冬
第25話 お別れ
十二月になった。こっちはまだ雪が降らないのか。気温も暖かい。
年末年始の連休前に、青森に帰ることになった。
本当は来年の三月までの予定だったのだが、何かの調整があるとかで一旦帰ることになった。
装置の立ち上げ関連など色々あるのだろう。
部署内で送別会を開いてくれた。
歓迎会の時は周りを伺う感じだったのに、今は全然違う。
思い出話や私生活の話、これからの話など自然に会話が進む。
「神崎さんたちと仕事が出来て良かったです」
「またご一緒出来たらいいですね」
本心からそう言ってくれている、そう感じた。
私もそう思った。
仕事が優秀なだけじゃない、人間も出来ている。ここの人たちに抱いた印象だ。
お開きの時間が近づいてきた時、本当に寂しくなった。
しかしめちゃくちゃに酔っ払ってそんな空気を払拭してくれた人もいる。
ありがたかった。寂しく終わりたくなかった。
十二月二十五日金曜日が青森に帰る日だ。
本日二十四日が最後の出勤日となった。
昨日夜中まで飲んでいた人もいたけれども(新川さん)きちんと出勤していた。
午後、私たちの挨拶のために関係者が集まった。
初日、ここに来た時とは違う。
何を言おうか、伝えたい言葉をどうまとめようかと考えていた。
実際たくさんの人を前にすると言いたいことの半分も言えなかったけれども。
感謝や仕事が愉しかったなど、皆そんなことを言っていた。
「私が必要な時はいつでも呼んでください」
絢芽らしい発言に、皆笑っていた。
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