第3話 東北支社
四月最初の出勤日に東北支社へ移動した。
朝の八時半に、新青森駅へ集合した。新幹線が通る駅だ。
移動時はスーツ着用の決まりだった。スカートだと、まだ寒い。
「おはようございます、寒いですね」
新川さんと岸田さんに、そう声をかけた。
「朝早いのきついねー」眠そうな顔で、絢芽が言う。
青森支社から行く四人の女子社員と、人事課の引率担当の人と五人が揃った。
引率が付くのか。確かに、私たちは東北支社の場所もこれから住むアパートの場所も知らない。
この引率の人は知らない人だったが、多分何度も引率をしているのだろう。
時刻表を持って、適切に私たちを誘導した。
新幹線に乗って仙台市へ向かう。
私と絢芽が二人掛けの席、新川さんと岸田さんと引率の人が三人掛けの席に座った。
新川さんと岸田さんはイヤホンを付けて音楽を聴いていた。
引率の人は手帳や資料のようなものを見ていた。
絢芽と私は少し話をして、その後はスマホを見たり音楽を聴いていた。
午前中に仙台駅に着いた。
これから電車通勤になるので、まずは定期を購入する。
東北支社は駅からすぐ近くにあるのだが、さすがに駅前のアパートは高いので少し離れた所に用意された。
都会には地下鉄という便利な乗り物がある。
駅ビルの中で各自昼食をとってくるように言われた。
私は絢芽に「どこに行く?」と聞いた。
横を見たら、新川さんと岸田さんが一緒に行動していた。
特に誘わなくてもいいだろうと思った、今は。
午後、東北支社に着いた。
大きいビルだ。
正門から社員通用口まで結構な距離がある。
都会の駅前にこんな広大な敷地を持っているのか。
社員通用口には警備員が何人か立っていて、駅の改札みたいなゲートに社員証をかざして通るシステムらしい。
社員証がセキュリティーカードを兼ねているようだ。
私たちはまだ社員証が無いのでゲストカードを申請した。
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