「アルレットはよくこの店を使うの?」
「はい、私の幼馴染がこの服屋の息子なんです。それもあって小さい頃からよく利用させてもらってるんです。」
アルレットの幼馴染か、どんな子なんだろう少し気になるな。
そんな話をしていると店の奥からドロシーさんが戻ってきた。
「待たせたねショウタの嬢ちゃん、アンタの服が完成したよ!」
ドロシーさんの右手にはフリフリとした可愛らしい服があった。
まさかあんなに可愛らしい服を俺が着るのか?!
「ショウタ様!早速着てみましょう!」
「待っ、待って!まだ心の準備が!」
男の俺にとってはこんな可愛らしい服を着るなんてハードルが高すぎる、もうちょっと普通のデザインは無かったのだろうか。
「ならば私がお手伝いいたします!ドロシーさん手伝って下さい!」
「はいよ!」
アルレットとドロシーさんは俺の着ていた服を脱がした後、さっき持ってきたフリフリした可愛らしい服を慣れた手つきで着せてきた。
俺も抵抗はしたものの2人相手には勝てなかった。
「とてもお似合いです、ショウタ様!」
「うれしくない・・・。」
「まるでアルレットの嬢ちゃんに妹ができたみたいだねぇ」
「ショウタ様が私の妹・・?ふ、ふへへへwww」
ドロシーの発言を聞いて、アルレットは少し不気味な笑い声と笑顔を浮かべた。
今の事は無かったことにしておこう。
「せっかくですし私もショウタ様とお揃いのモノをお願いしっ・・、」
「キャーー!」
突如として店の外から女性の悲鳴が聞こえた。
「アルレット、俺外の様子を見てくるから。」
「ショウタ様何処に行かれるんですか?」
俺は悲鳴の原因を知るべく、店から出た。
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店から出ると、街中で1体の怪人が暴れていた。
「なんで街中に怪人が・・、とりあえず止めないと。アルレットは何処か安全な場所に隠れててくれ!」
「わ、分かりました!ショウタ様どうかお気をつけて」
アルレットに隠れるよう伝えて、俺は街中で暴れまわる怪人に声を掛けた。
「そこのバケモノ!俺が相手になってやる。」
「ふん、貴様のようなちっこい娘に何ができる」
「あまり舐めない方が身の為だぞ」
バックからベルトを取り出して腰に巻いた。
流石に街中で森の中のようにド派手に暴れられない、正直使いこなせるか分からないけど「このチップ」で行くしかない。俺は少しの不安を感じながらもチップをベルトに差し込んで変身した。
『set up!』
「変身!」
『予言する勝利を!掴めよ勝利を!Esper・the・Hero!!』
俺はエスパー・チップを使ってエスパーフォームに変身した。
エスパーフォームはストーリーのフォームの中でも2番目に扱いずらいフォームである。
名前の通り超能力者の力を使って戦うのだが、使い慣れてないと思うように超能力を操れない。
そんな事を言ってる俺も今まで超能力を使った事が無いのでまともに戦えるか分からない。
ダメそうだったらいつものフォームに戻せば良いだろう、とりあえず行けそうな所までこのフォームで戦ってみよう。
頭の中で怪人の後ろに自分がいるイメージを強く思うと視界が一瞬真っ白になった後、怪人の背中があった。
怪人はコチラに気づいていない様子だったので透かさず思っいっきり蹴りをお見舞いしてやった。
「グハァ・・・・い、いつの間に?!コレでもくらいやがれ!」
怪人が口から何か俺に向かって吐き出してきた。
見るからに当たったらダメそうな色をしてたしそんな怪人の口から出たものなんて絶対当たりたくない、さっきのように頭の中でイメージを強く念じた。
怪人が吐き出した物が、磁石のように怪人へ引き寄せられるイメージだ。
どうやら上手く行ったみたいで吐き出した物は怪人の方へと戻っていって、怪人は自分の吐き出した物を食らうとその場で苦しみ始めた。
やはりアレは毒だったようだ。
「何がどうなって、俺は神に認められし者の筈なのに・・こんな小娘にやられるわけには・・。」
「何がしたかったのか知らんけど人を襲うようならさようなら、お前はコレでおしまい!」
『psychokinesis・kick』
俺は右足に力を貯めながら奴の身体が俺に向かってゆっくりと向かってくるイメージを強く頭の中で念じた、流石に街中でこの前のゴブリン達のように魔力の暴走で爆発されては困ってしまうので空中に向かって奴を飛ばすことにする。
奴の身体が俺の近くに来た瞬間、力を貯めていた右足で怪人を空へ蹴飛ばした。
空に飛ばされた奴は、ゴブリン達と同じように爆発した。
その時の爆発音は街中に響き渡る程大きな音だった。
「ご無事ですかショウタ様!?」
ドロシーの店に隠れていたアルレットが心配そうな声を出しながら店から出てきた。
「ああ勿論、それよりも速くこの事を王様に報告しに行った方がいいんじゃないか?」
「そうですね、それでは急いで城に戻りましょう!」
俺とアルレットは再び城へと向かった。
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「教団に言われて「裁クモノ」の監視を任され来てみたら、さっき報告があった少女と特徴が酷似している者に倒された後だったとは、・・・・・あの少女を調べてみたら面白い事が分かるかも知れません。早速調査を開始してみますか」
家の屋根の上に立っていたフードを被った謎の人物がそう呟き何処かへと姿を消していった。
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