第7話

藍ちゃんは昔と同じでクラス問わずの人気者だった。

部活には入らず手伝いを頼まれれば行くサポーターをしていた。

そして、相変わらずモテた。


私はというと何も変わらず図書館で1人本を読んでるか屋上に続く階段でご飯を食べたりと

それなりに1人の学校生活を満喫していた。

藍ちゃんとは特に約束をしていないのに毎日あの花畑で会って居たし

特に変わった事はなかった。


私達の関係が変わり始めたのは、多分私が告白をされてからだったと思う。

初めてされた告白で私はどうしたらいいのかわからなくて

よく告白されてる藍ちゃんに助言を求めた。

告白してきてくれた男の子は図書委員の子だった。

借りる時や本を探す時に雑談をしたりした事があって

話していて好感はもてていた。

だけど、そんな中途半端の思いでオッケーを出していいのかわからなかった。


「藍ちゃん、どうやって返事したらいいのかなぁ?」


私はシロツメクサの花冠を作っていてその時藍ちゃんの顔を見る事はなかった。


「俺に任せてよ」


見ていれば何か変わったかもしれないのに。





その次の日からおかしな事が起きるようになった。

何故か男子が私と距離をとるのだ。元々世間話をする様な人は多くなかったが、必要最低限の伝達すらされない事があった。

不思議に思いながらも私はそのまま生活していた。


「あのね、藍ちゃん。

何でか私避けられてるみたいなの。

私何かやっちゃったかなぁ?」


「誰に?」


草むらに寝そべって宿題をしながら隣で寝そべっている藍ちゃんを見た。


「んぅー、誰とかじゃなくて男子に?

私を見るとサァーっと居なくなるし伝達事項とかも教えてもらえない事あってさ」


「そうなんだ。

それじゃあ、これからは俺が伝達事項とか教えるよ」


「ありがとう、藍ちゃん。

だけど、気持ちだけで充分嬉しいよ。」


ニコッと微笑んだ藍ちゃんに私も微笑み返した。

それから藍ちゃんは有言実行した。

伝達事項を私に伝えてくれる様になりそのまま私の隣の席に座って雑談するようになった。

私はあの時断ったつもりだったけど善意でやってくれてる事を断る事ができなかった。


そうなってからどれぐらい経った時だろう。


「ねぇ、あんた榊くんの何なわけ!?」


ある日焼却炉の所で女子に呼び出された。


「何って言われても友達としか言えないんだけど…」


「馴れ馴れしく藍ちゃんなんて呼んでお前何様だよ!つり合ってねぇのわかってねぇのかよ!」


ドンッと押され壁に肩を打ちつけ痛みで顔が歪む


「榊くんから離れねぇとこんなんじゃ済まないからな!!」


私にビンタをしてつばを吐きかけ女子達は何処かへ行った。

忘れていた訳ではない。

藍ちゃんがカースト上位にいる事を。

だから私は学校内では藍ちゃんに近寄らなかったし話しかけにもいかず一人でご飯を食べてた。

何度か花畑で藍ちゃんに今度一緒にご飯食べようとか

一緒に帰ろうと言われたけど、誰に見られているかわからないからと断ってきた。

それはこういう事が起きないようにと自分を守る為だった。


藍ちゃんは人気者だ。ファンクラブなんてものまであるらしい。

そんな人気者が、一人の女子だけを名前で呼んでれば反感を買うだろう。

それも美人でもないデブスだったら尚更だ。


「はぁー…どうしようかなぁ……」


今更断っていいものなのか

断ってもいいとして、何て伝えればいいのか分からなかった。

ズキズキと痛む肩と頬。私は項垂れるしかなかった。


その日、私は藍ちゃんと再会してから初めて花畑には行かなかった。行けなかった。

予想以上に頬が腫れてしまったし爪で切れたろう傷跡を見せるわけにはいかなかったっていうのもあるけど

何より肩の痛みが笑ってられないレベルだったし腕が上がらなくなったのだ。


病院に行ったらはずれかけてるとかで戻してもらって薬とか貰った。

頬は朝になると更に腫れていて渋々湿布を貼って学校へと向かった。


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