第3話 どうしてこうなった?!
とりあえず今の状況を整理しよう、俺は闘技場のような場所に入れられ、目の前にはライオンみたいなヤツがこちらを睨んで威嚇してきている。
どうしてこうなった?!
話はゴブリン達からアルレットっていう、王女様を助けた後まで遡る。
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「俺は吹雪正太、まあ通りすがりの旅人ってところかな」
「それではショウタ様、今回のお礼も兼ねて貴方を私の城に招待致します」
「・・・はぇ?」
あまりにいきなりの招待で、思わず変な声が出てしまった。
「招待断る感じになって申し訳ないけど俺は近くの町に行くつもりであって。君を見送りさえはするとしても、城の中に行くつもりは無いよ」
「・・・ダメ、ですか?」
俺が断ると、アルレットは今にも泣きそうなウルウルとした目で俺に再度聞いてきた。
こんな可愛い顔で聞かれたら、行かないとは言えるわけがない。
「わかったよ、君の城に行くから泣かないで」
「それでは、私の城に行く準備を始めるとしましょう」
さっきまで泣きそうな顔だったのに、俺が折れた瞬間良い笑顔になった。
まさかさっきの泣きそうな顔は演技・・?いや考えるのはもう辞めておこう、女子は昔からそういう生物じゃないか。
「ショウタ様、コチラの水晶に触れて頂けますでしょうか?」
すっかり笑顔になったアルレットは馬車の奥から一つの水晶を持ってきて、俺に見せてきた。
「コレは?」
「緊急帰還用の水晶です。一定以上の魔力を有する者がこの水晶に触れると、私の部屋にテレポートするように設定されています。本来ならば、この水晶で逃げる事が可能だったんですが。あいにくこの水晶を起動できる程の魔力を持っていた魔術師が謎の病で倒れてしまい、起動できなかったんです・・。」
「とりあえず、コレに触れれば良いのか?」
「はい!」
俺が水晶に触れると、俺とアルレットを囲うように魔法陣が展開された。
「やりました!成功です!でも急に転送されるのでちゅう・・・・・。」
アルレットが何か言いかけていたが、急に転送されたので何を言っていたのか分からなかった。
気が付くと豪華な装飾を施された部屋に居た。
「「お嬢様、大丈夫でしたか?!」」
2人のメイドがドアを開けて入ってきて、アルレットのそばに駆け寄った。片方は涙をこぼしていて、もう片方は安心してホッとしているようだった。
「2人共、そんなに心配しなくても私は見ての通り大丈夫よ」
「お嬢様が無事で本当に良かったです!!」
「それでお嬢様、お嬢様の隣にいる方は誰ですか?」
「私が攫われそうになった時、助けてくれたショウタ様よ。それよりお父様にお話があるのだけれど、お願いできるかしら?」
「もう準備は出来ています、ささ此方に」
「ショウタ様も此方にいらして下さい。」
「え?俺も!?」
アルレットに腕を引っ張られ、部屋を後にした。
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いきなりこの国の王様と会話することになってしまったけれど、アルレットが俺が話さなくてもいいように手を回してくれたみたいで、俺はこの場に居ればそれでいいらしい。
「お父様、只今戻りました。」
「ゴブリン共に襲撃されたという報告が入った時はもうダメだと思ったぞ」
「ご心配をおかけしました。」
「それで、お前の横にいる娘は何者だ」
「ご紹介します。連れの兵士が全員倒され、私がゴブリン達にさらわれそうになった所をこのフブキ・ショウタ様に助けて頂きました。」
「何?!それは本当か!?」
「本当です、だから私が今こうしてここに居られているのです。」
何かそういわれると照れくさいな///
「にわかにも信じられん、ならばショウタとやら今からお主にはとある魔物と戦ってもらう。勿論タダでとは言わない、もしお主が勝ったのなら望みを一つ叶えてやろう」
・・・はぇ?
