第2話『大きくなっていたよ』

 浴室に入るとサクラ、俺の順番で髪と体を洗っていく。あと3日で夏になるけど、シャワーから出るお湯が気持ちいい。

 俺が体を洗い終わると、サクラが浸かっている浴槽に入る。

 浴槽に寄り掛かる形で座って両脚を伸ばす。そんな俺の両脚の間にサクラが座り、俺に寄り掛かる。そんなサクラを後ろからそっと抱きしめる。体を見せ合い、肌を重ねてからは、これが一緒に浸かるときのスタンダードな姿勢となった。たまに、サクラが俺の方に体を向けることもある。


「あぁ、気持ちいい」

「気持ちいいね、ダイちゃん。もうすぐ夏だけど、温かいのが気持ち良く感じるよ」

「そうだな。今日もそうだけど、夜になると涼しいからな。お風呂の温かさが気持ち良く思える時期はまだまだ続きそうだ」

「そうだね」


 顔だけこちらに振り返ると、サクラは可愛く笑った。

 俺はサクラにキスをし、サクラへの抱擁を強くする。そのことで肌がより密着し、サクラからの温もりも強く感じられるように。お湯の温もりも気持ちいいけど、サクラの肌から伝わる温もりは優しさも感じられてさらに気持ちがいい。


「季節のことを話して思ったけど、春になった頃には……こうしてダイちゃんと同居して、仲直りして、恋人になって、一緒にお風呂に入るのが当たり前になるなんて想像できなかったよ。お父さんが名古屋へ転勤するって決まったのは3月に入ってからだったし」

「そっか。俺も想像できなかったな。サクラがうちに引っ越してくるのを知ったのは、1年の修了式の日だったからさ。今の俺の状況を、3ヶ月前の自分に話しても信じてくれないかもしれない。今があまりにも幸せな状況だから」

「私もお父さんの転勤を知る前の自分に話したら、信じてもらえないかも。今年の春……特に春休みにダイちゃんの家に引っ越してからは、夢のような時間を過ごせているよ」

「そうだね。楽しくて幸せな時間でいっぱいの春だったな」

「うんっ!」


 元気で可愛らしいサクラの返事が浴室に響く。

 サクラは俺の方に振り返ると、幸せそうな笑みを見せてくれる。サクラにとっても、この春は楽しくて幸せだった季節だと窺える。サクラと見つめ合っていると、彼女からキスしてきた。

 サクラと一緒に暮らす日々はもうすぐやってくる夏も、秋も、冬も、その先ずっと続いていくだろう。そうなるためにも、サクラのことをこれからも大切にしていかないと。

 サクラから唇を離すと、彼女はニッコリと笑ってくれる。それがたまらなく可愛い。


「ねえ、ダイちゃん。さっき、肩揉みしてくれたお礼に、私もダイちゃんに肩揉みしてあげるよ。お風呂に入りながらのマッサージも効果があるんだよ」

「そうなんだ。じゃあ、お願いしようかな」


 普通に生活していれば肩に違和感はないけど、気づけば肩が凝っている……という隠れ肩凝り体質だからな、俺。それが分かってから、サクラに教えてもらった肩凝りにいいストレッチをするのが日課になっている。

 サクラに肩を揉んでもらうから、彼女に背を向けないといけないな。そのために体を動かそうとしたら……サクラに両肩をしっかりと掴まれた。


「やりにくいかもしれないけど、向かい合った状態でマッサージしたい。それでもいいかな、ダイちゃん」

「もちろんだよ。じゃあ、お願いします」

「はーい」


 俺はこのまま向かい合った体勢で、肩のマッサージをしてもらい始める。


「おおっ……」


 ストレッチをしているんだけどな。始まった瞬間に両肩に痛みが。でも、サクラの揉み方の上手さや入浴中なのもあり、気持ちよさの方がすぐに勝る。とても気持ちいい。


「金曜日だし、バイトもあったから肩凝ってるね」

「ストレッチはしているんだけどな」

「その効果はちゃんと出てるよ。春休みに揉んだときは物凄く凝っていたから。そのときに比べたら良くなってる」

「そういえば、あのときに比べたら痛みもマシかな。凄く気持ちいいから、今の感じで揉んでくれるか?」

「うんっ!」


 それからも、サクラに肩を揉んでもらう。あぁ、気持ちいい。湯船の温もりもあって、学校とバイトの疲れが取れていくのが分かる。

 あと、正面から肩を揉んでもらうのもいいもんだな。サクラの優しい笑顔を見られるし。お互いに裸だから、ちょっと厭らしさも感じるけど。この様子を第三者が見たら、サクラにどんなプレイをさせているんだとか思われそう。


