第14話 作戦会議をしてみた日

「それで何だけど、楓さんはこれからどうするつもりなの?」


「うーん……恥ずかしい限りだけど。考えていないんだよね。食料をちょうどため買いしたあとだったから良かったけど、なくなったらねぇ……」


「そうだよね……あっ、そうだ。それなら、僕が食べ物を集めようか?」


「えっ、いいの? でも、千尋くんの職業は引きこもりなんでしょ……。それなら、食べ物を買いに行くときに、大丈夫なの?」


 少し大丈夫なのか、と心配そうな顔で顔を傾けて僕に尋ねる。


「いや、レベルを上げたんだよ。そのおかげで今は、8レベルまで」


 僕が、今のレベルを言うと、楓さんは驚いた様子で聞き返してきた。


「えっ、本当に!? まだ私のレベルは3くらいだよ……?」


「あ、うん。あの……生活魔法という小さな火を出したり水を出したりする魔法がありますから。」


「えぇー、いいなぁ」


 あ、聞いたところ、レベルは一応上がっているんだね。っていうことは、外に出たりし……てはいないよね。どうやっているんだろう?


《多分、ニートの中のスキルの1つだと思います。それより、一緒に行動するならパーティになったらどうですか?》


 ん? パーティ……?


 え、この世界にそんなのも存在していたりするんだ。それで、どんな効果があるの?


《えーっと……パーティになれば、迷子とかになりません。居場所とかもわかりますし、いきているかの確認にもなります。》


 へぇー……まぁ、とりあえず聞いてみるだけ聞いてみるか。


「ねぇ、楓さん、僕とパーティっていうのにならない? そうすれば、モンスターに襲われているときに助けてあげることできるし」


「え、そんなのがあるの? でも……本当にいいの? 私はすごい弱いから迷惑じゃない?」


「いや、違うよ。というか、こちらこそ弱いけど、大丈夫かな?」

 

「いやいや、私のほうが……じゃあ、お願い」


《じゃあ、この楓さんとパーティを組みますね。とりあえず、楓さんの方はやり方を知らないでしょうから、こっちから申請します。》


 ピッ!


「……えっ!」


 その僕の脳の中で小さな効果音みたいなものが聞こえたとともに、なぜか楓さんも驚いていた。


 聞こえていたのだろうか。いや、違う。多分、ナビゲーターが申請とか言っていたからその申請画面に驚いているのだろう。


「えーっと……じゃあ《認証》」


《申請が受理されました。》

《高木楓のパーティに加わりました。》


「おぉ……」


 あんまりよくわからないんだけれど、すごそうな感じがする。


《そういえばなんですが、パーティ登録をすると、パーティのステータスが見られるようになりますよ。》


 えっ、そうなの……!?


「ねぇ、楓さん。ステータス画面を開くと、僕の能力も見えるようになるらしいよ。」


「えっ、そうなんですね。《ステータス》」


「じゃあ、とりあえず僕も楓さんのステータスを見てみようかな。《ステータス》」



名前 青柳千尋

人間 LV8

HP 12/12

MP 18/18

力  8

耐久 16

敏捷 15

器用 9

魔力 0

SP 0

JP 4


職業

引きこもりLv8


ユニークスキル

ナビゲーター


スキル

孤独耐性Lv8ストレス耐性Lv8恐怖耐性Lv9気配遮断Lv8鑑定妨害Lv8生活魔法Lv4肉体強化Lv1敵意感知Lv1危機感知Lv2麻痺耐性Lv1MP自動回復Lv5瞑想Lv4望遠Lv2聞き耳Lv2暗視Lv1



名前 高木楓


人間 LV3

HP 8/8

MP 23/23

力  4

耐久 6

敏捷 4

器用 5

魔力 0

SP 0

JP 0


職業

ニートLv2

オタクLv1


ユニークスキル

ログインボーナス


スキル

ガチャガチャLv2認識阻害Lv2ストレス耐性Lv1孤独耐性Lv1HP自動回復Lv1MP自動回復Lv1料理Lv1睡眠(快眠)Lv1



「おぉ……」


 楓さんの職業って、なんで2個もあるんだろう?職業がニートにオタク? それに、ユニークスキルにログインボーナス? スキルにガチャガチャ?


 いろいろと、ツッコミどころが満載な感じの基礎能力だよ……。


《あ、ちなみにこれ、見たくないよっていうときは、他のパーティのものは省略することができますよ。》


 へぇー……。《省略》


高木楓 Lv3

職業  ニートLv2

    オタクLv1


 おぉー……! 普段はこんなに楓さんのも詳しく見ることとかは無いだろうし、プライバシーもあるだろうから、こうしておこう。


 それで、ある程度ツッコミた……質問したい部分をまとめ終えて、楓さんに聞こうと楓さんの方を見てみると、なにか少し呆れたような顔をしていた。


「あ、えーっと、どうしたんですか……?」


「これ、私のスキルの量や質みたいなのと比べてみてよ……。これは……私がニートだって言うのを置いておいても多分チートだね……」


「えぇ……?」


「あー……こんなことなら私もニートなんてえらばなければよかったよ…グチグチ。それに、なんで私のガチャガチャだったりログインボーナスだったり……まぁ、なんか良さそうな気もするけど、私の運が悪すぎだったら全く持って意味がないでしょうが!…グチグチ。あー、どうせ私なんてもうすぐ死ぬ運命なんですよ…グチグチ。分かっているんですから…グチグチグチグチ。そんなこの世界は甘くないんだって…グチグチグチグチ。でもね、せめて私にもなんかチートくれよ、チート…グチグチグチグチグチグチ。せめて生きる力をくれよ、神!…グチグチグチグチグチグチ……。」


 あ……、根暗モードに入った。急に根暗になったり、急にすごい早口になったり、すごい長話だったり……。それに、すごい悪口を言っていたりしている。


「あ……あの……?」


「あ、ごめんなさい……」


「いや、別にいいけど……」


 ちょっと、これは世界が楓さんにとって悪いものなんだと思わせてはならないな、そして、これはなだめるのがすごい面倒くさそうだ、と思ってしまったのは秘密ということで。



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