「だが、この勝負を受けない、もしくは魔物に負けるようなことがあればお主にはこの国でていってもらおう!」
王様のいきなりの発言に周りは騒然となった。
「ショウタ様を国から追い出すってどうゆうおつもりですか、お父様!!」
「お前に着いて行かせた騎士達を倒してしまう程のゴブリン達をこんな小さな娘が一人で倒してしまったなんて信じられるわけなかろう!」
このままだとここが修羅場になりかねない。
「分かりました、その勝負受けて立ちましょう」
「ショウタ様?!」
「ならば付いてこい、お主を闘技場に案内してやろう」
俺はその勝負を受けて立つことにした。
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まあ、そんな事がありまして目の前のライオンヤローと決闘することになったのだけれど、正直戦いたくない。
でも受けて立つと言ってしまった以上、後には戻れない。
仕方なく腰にステージベルトをセットして、昨日使ったモダン・チップで変身した。
『set up!』
「変身!」
『これからのストーリー!俺のストーリー! Modern・The・hero!!』
「これより、フブキ・ショウタ対災害級魔物による決闘を開始する。・・・始め!」
審判の合図と共に俺は駆け出した。
「いくぞ!ライオンヤロー!」
『キー・ウエポン!mode sword』
俺はライオンヤローの後ろに回りこんで、構えてた剣を奴の体目掛けて振った。しかし、俺の振った剣はあっさりとかわされてしまった。
「これなら、どうだ!」
『high speed・Slash!』
俺は速さでアイツに勝ろうとした、しかしそれは失敗だったと直ぐに分かる事になる。
俺はもの凄い速さを手に入れ後アイツに近寄り不意を突こうとしたが、またかわされた。
どうやら、速さはコイツの方が勝っているらしい。
そんなことを考えている内に、ライオンヤローは俺を地面に叩きつけた。
「・・グハァ!」
地面に叩きつけられて、俺の身体とメンタルはボロボロになった。
ヒーローの力は無敵では無いことを身をもって味わうことになった。
なんで、こんな苦しい事をしなくちゃならないんだ。
勝った所で誰も救われる訳でも無く、負けても悲しむ人なんかいないじゃないか。
俺には戦おうという気持ちも、勝とうという気持ちも消えかけてた・・その時、客席から一人の応援が聞こえた。
「負けないで下さい、正太様!私は貴方が勝つと、私の英雄が勝つと信じています!」
「・・・アルレット、」
応援をしてくれたのはアルレットだった、そのお蔭で俺はこの戦いで勝つ事に意味を見出す事ができた。
まさか、こんなに早く使う事になるとは思わなかったな。それでも俺を信じてくれたアルレットの為に、俺をヒーローと言ってくれたアルレットの期待に応える為に!俺は勝たなくちゃいけない!
俺はベルトに差し込んでたモダン・チップを取り外した。そしてアルレットからもらった勇気を胸に秘めて、新しいチップをベルトに差し込んだ。
「ステージチェンジ!」
『思いを貫け!己を貫け!Western・The・hero!!』
俺はウエスタン・チップを新たに差し込む事によって、ストーリー ウエスタンフォームにフォームチェンジした。
西洋劇に出てくるガンマンの力を使うこのフォーム、撃った弾丸はどんなものでも貫く威力が付与される。
「一撃で決める!」
『キー・ウエポン!mode gun!』
ライオンヤローは俺に目掛けて走ってきた。さっきまでの俺ならビビッて逃げただろう、でも今ならやれる気がする!いや、終わらせるんだ!!
「狙いは、そこだ!!」
『strongest・Shoot!』
ライオンヤローの頭に狙いを定めて、トリガーを引いた。銃から放たれた弾丸は、奴の頭を貫いた。
ライオンヤローがその場に倒れてゆく場面を目の当たりにして観客達はざわつき、王様は驚いた顔をして、アルレットは誇らしげな顔をしていた。
審判の人も驚いた顔で硬直していたので、俺が催促すると判定を出してくれた。
「審判、判定を」
「は、はい!只今の勝負、フブキ・ショウタの勝利!!」
俺は無事、戦いに勝利してアルレットの期待に応える事ができた。
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