第10話

「藍、確保出来たって。」


「じゃあ、行くか。」


陣に運転してもらい着いたのは山にある別荘。


「陣、アイツもう来てる?」


「はい、先に始めてると申しておりました。」


「おっけ。

陣は休憩してていいから。」


向かう先は別荘の地下。

階段をおりて少し重い扉を開ければ裸で隅に縮こまる女共の姿があった。


「さ、榊…君っ」


俺に縋るような声で、期待に満ちた目で俺を見る女共。

こいつら俺に何期待してんだ?


「由藍(ゆらん)こいつ等吐いた?」


「んーんっ。馬鹿の一つ覚えみたいに同じ事ばかり!」


赤い髪の毛を緩くハーフアップして

チラリと見える耳にはジャラジャラと揺れるピアス。

顔の作りは整っていて猫かぶってる時は笑顔でサラリと相手を落とす。

多分今回はそんな感じで連れてきたんだろう。


「そっか。

なぁ、お前ら蘭に暴力ふるってたろ?」


笑顔で聞くとフルフルと首を振った。


「してないって?

それが嘘だったらお前たちどうする?

それが本当なら何もしないが嘘だった場合無事で帰れると思うなよ」


「な、何もしてないっ」


お互いの顔を見合わせコクコク頷く女達。


「由藍。」


「あーいっ!

いやぁ、やっぱり念の為に撮らせておいて良かったねぇ」


大画面で流れ始める虐めのシーン。

音声もバッチリ入ってる。


それを見てどんどん青ざめる女共。


「俺さっき言ったよね?

嘘だったら、無事で帰れると思うなよって…。ね?」


「わ、私は何もしてないっ

ぜ、全部冷夏がやった事よ!

だ、だから私は帰してっ」


「は?そんなの知らねぇよ。止めなかったお前も同罪に決まってんだろ。」


突然擦り付け合いが始まりウザくて机の上にあったコップを投げつけたら静かになった。


「じゃ、じゃあ深雪は!?

深雪は何でいないの!?あの子だって居たじゃない!」


「お前等と深雪を同列に語んな。

ってか、これ見てまだわかんねぇの?」


アングル的にもそうだが

ずっと深雪だけ映ってない事に気づいてないのか?


「アイツはこっちの人間だ。

さぁて、それじゃあ蘭が味わった苦痛お前等にも味わってもらおうか。」


ニタァと笑うとヒィッと悲鳴が上がる。

此処は防音になってるからどれだけ悲鳴をあげても外には聞こえない。


あぁ、早く蘭の元へ帰らなきゃ。


蘭に報告した時の反応が楽しみで、俺は笑顔が止められなかった。

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