第5話 怪人の襲撃
「ショウタ様、地図に示してる場所の辺りに着いたと思われます!」
バイクから振り落とされないように俺の背中を掴んでいたアルレットが少し大きな声で伝えてくれた。
「なら此処らへんで降りようか。バレット、此処らへんで降ろしてくれ。」
俺はバレットを草むらの中に隠し、アルレットと共に薄暗い森の中へと足を踏み入れた。
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この森に入ってからしばらくたったが、今の所何もおかしな所は見つかってない。
「そういえばアルレット、この調査とは関係ない質問があるんだけど聞いても良い?」
「私が知っている事であればお答えしますよ」
「昨日に俺が倒したあのライオンヤロー、試合始まる時に災害級とか何とか言ってたけど俺以外で倒した人ってどんな人が居たの?」
「パーティーで挑んで討伐した方々なら山のようにいるのですが、ショウタ様のように一人で挑み尚且つ女性で討伐出来た方なんて今までいませんでしたよ、男性でも討伐できたのが異世界?から来られたという勇者様だけですね」
「それって何気に俺、凄い事成し遂げちゃったの?」
「まだあまり広まってないだけで、話が広まったら勇者扱いされるかも知れませんね。」
そんな感じで話ながら森を進んでいると突然俺達の目の前に見覚えのある魔物が3体ほど現れた。
「ボスノウラミ、ココデハラス!」
俺達の目の前に現れたのはこの前逃げていったゴブリン達だった。しかしゴブリン達の手は見覚えのある物を持っていた、この世界にはない筈の物だった。
「お前達が何でそんな物を持ってるんだよ!」
「オレタチコレデツヨクナル、オマエコロス」
ゴブリン達が手に持っていたのは「ストーリー」の作中で、人間が怪物に変身する際に使用する「ダークネス・チップ」という物だった。
ゴブリン達は手に持っていた「ダークネス・チップ」を飲み込んだ、やがてゴブリン達の体はみるみる怪物へと形を変えていった。
俺はアルレットに指示をして、構えを取った。
「アルレット危ないから少し離てろ、ステージチェンジ!」
「は、はい!」
『これからのストーリー! 俺のストーリー! Modern・The・hero!!』
ウエスタンフォームは強力な一撃を与えられる分、接近戦だとまともに戦う事が出来ない。だからモダンフォームにフォームを変えて戦う事にした。
ゴブリン達が一斉に俺目掛けて向かってきた。
「ボスノカタキ!」
俺は剣状態のキー・ウエポンにウエスタン・チップを差し込み片手で剣を構えた。
ゴブリン達が目の前に迫ってきたその一瞬に俺はトリガーを引いた。
『strongest・Slash!』
「セイハァ!」
発動した瞬間キー・ウエポンの重量が一気に重くなったが両手で何とか支え、俺は両手で握ったその大剣を力一杯、ゴブリン達目掛けて振った。
そして俺の振った剣が3体の内の1体に当たった。
「コンナチカラ、キイテナイ・・。」
当てられたゴブリンは最後にそう言い残して、その場で爆発四散した。
「ヤ、ヤバイ・・。」「ニ、ニゲルゾ!」
仲間が倒されて、怖くなったのか残り2体のゴブリン達は俺に背を向けて逃げ出した。
「今度は逃がすかよ!」
俺は剣をその場に立たせてベルトのボタンを押した。逃げるゴブリン2体に狙いを定め、俺は思いっきり空へ飛んだ。
「喰らいやがれ!」
『high speed・kick』
俺は決め台詞を放ちながら怪物へと姿を変えたゴブリン2体を思いっきり蹴飛ばした。
俺に蹴飛ばされたゴブリン達は小さい声で何か言った後、さっきのゴブリンと同じようにその場で爆発した。
もしゴブリン達が使っていたチップが本物の「ダークネス・チップ」ならチップの副作用で体内のエネルギーが暴走して、爆発してしまったのだろう。
それにしても怪物の姿や倒されると爆発してしまう所が俺の知っている「ダークネス・チップ」とあまりにも酷似している。
ゴブリン達が爆発した跡にはストラップのような物とゴブリン達が持っていたチップが落ちていた。
「ショウタ様、もう大丈夫ですか?って、その手に持っている物は何ですか?」
「さっきのゴブリンが持っていた物みたい、何かわかる?」
「いいえ見た事もありません、でもゴブリン達が持っていたのならゴブリン達に襲われた者が持っていた物もしくは誰かがゴブリン達に与えた物、でしょうか?」
「ゴブリン達が持っていたこの道具にも同じマークが書かれていた、多分だけど俺は何者かがこの道具をゴブリン達に手渡したんだと思う。」
さっき倒したゴブリン達が変化した怪物は作中で「ベータ」と呼ばれる試作型の怪物だ、もしさっきの怪物が同じような試作品ならゴブリン達を使って実験でもしていたのだろうか?
「私達だけで考えていても仕方ありません、此処は一度王国に戻ってお父様に報告をした方がよろしいと思います。」
「じゃあ、バイクで帰るから来た時みたいに俺の後ろに乗ってくれ」
いったい誰がこんなチップを作ってゴブリン達に渡したのか分からないが、他の怪人達もこの世界に存在してるかも知れない。
俺は一旦考えるのをやめて腰に付けてたベルトを外して。茂みに隠していたバレット・ザ・バイクにまたがりアルレットを後ろに乗せて、王様の居るの城に走らせた。
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ショウタ達が森を出てからしばらくたった時、木の陰からフードを被った男がゴブリン達の落としたチップを一つ拾った。
「まさか我が教団の技術を駆使して作られた「裁クモノ」があんなにあっさりと倒されてしまうとは、コレは直ちに本部に報告しなければ。
・・・・それはそうと腰にを巻くことで自身の体をゴーレムのような姿に変化させる魔道具とは、コレは興味深い・・。」
フードを被った男はそう呟いて何処かに消えていった。
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