「どうかな、ダイちゃん。だいぶほぐれたと思うけど」

「どれどれ……」


 サクラに手を離してもらった後、俺は両肩を軽く回す。


「……うん。マッサージしてもらう前よりも軽くなった感じがする。ありがとう、サクラ」

「いえいえ」


 快活な笑顔でそう言うと、サクラは俺の胸に頭を付けてくる。

 俺は再びサクラのことをそっと抱きしめ、彼女と湯船の温もりを楽しむのであった。




 お風呂から出た俺達はサクラの部屋に行き、髪を乾かしたり、ストレッチしたり、サクラのバストアップマッサージをしたりするなど、習慣になっていることを行なう。

 入浴後のルーティンを全て終えた後、俺はメジャーを使って、サクラのスリーサイズを測っていく。バストについてはトップだけでなくアンダーも。

 お風呂の中でサクラの体を見て、触れてきたけど……サイズを測るときに肌が触れるとドキドキするな。


「ええと……アンダーは66cmだな」

「66cmね。トップが83cmだから……差は17cmか。じゃあ、私……Dカップだよ! CからDになったよ!」


 やったー! と、サクラはとても嬉しそうにバンザイする。小さい頃のサクラを見ているようで微笑ましい。Dカップになったことがよほど嬉しかったのだろう。

 ゴールデンウィークの頃からほぼ毎日、俺はサクラのバストアップマッサージをしてきた。だから、サクラのバストが大きくなり、カップが1つ上がったことをとても嬉しく思う。

 お風呂に入っているときにもたっぷり見たけど、Dカップだと知った上でサクラの胸を見ると、今までよりも大きく見える。DカップのDはDekkaiのDだな。世間的には違うだろうけど、俺の中ではそう定義された。


「青葉ちゃんと二乃ちゃんと同じカップになったよ! これもダイちゃんがマッサージしてくれたり、えっちなことをしているときに胸に色々してくれたりするおかげだよ! ダイちゃんが育ててくれたと言っても過言じゃないね!」

「ははっ、育てたかぁ」


 1ヶ月近く、サクラのバストアップマッサージをしてきたから、その言葉も合っているかもしれない。


「恋人として、サクラのバストアップに協力できて良かったよ。こういう言い方でいいのか分からないけど、Dカップおめでとう」

「ありがとう! ダイちゃん!」


 サクラはお礼を言うと、俺のことをぎゅっと抱きしめてキスをしてきた。サクラは上半身裸なので、寝間着越しでも彼女の胸の柔らかさがふんわり伝わってくる。こ、これがDの柔らかさか……!


「明日のお買い物ではスクール水着だけじゃなくて、下着も新調するよ! Dカップになったからね!」

「ああ、そうしよう。今の下着がキツいと思うこともあるって言っていたもんな」

「うん!」


 サクラは嬉しそうな様子で頷いた。明日の買い物はなかなかドキドキする内容になりそうだ。


「Dカップになったのは嬉しいけど、これは通過点だよ。お母さんはEカップだし、私もEカップにはなりたいなって。できれば、お母さん越えのFカップ以上になりたい」

「そうなんだ。俺で良ければ協力するよ」


 どんな大きさでもサクラの胸は好きだ。それと同時に、大きな胸は魅力的に感じる。


「ありがとう! これからもご協力お願いします」

「ああ」


 入浴後のマッサージなど、これからもサクラのバストアップに協力しよう。Eカップ、Fカップ……と、サクラの胸がもっと大きくなるといいな。


「ねえ、ダイちゃん。今日は金曜日だし、明日は学校もバイトもないから……したいなって思っているの。どうかな? 洗面所で肩を揉んでもらったり、お風呂でダイちゃんの肩を揉んだり、ここでスリーサイズに測ってもらったりしたから、したい気持ちがどんどん膨らんできて……」


 頬をほんのりと赤くし、もじもじしながらそう言うサクラ。そんなサクラがとても可愛らしくて、愛おしい。


「もちろんいいよ、サクラ」


 俺も肩揉みやスリーサイズを測ったときにドキドキして、サクラと肌を重ねたい気持ちが強くなっていったから。


「ありがとう。でも、今はまだ優子さんと徹さんが起きているから、課題を終わらせてからにしない?」

「それが良さそうだな」


 普段、夕食以降は父さんと母さんが2階に上がってくることはあまりない。ただ、俺達に用があったり、納戸に物を取りに行ったりするなどして、2階に来る可能性はある。俺達が部屋で肌を重ねているときの声が聞こえたら、どんな反応をされるか不安だ。特に母さん。


「じゃあ、今日の授業で出た課題を終わらせたら……私のベッドでしよっか」

「ああ。そうしよう」


 それから、サクラの部屋で今日の数学Ⅱと英語、古典の授業で出た課題をすることに。

 サクラは夕食の前に英語の課題と古典の課題半分を終えていた。なので、英語と古典の課題については、サクラに質問することも。

 そして、数学Ⅱの課題は俺がサクラに教えながら一緒に取り組んでいった。

 全ての課題を終えた頃には結構遅い時間になっていた。だから、約束通り、サクラのベッドの中で肌を重ねる。

 サクラの胸がDカップになったと分かったから、今までよりも彼女が大人っぽく見えて。そんな彼女のことを強く求めた。

 晩春の金曜の夜は、サクラのおかげでとても愛おしい時間になったのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る