第10話

「とまぁ。こんな感じだ。信じるか?」


異世界転生の経緯を説明し終え相手の反応を待つ。


「この世界の人間じゃないだろと聞いたのも俺だし辻褄はまってる。それに何より人が嘘ついてるかついてないか何て顔見りゃ分かんだよ。」


そう言い笑いかけてくれた。今度の笑顔はしっかりと目も笑っていた。


「しかし何だなぁ…母との大切な日に…可哀想だなぁ!?」


そう言い泣き出した。


「どういうキャラだよ!?おっさんめっちゃいい人だな!?」


予想外の展開な驚きの声を上げる。


「よし!小僧!気に入ったぞ!」


そう言い手を差し出してくる。恐らく握手を求めているのだろう。


「小僧じゃねぇ鐡華だ!宜しくな!おっさん!」


そう言い強く差し出された手を握り返した。


「こっちもおっさんじゃねぇ。フォルトだ!」


お互い名を明かし。打ち解けることが出来た。すると突然


「テツハル。この世界の人間じゃねぇって事はこの世界の事を何も知らないという認識で間違いないか?」


フォルトは改まった様子でそう聞いてきた。


「あぁ。その認識で間違いない。この世界の事は魔法があるって事くらいしか知らねぇ。」


そう言い唯一自分がこの世界の事で知っていて前世では存在しなかった現象の事を話した。


「元の世界には魔法が無かったのか。お前ステータスは確認出来るか?」


そう言い表情を伺ってくる。


「あぁ。ステータスなら確認出来るぞ。魔力はゼロだけどな」


そう言うとフォルトはぴくりと眉を動かした。


「なに?それは本当なのか?」


少し表情を強ばらせそう聞いてくる。


「嘘を着く理由がないだろ?本当だよ。何かまずいのか?」


そう言うとフォルトは1度目を閉じ


「いいか?よく聞けよ、この世界で魔力が無いってのは存在価値が無いのと同意義だ。お前はこの世界で相当苦労する事になるだろう。」


そういかにまずい事か説明してくれた。


「マジかよ…そんなやばかったのか…」


想像以上の深刻さに一瞬目を伏せるが直ぐに


「まぁ何とかなるだろ?俺は強く生きるって決めたんだ。今更そのくらいで落ち込んでなんていられねぇーよ」


目を開き改めて決意するように言葉にした。


「そうか、お前がそう言うなら俺が気にする事はねぇな」


そう納得するように何度も首を縦に振り笑ってくれた。


「実を言うとな。俺もほとんど魔力が無いんだ。そんな俺がほとんど武術だけで実績を積み上げまくったから周りの奴らは俺を認めたし俺の居場所は有ったんだ。だからたとえ魔力が全く無くてもさらに俺より頑張りゃどうにかなるわな!」


そう言いながら鐡華の背中を思い切り叩いてくる。


「痛ってな!?まぁありがとな。フォルトのおっさん、実際にどうにかなった人が目の前に居るってのは心強いわ」


フォルトの話を聞いて努力で何とかなるということが分かった事で気持ちにも余裕もってが出来た。

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