第5話
口に入ってきた変異体スライムのカリュプスはどんどんと体内の奥へ奥へと行ってしまう。その度に喉が燃えるような痛みを与えてくる。
「がぁぁぁぁあ!!!」
遂にスライムが完全に体内に入ってしまった。
「うぁぁ!熱いっ!身体がバラバラになりそうだ!」
体内で全身に広がり暴れ回っているのを感じる。
「ああぁぁぁ!」
突然視界が真っ赤に染まった。どうやら血の涙を流しているらしい。だが視界が赤くなったところで今はそれ所ではない。
「まだ死ぬ訳にはいかないんだ!どんな世界でも強く生き抜くって決めたんだぁぁ!」
異世界に行くことになり母と別れの言葉を交わした時に決意した事を大声で吐き出した時、全身が淡く輝いた。
「今度は何だよ!?」
次第に痛みと熱が引いていくのを感じた。しばらくすると正常な感覚を取り戻していった。
「なんだったんだよ…俺は助かったのか?」
自分の身体の感覚を確かめる様に自分の手を見つめた。だがその目に映ったのは普通の肌色の皮膚ではなく、鉄の様な無機質で人間味のないものだった。
「目が可笑しいのか!?」
触って確かめたが確かに触ってい感覚がある。だが指先に感じるのは正に鉄そのものだった。
「おかしいのは目じゃなくて全身かよ…」
恐る恐る顔に触れてみるも鉄と鉄のぶつかり合う高い音がした。人のものではないなにかである事を実感する。
「身体の詳しい状態は専門家か神様しかわかんねぇーよな。」
自分がどんな状況に陥っているのか考えていると目の前にステータスが表示された。
スキル【物質結合】【毒素分解】
健康状態・良好
ステータスに表示されている健康状態は今の自分には最も遠いはずの状態を示す文字だった。
「良好って…考えたやつ誰だよ…」
思わず1発殴りたい気持ちが込み上げてくる様な状態だ。
「このスキル【物質結合】【毒素分解】で助かったって事か?」
表示されている文字からそんな事に思いを巡らせる。
「毒素分解であのスライムの毒を消して物質結合であの鉄みたいな何に身体が変化したってことか?」
ここは異世界だと何となく納得した。今は生き残っただけでもラッキーといえるだろう。
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