第9話

明日についての話し合いをして帰ってから普段着に着替えた。


蘭はまだ寝てるだろうか?

食材を冷蔵庫に入れて部屋を覗くとキョロキョロしながら首を傾げる蘭が居た。


「あ、起きたんだね。おはよう」


「おはよう?」


コテンと首を傾げてるから、状況が把握出来てないんだろう。


「疲れてたのかぐっすり眠ってたから俺の家に連れてきたんだ。

蘭の御両親にも連絡しといたからまだ寝ててもいいよ?」


「う、うん?」


「後、明日はここでゆっくりしてて?

蘭の好きな本とか準備したから。お願い。」


「え、でも……「お願い」……わかった。」


蘭の頭が回ってないのをいいことに言いくるめる。

真面目な顔で言えば渋々という感じに頷いてくれた。


「蘭、晩御飯何食べたい?」


「んぅー…何だろう?ハンバーグ…とか?」


「おっけー。任せて」


念の為いくつか候補を絞って買ってきて良かった。

冷蔵庫から材料を出してると蘭がカウンターに座ってコチラを見ていた。


「まだ寝ててもいいよ?出来たら起こすから」


「んーん、此処で見てる」


蘭は出来ていくハンバーグを目をキラキラさせながら見ていた。




「出来たよ。味見したから大丈夫だとは思うけど…不味かったら出前とるしちゃんと言ってね?」


レシピ通りには作ったし練習もしたから大丈夫だとは思う。何度か聡に毒味させたりしたけど大丈夫だったし。

だけど、蘭に食べさせるとなると緊張する。


「いただきます!

…美味しい…藍ちゃんとても美味しいよ!」


凄い凄いと笑いながらパクパク食べる蘭を見てホッとして、俺もハンバーグに手を付けた。



それから蘭をベットに寝かせて

俺はリビングで明日の準備を軽くしてから眠りについた。






「朝か……」


ソッと寝室を見ると蘭はまだ寝ていた。

簡単に朝食を作り蘭への手紙を置いて俺は家を出た。


「おはようございます。」


「おはよう、陣。

聡の家までよろしく。」


「わかりました。」


車に乗り込みPCを開く。

監視カメラにはスヤスヤ寝ている蘭が映っていた。

本当に可愛い。食べたくて堪らない。


「おっはー、藍。陣ちゃん」


「お、おはようございます」


PCをパタンと閉じてカバンにしまう。

蘭の無防備な姿を誰にも見られたくないしね。


「おはよう。

それで?準備は?」


「勿論完璧にやってきたよ。」


「ならいい。」


学校の近くまで陣に乗せてもらい学校まで徒歩で向かった。


蘭が居ないだけでこんなにも学校は退屈なモノになるのか。

鬱陶しく絡んでくる奴等が鬱陶しくて堪らない。

あぁ、早く家に帰って蘭に会いたい。


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