第9話
「街って本当に近くにあるんだよな…?」
転生した場所がとんでもない辺境の地だったらちょっと歩いたくらいじゃ街は見えてこないだろうと想像してしまう。
「あの神様に限ってそんな酷いことしないと思うんだが…。ダメだ考えるのやめよ」
悪い想像ばかりしていても悪い結果な繋がってかまう。
そんな事を考えながら歩いていると小さな山小屋が見えてきた。
「何だよ。やっぱ人いるじゃん!」
心の中でふぅ…と安堵の息を漏らした。
「すいませーん!だーれーかーいませんかー?」
大声で人が居てくれと願いながら叫んだ。
少ししてから中から物音がした。
「良かった。人は居るみたいだな。」
ガチャ…と扉が開いた。
「何処のバカタレだ!」
そう叫びながら筋骨隆々の爺さんが中から出てきた。
「モンスター…」
思わず思った事を口に出してしまった。
それを聞いてムキムキのお爺さんの眉がピクリと動いたのが分かった。
「小僧…いい度胸だ。特別に家に入れてやる、まぁ…ゆっくり話そうか?」
やっちまったー!と心の底から思った。
「はい…失礼します…」
もしかして無意識に鉄化してるのかな?と思うくらい身体がいつもより重く感じた。
「まぁそうかたくなるなや。小僧」
そう言いながら笑いかけてくるが全然目が笑っていない。
「えっと。食っても美味くないですけど?」
そう言いながら微笑み返してみる。
「はっはっはー。面白い事を言う小僧だな」
そう言い笑いかけてくる。また目は笑っていない。
「そうですか?あはははは」
とりあえず笑い返しておく事にする。
「まぁ何だ、実際怒っちゃいないさ。いくつか質問したいだけだ、だからそう怯えんなって?な?」
怒っていないなんて絶対うそだ!そんな事を思いながらも何とか心を落ち着かせ普通に話してみる。
「はい!なんなりと質問してくださいよ〜」
あれ?言葉遣いが変だな?無意識に変な敬語になってしまった。
「小僧。この世界の人間か?」
唐突にそんな事を聞いてきた。思わず真面目な顔になる。転生者というのは普通なのだろうか?万が一を考え慎重に話を進める事にした。
「おっさん。どういう意味だ?」
どうやらいきなりの質問で心はむしろ落ち着いたらしい。
「何だ小僧、普通に話せんじゃねぇか。まぁ何だ。この辺りは普通の人間はいないのさ。モンスターが突然変異起こしやすくてな。」
そう言いながら質問の理由を話してくれた。
「質問に答える前に1つ聞くがおっさんはどんな人間なんだ?そんな普通の人間が近づかないような場所に1人で暮らしていて」
普通の場所じゃない所に住んでいる人間が普通な訳がない。そしてあの筋肉だ。
「俺は元冒険者だ。これでもかなり有名なんだが、それこそ俺を知らない奴が居ないと言われるくらいにはな。やっぱり小僧この世界の人間じゃないだろ?服装も見たことがねぇ。」
そう言い核心をついてくる。どうやらかなりすごい人らしい。元冒険者で知らぬ者が居ない、相当強いのだろうと容易に想像がつく。
「ふぅ。」
呼吸を整えてから
「あぁ。俺はこの世界の人間かじゃねぇ。会ったばかりだがあんたを信用して本当の事を話させてもらう。」
そう前置きをし転生の経緯を話した。
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