第12話
「テツハル!」
フォルトは突然大声で鐡華の名を呼んだ
「なんだよ!?近くにあるんだから大声出すなよ!びっくりするだろーが!」
筋骨隆々のおっさんにいきなり大声で名前を呼ばれたら誰だった驚くだろう。
「なに、大声を出したのは俺の決意の現れだとでも思ってくれ。」
そうフォルトは話し始めた
「お前俺の元で少しの間だけでいい、鍛錬してかないか?この世界の事も教えてやるよ」
鐡華にとっては願ってもない提案だ。
「いいのかよ!そんなのこっちからお願いしたいくらいだぜ!」
実践経験が無くどんな敵と戦う事になるか分からない世界だ、それに自分はこの世界の事をまだ何も知らない。
「まぁそれにこのまま冒険者ギルドに行っても試験に落ちてしまう可能性が高い。」
そう説明を始めた。
「冒険者ギルドがあるのか…落ちるってのは俺に戦闘の実力が無いからか?」
いきなり落ちると言われても納得は出来ない。
「まぁそれもあるが魔力が全く無いのが大きな原因だ。それ程までに魔力ってのは大事なんだ。」
それを聞けば納得だ。何せ自分にはこの世界で存在価値の全てと言ってもいい魔力が全く無いのだから。
「そこんとこは俺がギルド職員に紹介状という名で喧嘩を売っといてやるよ!」
そう言いフォルトは笑っている。
「喧嘩を売っとく!?印象悪すぎるだろ!?」
自分がギルドに行ったらギルドの職員は敵なんていうことは避けたいことだ。
「安心しろ。喧嘩を売ると言っても魔力に関係なく試験をしてもらう為に職員とサシの勝負にしてもらうだけだ!」
なんという事を言い出すのだろうか。戦い慣れている人間と戦わなければならないなんて。
「おいおい。それに俺が負けたらどーなるんだよ!?」
絶対に勝てるなんて事がある訳がない。
「大丈夫だ!その為にここで鍛錬をしないかと言っている」
余程に強くする自信が有るようだ。
「俺はつよくなれるんだな?」
そう意志の籠った目でフォルトを見る。
「あぁ。俺がお前をこの世界で通用するくらいには鍛えてやる!ただしだ、俺は加減が苦手でな。それでも構わないか?」
そう聞き返してくる。本気の目だ。
「あぁ。有りがてぇよ!俺はこの世界で強く生きなきゃならねぇ!その為に必要なことなら逃げるものか!」
そう決意を固める鐡華とやる気に満ち溢れるフォルトだった。
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