第15話 女の子とプールって滾るよね
夏休み前の学校。
朝から前の席の本田君がうるさい。
「なー、月宮。高校生は青春をしなくちゃならねえよな。プール行こうぜ!夏はナンパだろ!」
「一人で行きなよ。ナンパとか興味ない」
プールは少し行きたいがナンパとか僕の柄じゃないし。
「月宮はいいよなー。沢木さんがいるから余裕かましやがって。彼女持ちはいいよな。俺にも幸せを分けてください。お願いします」
「僕に頼まれても困る。それに里奈とは友人であって恋人じゃないし」
「里奈って名前呼びしている男子ってお前だけだぞ。前に名前呼びしたやついたけどスルーされてたもん。弁当まで作って貰ったりして特別扱いじゃん。ずりーよー、幸せわけてくれよー」
ずっここんな調子である。
「女の子誘って行ってくればいいんじゃないかな」
愚痴る本田君。
丁度その時、里奈が僕の席を通りかかり話に乗ってきた。
「プール行くの?最近暑いから気持ちよさそう」
「あ、沢木さんもどうかな。月宮とプールに涼みに行こうって話してたんだ。誰かを誘ってくれれば4人で行けるよ」
おい、僕が参加することになってるぞ。
「いいかも。誰か誘ってみるよ。いつ行くの?」
「あ、いつでも行けるよ。沢木さん達の空いてる日にしよう。俺ら暇だし」
はぁ。なんか決定っぽいな。
里奈はまた後でと行ってしまった。
「おい、月宮よ!マジ最高だな。沢木さんとプールとか金払っても行きたがる奴が沢山いるぞ!」
ちょっと興奮しすぎじゃないですかねぇ。
「マジ月宮効果抜群。月宮がいると沢木さんのハードルが一気に下がるぜ。よし、俺は今回のプールで沢木さんとお友達になるぞ」
今までは友達じゃなかったのかよ。まぁ、里奈の水着にも興味あるからいいか。
次の日。
里奈が朝一番で僕の席にやってきた。
「次の日曜日にプール行こう。仕事も日曜は予定ないし、土曜日の除霊は午前中だけだよね。私、隣のクラスの上原さんに声かけてOK貰ったよ。彼女は去年同じクラスで仲いいんだ」
日曜は空いてるが突然だな。
「僕はいつでもいいけど。大体、スケジュール組んでるの里奈だしね」
「うん。ちゃんとスケジュール組むから安心して。本田君に聞いておいて。もし本田君が無理なら3人でもいいよね?」
どんだけプール行きたいんだ。
「里奈がそれでいいならね」
僕はすべてを任せた。
登校してきた本田君に先ほどの話をする。
「里奈が次の日曜日にプール行くって。上原さんも行くみたい。本田君はどうする?」
僕の言葉に少し興奮気味に、
「行く、絶対に行く!ってゆーか上原さんも?上原さんて3組の上原さんだよな。あの子もめっちゃ可愛いよな。さすが沢木さん、友達も可愛いとか最高かよ!」
本田君は元気だなぁ。あと、声がでかい。みんなの注目の的になってる。
「やっぱ月宮がいると沢木さん来てくれるのな。ジュース奢ってやろう。何飲む?」
「オレンジ。里奈は元からプール行きたがってたみたいだよ。僕がいなくても誘えば行ってたんじゃない?」
嬉しそうにプールの話してたし。
「いやそれはないぞ。ほら、4組の天野っているじゃん。あのイケメン野郎もこないだ沢木さんを誘ったみたいだけど断られてたぞ」
へー、そんなんだ。そいえば学校帰りに一緒にお茶したって言ってたな。2人じゃなくてグループだったみたいだけど。天野君も頑張っているんだな。
「月宮、楽しみだな。ビデオカメラ持って行ったほうがいいかな。沢木さんと上原さんの水着姿を映像で残したほうがいいだろ」
「それしたら嫌われるんじゃない?」
「マジか。もったいないけどやめとくか」
「うん、そのほうがいいと思うよ。ビデオ撮りたいならバーベキューとかキャンプにしたら?」
「そんなの無理に決まってるだろ。絶対に来てくれない。俺は自信ある。あ、でも月宮が誘えば来てくれるんじゃね?そうだよ、その手があった!」
どんな手だよ。僕はキャンプとか行きたくない。蚊に刺されながらテント泊とか罰ゲームじゃないか。
「夏休みは色々なイベントを考えような。沢木さんが行くならメンバーはいくらでも集まるぞ」
