第4羽 生意気な鳥はただのカカポ
探すのを手伝ってくれないか。
目の前の鳥は俺にそうお願いしてきた。俺を勝手に召喚しておきながら帰り方が分からないと言うこの鳥がだ。上目遣いなのがより一層腹立つ。
挙げ句の果てに『まあ、手伝いたくなかったらそれでもいいんですけどね』と偉そうになりやがった。
「その場合、シュートが帰れなくなるだけですけどね。俺は別に、他のもっと可愛いお姉さんを召喚して契約すればいいだけだからな……ん? てことは俺がお願いされる立場なんじゃね?」
黙って聞いてりゃガタガタ抜かしやがってこのくそ鳥が! 燃やす、絶対に燃やす。
「やっぱり今夜の夕飯は焼き鳥だ。七輪持ってこい。あとたれも」
今晩の夕飯を炭火焼き鳥に決定し、火起こすために鳥の巣から藁をちぎり取る俺に鳥がしがみついてくる。
「おいいいいい! なに人の布団簡単にむしり取ってくれちゃってんの!? なに調理の準備始めちゃってんの!?」
「だまれ食材。鳥の分際で人を名乗るな。どうせお前は今から死ぬんだ。最期くらい、慣れ親しんだ藁で炙ってやろうという俺の粋な計らいにいちゃもんつける気か?」
「待てい! 一旦手を止めろ! 考え直せ、一緒に探すだけでいいんだ。ほんのすこしの間手伝ってくれればいいんだ。そうすれば俺はその間知性を保てる、お前は帰り方がわかる、さらには能力も使える。な、お互い利益しかないだろ?」
「…………」
「な?」
ぐぬぬ……悔しいが確かにこいつの言う通りだ。どの道、元の世界に帰るためには帰り方を探さなくてはならないからな。利益しかない、ってとこが気に食わないが。
俺は、渋々鳥の交渉を受け入れた。
「よし! 契約成立だ。改めておれはフクロウオウム。好きな食べ物はレンコン! よろしくな!」
「稲山高校二年生の若狭修人。好きな食べ物は焼き鳥。よろしく」
「おい! やめろよそういうの! お前ら人間で言ったら好きな食べ物は男体盛りです、って言われてんのと同じだぞ!」
「ねえよ、そんなん! 気持ち悪い! それは女性限定だ! 想像したじゃねえか! うえっ、気持ち悪……」
「そういう事だ、以後焼き鳥は禁句な。あと棒棒鶏も」
こうして、すこし生意気な鳥との壮大な人生の寄り道が始まった。
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