第2話
次に目が覚めた時には様々な色に神々しく輝く不思議な空間で目の前には知らないおっさんが座っていた。
「目が覚めたか…」
俺は目の前におっさんが自分に話しかけているのには気づいていても反応することが直ぐには出来なかった。
「俺は確かにに死んだよな?此処は何処だ?」
やっと正常な機能を取り戻した脳を動かしてそんな疑問を口にした。
するとそのおっさんはここは世界と世界の狭間の空間で自分はイデアという世界の俺が居た世界とは別の世界の神だということ、そして悲惨な死を遂げた俺に異世界転生の機会を与えるという事らしい。
そしてその際、可能な限り願いを2つまで叶えてくれるそうだ1つ目の願いは直ぐに思い付いた。
前世の人達から俺の記憶を全て消してもらうことだった。
俺が死んで悲しむ人が居るだろうし何より母さんに泣いて欲しくなかった。だが神様は記憶を完全に消すことは出来ないと言った。
「今、お前の母はお前の残した手紙と花を大事に抱えて泣くのをぐっと堪えておる。お前との思い出を振り返っているのだ。だから溢れ出る記憶の波を完全に消すことは出来ないんだ。」
そう言いながら空中にその様子を映し出してくれた。
「本当に強い人だな…。ならせめて母さんにひとこと伝えたい!」
ほんとうに一瞬、10秒間だけ姿を表せると言われた俺は母の日には毎回伝えている言葉。だけどどんなに伝えても伝えきれない言葉を最後にもう一度伝えようと決めた。
「良し。頼む」
俺が願いを改めて伝えると
「その願い。聞き届けよう!」
と神様が言い俺の身体がこの空間と同じように様々な色に神々しく輝いた。
「10秒間だけだ。大切にな。」
俺が頷くのと同時により一層強く輝き、目を開けるとそこには母さんが居た。直ぐに深呼吸をして思いを口にする。
"母さん。俺を産んでここまで育ててくれてありがとうこれから言うはずだった何千何万回分の気持ちを込めるよ…ありがとう。さようなら。"
言い終えると同時に再び身体が輝き目を開けると狭間の世界に居た。
「しったりと気持ちを伝えられたか?」
優しく神様が俺に問いかけた。
「ああ。バッチリだ!」
俺がそう言うと神様はニッコリと微笑んだ。
「最後にさ。母さんが涙を流したんだ。だけどあれは悲しみの涙じゃないと思う。凄く力強くて。俺に"しっかりやれよ"って言ってくれてるような気がしたんだ。だから俺は母さんがよく言ってたように絶対に下は向かない!何が何でも新しい世界だって絶対に強く生きてやる!」
そう決意し拳をギュッと握りしめた。
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