古代からの刺客
街道の町コリャサ
街道添いの町コリャサの宿屋。その一階の酒場。大小十台のテーブルが並ぶ店内は古いながら小奇麗で、客入りは八割。客はみな胸板の厚い屈強な男たちだ。
「――ったく、やってらんねぇよ!」
赤ら顔の男がジョッキをテーブルへ叩き付けた。四人がけの丸テーブルに乗せられたジャガイモフライとサンドイッチとチーズタッカルビの皿が軽く
「暴れるんなら
白髪頭の店主がカウンターの中で低い声を出した。
初老の域に達しているとはいえ、店主も客に負けず劣らず頑強な体つきをしている。決して静かな店ではないのだが、店の物を雑に扱うのは我慢ならないらしい。
「……す、すみません」
赤ら顔の男は店主の一言で尻尾を巻いた。同席していた二人の男たちが苦笑いする。
もう一人、同じテーブルに着いている堂々とした男はジョッキを空けると赤ら顔の男へ向けてなだめるようにいった。
「我慢しろ。確かに人使いは荒いが、この仕事は割りがいい」
「アニキぃ……でも、目的も教えられずに毎日モグラみたいに穴を掘ってばかりじゃ……」
「掘るだけで酒が飲めるんだ。命がけで冒険者をやってた頃よりマシだろ」
「そりゃそうですが……」
赤ら顔の男は納得いかなそうに吐き捨てた。
「ダンチョネ教の奴らめ、アイツらいったい何を考えてやがるんだ」
ぽん。
と、肩に手を置かれて赤ら顔の男は振り向く。
最初に目に入ったのはその腕にきざまれた赤い紋章。そして、ブロンドの、
「聞かせてくれないか。その、ダンチョネ教の仕事について」
ブロンドの少女は赤ら顔の男にそう言った。
◆
チョイトを発ち、次の街エッサへ向かう旅の途中、アデッサとダフォディルの二人はコリャサへ立ち寄っていた。
コリャサは大都会エッサとリゾート地チョイトを結ぶ街道の中間地点にある町だ。町の区画はエッサとチョイトを行き来する金持ちたちに向けた高級宿屋街と、商人や旅人向けの安価な宿屋街に二分されている。二人が泊っているのはもちろん――安価な方の宿屋だ。
そして、宿屋の1階の酒場で二人の耳に入ってきたのはまたしても、ダンチョネ教の情報だった。
どうやら仕事にあぶれている元冒険者たちを金で募り、町はずれに大きな穴を掘らせているらしい。金払いが良いのでみな黙って言う事を聞いているが、その目的は誰にも知らされていないという。
「何を企んでるんだろう……」
下着姿でベッドへうつ伏せながら、ダフォディルはつぶやいた。
「穴を掘る、か……」
アデッサは子供のように下着を脱ぎ捨てて全裸になるとベッドへ上り、寝そべるダフォディルをまたぐ。そして、お尻の上へそっと腰をおろした。
「んふふ。柔らかい」
アテッサの行動に抗議するかのように、ダフォディルは何も言わずに腰を揺らす。すると、二人の体はかえって隙間なく密着した。
アデッサが慣れた手つきでダフォディルのブラジャーのホックを外す。ダフォディルの背中がいっしゅん
あらわになった白く小さな背中。ブラジャーの紐がひとつなくなっただけで、格段に艶めかしく見える。
アデッサは二人で町を散策している時にみつけた美肌ローションを手に塗ると、そっとダフォディルの腰へ当てた。ダフォディルの体が大きく反応する。細い指がシーツを掴んでいた。
そのまま背中を這いあがるように塗り広げ、もう一度、今度は両手にローションを取り、何度も背中をすべらせる。アデッサが撫でる度にダフォディルの小刻みな反応は弱まってゆき、代わりに、体が徐々に温かくなっていった。
「コリャサには遺跡があると聞いたことがある。確か、古代の魔道兵器が関連していたと思う」
「……そ、そう。怪しい……わね」
アデッサの言葉にダフォディルは息を詰まらせながら応えた。
「なかなかいいローションだね。肌に馴染むよ」
小さな肩甲骨、細い腕、小さな首筋へとアデッサは手を滑らせる。そして――
「前も塗ってあげるよ」
そう言うと尻に密着させていた腰を浮かせ、ダフォディルを仰向けにさせた。
そのまま鼠径部へ腰をおろす。アデッサの体温が下着越しにダフォディルへと伝わった。
「んッ!」
ダフォディルの口から高揚がこぼれる。背中も足もピンと伸びきっていた。思わず暴れそうになるが、馬乗りになったアデッサを
「あはは、ダフォは本当にくすぐったがりだなぁ」
相変わらずの勘違いとともに、アデッサはオイルで光る手をダフォディルの下腹へと近づけた。と、同時につぶやく。
「穴をさぐってみるか……」
ダフォディルも勘違いした。
「……い、いやッ!」
突然の防衛本能に反応して【鉄壁の紋章】が青く輝くルーン文字の帯を噴き出す。
「「……あ」」
吹き飛ばされたアデッサが壁に激しく打ち付けられた。
ダンダン!
ドアが叩かれる。
「暴れるんなら
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