第5話

藍ちゃんとの再会は思ったより早かった。

高校生活初日。初めての制服に緊張しながらもワクワクしていた。


「蘭、久しぶり」


昔より少し低くなった声。

だけど、覚えてる声。

慌てて振り向くと笑顔で立ってる藍ちゃんが居た。


「藍ちゃん!?」


驚きの余り大きな声が出てしまって周りの人にジロジロと見られた。

藍ちゃんはあいもかわらずイケメンで身長も私より高くなっていた。


「元気だった?」


「う、うん!勿論だよ

藍…ちゃんは?」


見た感じ怪我はない。


「俺も元気だよ。

今までの事話したいし今日一緒に帰ろ?」


「う、うん!」


先生が入って来てそれ以上の会話は出来なかった。

どうやら藍ちゃんは私と同じクラスみたいだった。

自己紹介の時も女の子達がヒソヒソと言っていてやっぱり藍ちゃんはどこに居てもモテるんだなぁなんて思っていた。




「蘭、帰ろう」


「う、うん。ちょっと待って」


バタバタと荷物を鞄に慌てて詰める。


「お待たせ」


「待ってないから気にしないで」


ニコッと笑って自然に取られる手。


学校から出て行く先は、あの花畑だった。


「此処は変わらないね」


花畑を見て懐かしむ様に見る藍ちゃん。


「藍ちゃん。今は……元気にやってる?」


「あぁ、1から説明するね。

あの後あの家から出て本当の父親の所に引き取られたんだよ。

もう怪我はしてないよ。何なら体見る?」


そう言って制服を脱ごうとする藍ちゃんを慌てて止める。


「それなら良かったよ。」


藍ちゃんが元気だったならそれだけで良かった。


「実は本当の父親からはだいぶ前から接触はあったんだ。

だけど、蘭と離れたくなかったからずっと断ってたんだ。

でも、蘭が約束してくれたから思い切って行った。

蘭は、俺の事覚えていてくれた?」


「覚えてたよ…?忘れる訳ないじゃんっ…」


毎日怪我してないか心配で

元気にしてるか気にしながら生活してきた。

ひと夏の関係だったけど、私にとって藍ちゃんの存在は大きかった。


「なら良かった。

全く…蘭は本当に泣き虫だなぁ」


ニコッと笑って昔の様に私を抱きしめる藍ちゃん。

昔とは違って広い腕の中。


「これからは毎日一緒だよ。

沢山遊ぼうね」


「ゔんっ…!ゔん!あぞぶよぉおおお」


何度も頷く私の頭を優しく撫でる藍ちゃん。

その手はやっぱり私が知ってる時より大きくてちょっとかたかった。




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