第15話 第2職業が選べるようになった日

「とりあえず、楓さんに食料を集めてくるって言っちゃったし、久しぶりに……っていってもほとんど経っていないけど、モンスター討伐祭をしてみようかな」


 僕は、楓さんとの話し合いみたいな作戦会議も終え、解散して自分の部屋に戻ってきていた。


 ちなみに、さっきパーティ記念ということで、昼ごはんを一緒に食べてきた。美味しかったぁ。


「じゃあ、始めますか。ねえ、ナビゲーター。今の僕のマジックポイントは?」


《えーっと……18ポイントですね。まあ、1ポイント残すと考えると17ポイントですが。》


 ふむ。それなら、えーっと一体あたり3ポイント使うと考えると……5体ほどを一気に倒せるというわけか。


「じゃあ、早速……」


 火を1回ごとに思い浮かべるのも何だし、一度に何個も思い浮かべてっと。


 ホイッ。


 バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!


《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》


「……ふぅ。疲れたぁ。同時に何個も思い浮かべるって結構大変なんだね……」


《え……普通は、そんなことスキル 並列化とか、スキル 並列処理とか、スキル並列意思とかないと無理ですからね。あなたの身体、どうなっているんですか?》


 さぁ? 引きこもりって、案外強いのかもね。


《……そう、なんですかね。》


 なんて話しながら、今も瞑想を続ける。もう随分慣れたものだ。


「今のマジックポイントの数値ってどのくらい?」


《いやいや、まだそんなに経っていないんですから。回復するわ……け……え……? もう、2ポイント回復しています。》


 ふむ……。そうか。


《ふむ……。そうか。……って、そうじゃないですよ。なんなんです? この上がり具合!?》


 MP自動回復と瞑想のレベルを上げたからかだろうな。上がり具合がおかしいとナビゲーターが叫んでいる。まぁ、多分あまり動かなかったことが原因なのもあるのだろう。


「それにしても、レベルは上がらなかったか。5体も倒したのに……」


《まぁ、そうですね。必要経験値は、毎回上がっていきますからね。》


 そして、10分もすると、マジックポイントが18までたまっていた。


「じゃあ、もう一回。これ疲れるからやりたくないけど、まぁモンスター討伐祭(仮)だし。面倒くさいけど我慢我慢!」


 バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!


「…………ふぅ」


《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》


《経験値を獲得しました。》

《経験値が一定に達しました。》

《青柳千尋のレベルが9に上がりました。》


「おっ、やっとレベルが9に上がったな。これでまたクリーンタイムっていうか、休憩時間に使う暇つぶしができたよ」


 そして、暇時間の10分の間に、まずは引きこもりのジョブレベルを、前に残っていた4ポイントと合わせてレベル9にした。


 そして、次はスキルポイント5ポイントで、今あるスキルのレベルを上げた。その内訳がこうだ。


肉体強化Lv1→Lv2


 まぁ、引きこもりのレベルが10に上がって運び屋を取ったら外に出るからね。そういう系のスキルも上げておかないと。


 それと追加で、この肉体強化は目の能力やら人の力を上げるものだ。そのため、いわゆる疲れ耐性にもなるので楽だ。


 そして、3ポイントは温存しておく。新しくスキルを取るほどでもないからね。それに、アイテムボックスのレベルを10まで上げないと保温機能がつかないらしいし。


「じゃあ、時間は無駄にしたくは無いし、もうマジックポイントはたまっているから再開だな」


 バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!


「……ふぅ……っと」


《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》


 そして、その周期みたいなものを何度も何度も何度も何度も行った。


 そして、外はもうちょっとずつだけど赤っぽい空が暗くなってきているとき。モンスター討伐祭をしながら晩ごはんを食べていて、ちょうど食べ終わったときのことだった。


《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》

《経験値を獲得しました。》


《経験値を獲得しました。》

《経験値が一定に達しました。》

《青柳千尋のレベルが11まで上がりました。》


「……え?」


 突然のことで戸惑ってしまった。そして、今なにが起こっているのか理解すると、少し気持ち悪いくらいの笑顔で僕は叫んだ。


「やったぁ!」


 よしっ! これで明日から第2職業が手に入って、アイテムボックス手に入って、コンビニに行ったりできるようになるよ!


 僕は、ようやく待ちに待ったこの引きこもりのレベルを11まで上げる……そして、ジョブレベルを10まで上げるということができて、とっても嬉しかった。


 でも、興奮状態だといろいろ変な選択をしてしまうかもしれないと考え、今日はこのまま寝てしまうことにした。


 ……ちなみに、楓さんが僕の叫びに反応して、ぼくの部屋の方に来ていたらしいのだけど、興奮状態の僕は知る由もなかった。

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