第16話

異世界転生後初めての夜が明け2日目がやってきた。


「ふぁ〜あ。よくねt…!?」


お決まりの朝の言葉を言おうとして言葉が詰まった。


「最悪だ…朝目が覚めて何よりも先に見るとのがごついおっさんの顔!?」


どうやらフォルトは寝相が悪いらしく寝る時はかなり布団を話したはずだったのだがすぐ隣に居た。


「起きろ!気持ち悪いわ!!」


そう鐡華が叫ぶとフォルトは寝ながら眉間にシワを寄せた。


「うるせぇぞクソガキがぁ…久しぶりに飲みすぎて頭がいてぇーんだよ…騒ぐな」


自業自得じゃないかと耳元でもう一度叫んだ。


「俺の修行はいつからやるんですかぁー!?」


どうせなら直ぐにでも修行を始めてしまいたいので文句としてその事を叫んだ。


「てめぇドMかよ…キツイぞって言ってんのにそんなに早くやりてぇのかよ…」


極めて不本意な誤解をされている。


「違うわ!?俺は早く強くなりてぇーんだよ」


鐡華がそう言うと文句があるようにフォルトが顔をしかめた。


「そんなに早く強くなりてぇーなら何故転生の時に願わなかった?」


転生をする時の事も話してあるのでその事を言っているようだ。


「自分で努力を実感出来ないのに強くなってるなんて気味が悪いし何より…俺はそんな強さは信用出来ねぇ!」


鐡華がそう言うとフォルトはニッコリと笑った。


「お前と話してるとホントに飽きねぇ〜な!」


そう言い布団から起き上がった。


「まぁそんなに言うなら修行始めてやるか。」


そういうとキッチンの方に行ってしまった。


「修行で何でキッチンなんだ?」


すると直ぐにフォルトは大きな袋を持って戻って来た。


「何持ってんだ?それが修行のアイテムか何かか?」


中に何が入っているのだろうと見ていると


「これはとうもろこしを乾燥させたもんだ。これを今から熱するから跳ねたもんを鉄化した状態で掴み取れ!」


何を言い出すかと思ったらポップコーンを作って跳ねたものを取れという事らしい。


「そんな事で良いのか?」


想像してた修行とあまりにも内容が違ったので驚いた。


「ナメてると痛い手にあうぞ。まぁ聞くよりとりあえずやってみろ。」


そう言われた熱し始めたとうもろこしの前に立った。

「やるからには全力だ!」


そう言い構えていると直ぐに跳ね始めた。


「とりあえず目の高さ位まで跳ねるのを待ち、いい感じになったら手を出してみろ」


そう言いフォルトが言ってきた。


「りょーかい!見てろよ〜」


そう言った直ぐにでも目の高さまで跳ねた。動体視力が上がっているのでよく見える。タイミングを合わせて手を伸ばした。


「そりゃ!」


勢いよく掴みに行ったが空振りだった。


「なに!?」


掴めなかったことに驚いていると


「動体視力が上がったからっててめぇ自身の身体能力が全部上がってる訳じゃねぇーんだぞ?」


そう言われうさぎのモンスターと戦った時のことを思い出した。


「そういやジブが考えてんのと実際に動くのじゃラグがあんだよな」


動体視力と身体能力の誤差と鉄化している重さで思うように動く事が出来ないのだ。


「これは大変だな…」


そう言うとフォルトがやっと理解したかと笑っている。

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