第2話 出向チーム

 東北支社へ出向が決まった。

 新製品の立ち上げチームに選ばれた。

 東北支社は仙台市にある。東北で一番の都会だ。

 東北で一番のエリートが集まる支社と言ってもいい。

 私が勤務する青森支社から東北支社へ転勤になる人は、エリートコースの第一歩だと言われている。

 私は出向で転勤ではないので、多分一年位だろう。


 今回青森支社からは四人の女子社員が行くことになっている。

 今会社では「女性が活躍していますよ」的な動きがある。

 それもあって、女子社員が選ばれたのだろう。


 一緒に行く四人の内一人は同じ職場で働いている絢芽あやめだ。

 髪型がいつもショートカットでかっこいい美人だ。私服が派手だ。

 としも一緒で仲も良い。ラッキーだ。

 あとの二人は全然知らない人だった。

 

 説明会の時、全員顔を合わせた。

 新川あらかわ涼子さんという若い子は、そこそこギャルだった。

 ストレートのロングヘアで色が白かった。とても可愛い顔をしていた。

 けれどもギャルメイクで少し、もったいないと思った。

 多分素顔はもっと可愛いだろう。


 岸田きしだひかりさんという方は最年長でおっとりとした人だった。

 ふわふわしたパーマが彼女の印象に合っていた。

 噂によるとバツイチらしい。

 仕事がかなり出来る人らしく、今回の出向で昇進するんじゃないかという噂が出ている。


神崎かんざきみどりです」自己紹介で私の番が来た。

 

 特に喋ることもない。私の外見は本当に普通だ。十人並みだ。

 初対面で悪意を持たれることもなければ好意や興味を持たれることもない。

 仕事も、自分の能力レベルに見合ったものが任される程度だ。

 今回の出向でも似たようなものだろう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る