第6話

「生き残ったのは良いとしてこれって…肌の色戻せるよな?」


もし戻せなければ人に会った時に異世界だろうと変なやつ認定は間違いないだろう。


「【毒素分解】と【物質結合】ので運良く助かったけど多分みんなが持ってる訳じゃ無いよな。」


何より自分をこんな状態にしたのは変異体と表示されていた。そう何匹もいる訳がないだろう。


「何とかならねぇーかな」


そう考えていると自然と肌の色が元の色に戻っていった。


「うぉ!?戻った!?」


どうやら意識する事で元に戻るらしい。それが分かると今度はまた鉄に出来ないかと試したくなるものだ。


「こんな感じか?」


試しに右手だけを鉄にするようにイメージしてみる。

すると身体の内側から人がるように右手が鉄に変わった。


「最初はビックリしたけど慣れれば良いかもな。戦う事になった時も使えそうだ。」


今度は左手も鉄に変えてみる。


「若干だが腕が重い気がするな…」


軽くスパーリングをしてみる。

やはり鉄化させている部分は重量が増すらしい。


「これはトレーニングが必要だな…」


軽くスパーリングをしたつもりだったが想像以上に疲れる。


「とりあえず森の中にずっといる訳にも行かないよな。街って近いのか?」


とりあえず行動を開始し川でも探してみる事にした。

「そうだ!折角だし鉄化したまま動くか。」


全身を鉄化させたまま動けば良いトレーニングになるだろう。


「全身に重りがついてるみたいだな。」


効果が期待できそうだと未来の自分を想像する。


「親父のDNA入ってるしな。これから鍛えても十分でかくなる可能性は有るだろ。」


自分が幼い頃に亡くなってしまった父の姿を思い出す。

父はロシアの軍人で見るからに強そうな人だった。


「これは楽しみだな」


未来の自分への期待に喜びながらも家族の顔を思い浮かべ少しだけ寂しい気持ちになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る