「だから本田君が誘いなよ。僕は冷房の効いた部屋でゴロゴロしていたいんだ」
頼むから考えておいてくれと本田君は席に着いた。
日曜日。
朝8時半に僕たちは駅に集合した。
プールは隣町にある。波のプールやウォータースライダー、流れるプールなんかがあるかなり大きいプールだ。
電車で移動する間にそれぞれ自己紹介。と言っても上原さん以外は同じクラスなので、彼女に自己紹介をする形だ。
「はじめまして、月宮忍です。今日は一緒にプールに行ってくれてありがとう。よろしくね」
「上原琴(うえはらこと)です。今日は盛り上がっていくぞー!」
「おーっ!」
本田君もノリノリである。
上原さんは盛り上がりに欠ける僕と里奈に、もう一度問いかけた
「盛り上がってくぞー!」
里奈と顔を見合わせ、
「「ぉーっ!」」
小さく返事をした。だって恥ずかしいじゃないか。人が沢山いる駅前なんだし。
「さぁ、行こうぜ!」
本田君が先頭に立ち歩き出す。
「隊長、お供します」
上原さんがそれに続く。彼女はこんなノリの人なのか。里奈のほうをみると苦笑いしている。
まぁ、楽しく遊べるならいいよね。
僕たちはプールへと向かった。
プールに到着。
今日は日曜日なので人が多そうだ。家族連れやカップル、男女のグループなど様々な人たちがいる。
入場料を払い更衣室前で彼女たちと別れた。
僕たちもさっそく水着に着替える。
「なぁ、沢木さんと上原さんはどんな水着かな。めっちゃ楽しみなんだけど。今日は脳内フォルダに2人の水着姿を沢山保管するぜ。スマホで動画取っても平気かな?」
保管した水着姿で何をするんですかねぇ。
「あんまりジロジロ見ると嫌われるよ。さりげなくにしておきな」
「おおぅ、そうだな。怒らせて明日から口きいてもらえなくなったらまずい」
僕たちは着替えて待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所には僕たちと同じで女性を待ってる男たちが沢山いた。
更衣室から女性が出てくるたびに、男たちの視線が女性に注がれる。おばちゃんやお婆さんだと視線は一気になくなるが、若い女性だとそれぞれが値踏みをしているようだった。あと、一部の男どもが小学生の女の子に反応していたので通報したほうがいいのか悩んだ。
里奈と上原さんが更衣室から出てくる。周りの男たちから驚きの声が上がった。可愛くて綺麗でおっぱい大きくて、スタイルの均整も良く色気もある。そんな女性みたら溜息ついちゃうのはしょうがない事だ。
「「お待たせしました」」
「お、2人ともめっちゃ可愛いね。水着も似合ってる」
周りからの熱い(嫉妬)視線が逆に気持ちイイ。羨ましいだろ。僕も昔はよく羨ましがったから気持ちはわかる。
「シート敷く場所探そうか」
本田君が穴場があると僕たちを先導してくれた。
「里奈の水着カッコイイね。濃い青と白い肌のコントラストがカッコイイと思う。雑誌とかのモデルみたい。一緒にいるからプロポーションの良さは知ってたけど、改めて見るとクラっとくるほど素敵だね」
まずは褒めておく。これは女性同伴の場合のマナーだ。
「褒めすぎだよ。でもありがとう。忍もカッコイイよ。服を着てるとわからないけど、腹筋とかすごいね。実際に割れてるの初めて見た。ちょっと触ってみていい?」
里奈は僕のお腹をさする。くすぐったい。
「除霊って体力が必要な仕事でしょ。山の中を歩き回ったりするし。それに強い精神は健康な体からって子供の頃から母さんに言われてた。だから体力作りは昔から欠かさないかな」
私も鍛えようかなと言う里奈に、
「ほら、そこでイチャイチャしてないで行くよー。もう、本田君先に行っちゃってるよ。で、月宮君の体すごいね。あとで写真撮っていい?いいよね、ありがとう」
里奈は上原さんに手を引かれて連れていかれた。僕の体の写真を撮ってどうするのだろう。晒されたりしないか心配だ。おっと、僕も急いで行かなくちゃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます