第38話 ワイバーンの討伐後!

「んん………」 


 ここは……どこだ? ……そうだ、たしかワイバーンを倒したあとに倒れて……。


 僕は、「いたたた……」と呻き声を上げながら身体を起こすと、ここは学校のようだった。


 そして、その中でもベッドで寝ていて、それに一面の白い壁や薬物? っていうか薬? っていうか、そんなものの独特な匂いがすることから、ここは保健室なんだろう。


「あっ……おきたんだ」


「うん、おはよう」


 声がしてベッドの横を見ると楓さんがいた。ベッドにもたれかかるようにして眠そうにしている。


 でも、多分寝ておらず眠たそうにしているのではなく、起きたばかりで眠たそうにしているのだと思うから、一応良かった。


「……って、そうだ。今、どんな状況なの?」


「あぁ、うん。まず生存者なんだけど、学校にいる人だけではあるけど……生きていたのは、100人前後だった……」


「…………そう、なんだ」


 なんでだよ……。知っていたはずなのに、この結果のことを探索スキルで知っていたはずなのに……第三者から言われることで、より現実みを帯びてくる。


「それで状況は、ワイバーンの攻撃がブレスくらいで、直接の攻撃が幸運なことになかったから建物自体は大丈夫。でも、やっぱり叫びは逃げられなかったみたい」


 やっぱり……《叫び》は……きらいだ。


「それで、……千尋くんのことについて聞きたがっている人が4人」


 はぁ……。これも、やっぱり。みんなの前で力なんて使いたくなかったのに……。ワイバーンを討伐できて嬉しかったけど、あそこで出てほしくはなかったな。


 ……いや、でも、あそこででてくれなかったら、僕は死んでいたんだよな。


 命の恩人、なんだよね。


「分かった、いいよ」


「……いいの?」


 そう答えるのが意外だったのか、頓狂な声でそう尋ねてくる。


「うん、命の恩人なんだし」


「そうだね」


「そうだ、楓さんは親友さんに会いに行ったら? 久しぶりで色々と話すこととかありそうだし」


「いいの? ありがとう!」


 そして、大急ぎで親友さんのところであろうところに行った。よほど行きたかったんだろうな。でも、僕がいたから……。


「……で、早く入ってきたら? みんな?」


 ガチャ、と保健室の扉が開く音。


「邪魔したくなくて隠れていたつもりだったんだけど、バレるんだ……」


 そして、4人が入ってきた。


 意識がもう戻っているために、僕の《探知》によって扉の向こうに誰かが居ることはわかっていた。そして、それが4人だったために、そう予想することができた。


「一体、何者なんだい? 青柳くんは?」


「そうそう、言い方がちょっとあれだけど、あんな人外な力を使えるなんてね」


 これは、目の前で自分の力を見られてしまっている今、誤魔化しようがない。


 ねぇ、ナビゲーター。いい方法とかないかな。


《うーん……こうなったら見られていないものでやばいやつを隠して、それでステータスを教えるというのはどうでしょうか?》


 あぁ……、よし、それでいこう。じゃあ、ヤバそうなのは見られないように一旦消しておいてっと。


「じゃあ、《ステータ……って、他の人には見ることができないんだったね。ねぇ、みんな。一回パーティ登録してもらってもいいかな?」


「ぱ、パーティ登録? そうすることで、千尋くんのステータスを見ることができるのか?」


「うん」


「でも、どうやるんだ?」


「それは……こうやって……それで……」


「おおっ!」

「すげぇ!」

「こんなのがあったなんて!」

「……こんなものが……」


 みんな多種多様に驚いている。なんか、僕が先生をしているみたいで、なんか嬉しいかも。


「ん……?なに?この、『高木 楓』……って。」


「本当だ。俺たちじゃないやつが入っているんだけど」


「青柳、なんか知らないか?」


「…………あ」


 わす……れ……て……た……。


 バレたらまずいスキルを隠そうとするばかり、そっちには目がいかなかった。やってしまったと、僕は顔を俯かせた。

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