第16話

蘭はアッサリ見つかった。

流石親父というべきなのかはわからないが。

知らない間に県外の大学も受けていたようだった。


あぁ、そういえば自称妻を名乗る親父の愛人はそれよりアッサリ見つかった。

わざわざ親父に言いに来たんだそうだ。

息子に悪い虫がついていたから追い払ってあげたと。


山奥にある別荘の地下に入ると由藍が道具を出しながら鼻歌を歌っていた


「もう始めてた?」


「いんやー、今から」


拘束され吊るされた女はまだ眠っているのかピクリとも動いていない。

汚れてもいいように服を着替えバケツに水を汲む


「さて、始めるか」


「あいよー」


由藍は女にバケツの水を思いっきりぶっかけた。


「ゲホッゲホッ

な、何すんのよ!!私が誰だかわかってるの!?」


目を覚ました女は自分が拘束されてる事に気づきギャンギャン喚き始めた。

蘭以外の声は本当に不快でしかない


「お前こそ誰のモノに手出したかわかってんのか」


女の髪を掴み顔をあげさせる

強く掴んでるせいかブチブチと髪の毛が抜けてる気がするがどうでもいい。

直接触りたくないから手袋してるけど


「例え藍君でも、こんな事したら和正が黙ってないわよ!?」


「俺の名前を気安く呼ぶんじゃねぇ

汚れるだろ」


腹を蹴るとゲホゲホ言いながらよだれを垂らす女。本当に汚ぇ


「お前、蘭に何した。

何で蘭に手を出した。答えなきゃお前の爪1枚ずつ剥がす」


「蘭…?あぁ、あの害虫の事?

駄目よ、藍君。貴方は将来和正の跡を継ぐんだからあんな女とっイッギャアァアアア!!??わ、わわわ私の爪が…!?」


余りにも不快すぎて最後まで聞く前に剝がしてしまった。やらかした。


「お前の気持ちなんかどうでもいい。

やった事だけ話せ。生憎俺は気が長くねぇからな簡潔に詳しく話せ」


「わ、わわ、私は何もしてないっ!

やったのはあの女じゃない!私は何もしてないわ!」


「お前が嘘つくのは勝手だ

痛いのはお前だけだしな」


人差し指の爪を剥がすとまた叫び出す女。


「藍ー、やっぱり痛みじゃだめなんじゃない?

こういう人間って自分が死ぬと思わなきゃゲロんないよ」


「なら、簡単にやるか」


吊していた女を寝かせてその上に由藍が乗る

抵抗できないよう手足は他の場所へ繋いである。

濡れタオルを女の顔に乗せその上から水をかける。


ガチャガチャと鎖が暴れる。

死にかけるのはいいが、まだ死んでもらっては困るので一旦水を止めてタオルを退かすと必死に息をする女


「もっかい聞くわ。蘭に何した?」


「い、言えば、た、たた助けてくれるの?」


「考えてやるよ」


「あ、貴方に彼女は相応しくないと思ったから深雪に頼んだのよ。捏造でも何でもいいから彼女から離れさせてって。

だ、だけどそれでも離れなかったから……」


「から…?」


言葉に詰まる女。さっさと言えよ糞が


「れ、レイプさせた。貴方に頼まれたって言って……」


怒り、悲しみ

そんなの吹き飛ばして無だった。

ただ、この女を殺す事しか頭になかった。

持っていたナイフで女を刺そうとする俺を由藍が止める


「うわっ、顔おっかねぇな!

だけど、まだ駄目だ。藍は上行ってろ。

まだ聞きたいことあるから、殺すのはその後だ」


由藍は俺からナイフを奪い取り二カッと笑った。

そのまま俺をグイグイ押して部屋から閉め出した。


知らなかった。そんな事が起きていたなんて。

蘭に変化はなかったのか思い出してもいつもと変わらなかった。

本当に俺が頼んだと信じたのか?分からない分からない。

蘭が考えてる事が分からない。

理解したと、近づいたと思う度に君は居なくなる。

俺から離れてく。


俺はどうすればよかった?

君を諦めれば良かった?

君と出会わなければよかった?



君を好きにならなければ良かった………?



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る