第3話 霊も役にたつんだな。連絡先GETだぜ!
放課後になった。
クラスメイトが帰る中、彼女は僕の席にきた。
「ごめんね。ちょっと用事を済ませたいから少し待っててもらっていい?」
教室で待ってるよと返事をしておいた。彼女は小走りで教室から出て行った。
15分位して彼女は戻ってきた。
「お待たせしてゴメンね。どこか落ち着ける場所に移動してお話聞かせて」
彼女に連れられて学校を出た。
ついでに彼女の後ろにいるおっさんに話しかけてみる。自我を持ってるか確認したかったから。
「僕これからデート。おっちゃん邪魔しないでくれる。2人になりたいから帰ってよ」
1人で呟く僕に一瞬怪訝な表情になる沢木さん。
でもすぐに後ろの霊に言っているんだと気がつく。
「僕たちの邪魔しないでくれる?おっちゃんの入る隙間はないよ。彼女は僕のものだから君は手を出さないで」
おっちゃん無反応。言ってる僕は心臓バクバク。
声そのものが聞こえてない様子。彼女以外は認識していないかも。
反対に沢木さんは、彼女は僕のもの発言に照れている様子。可愛いじゃないか。
駅の傍にある喫茶店についた。
店に入る前に彼女を止めて手を握る。手を握ったのは沢木さんに触れたかったから。除霊には全く関係ない。
「じっとしててね、祓っちゃうから。すぐに済むよ」
霊にむかってシュッと1噴き。
突然手を握られ赤くなってる沢木さん可愛いじゃないか。
沢木さんに憑いていた霊は溶けるように消えていった。
僕をじっと見る沢木さんに、
「とりあえず祓ったから。おっちゃんはもういないよ」
僕たちは喫茶店に入り話をする事にした。
店員さんにコーラとミルクティーを注文する。
飲み物がテーブルにつくまでは雑談をして時間を潰す。
きた飲み物を口にし、話し合いを開始する。
「まずね、僕が思ってることを言うね。沢木さんに憑いた霊を除霊したのは今日で3回目。10日位前と3日前は内緒で除霊した。一瞬で除霊できるから沢木さんは気がついていないと思う。でも数日後には新しい霊を引き連れている。多分原因があると思う。逆になかったらすごい確率だ。宝くじ買ったほうがいい位。過去、霊を見たり声を聞いたりしたことある?」
「最初に。月宮くん、私を助けてくれてありがとうございます。過去に体験したことがない現象が身の回りに起きていました。自分の頭がおかしくなったのかと思ってました」
沢木さんは少し涙ぐみながら彼女の周りで起こった現象を話してくれた。
夜ベッドに入ると部屋の中で複数の人のささやく声が聞こえる。ふと気づくと自分の側に人の気配を感じる。シャワーを浴びているときに視線を感じる。(羨ましいぞ、俺だって熱視線を送りたい)
最初は気のせいだと思っていたが、連日そのような現象にあうと流石におかしいと思うようになったと。しかし相談できる人もいないし、病院に行っても治るかわからない。どうしたらいいのかと思い悩んでいたと。
僕は彼女の横に席を移動し、両手をそっと包んで安心できるように言う。(セクハラではない。柔らかい手を握りたかっただけ)
「沢木さんがつらい思いをしてのはわかったよ。みんなが理解できないような内容でも僕は理解できる。君の苦しみもちゃんと理解できる」
柔らかい彼女の手をさするように握り落ち着かせる。
「今、沢木さんには何も憑いていない。今までどおりに戻ったんだ。ただ、心配なのは短期間に連続で憑いたこと。何か原因があると思うんだよね。それをどうにかしないと繰り返すかもしれない」
僕の繰り返すという言葉を聞いたとたんに、沢木さんの体が竦んでしまったようだ。
僕は両腕でそっと抱きしめてあげる。
涙ぐむ彼女の耳元で、
「大丈夫だよ。憑いてもすぐに祓うし、原因を見つけて同じことが起きないようにしよう。僕の家系は先祖代々見えるし祓える一族だから。僕が何とかしてあげるから」
けっして弱っている美少女にいやらしいことがしたかったわけじゃない。
首元も匂いをクンカクンカしていない。甘い香りを堪能していない。
柔らかい体をペロペロしたいなんて思わない。
クラスメイトの為だ。しょうがないのだ。
しばらく抱きしめていたが、なんとか落ち着いたようだ。
「じゃあ、原因を探そう。まず思い当たることからだね。そういった現象が起こるようになったのはいつから?」
「自分で何かおかしいと思ったのは3週間くらい前から」
「3週間くらい前になにか起きたことない?いつもと違った出来事とか」
首をふりわからないと答える沢木さん。
「心霊スポットとか大きな事件があった場所に行ったとかない?」
「そういう所には行っていないです」
うん、そうだね。もし心霊スポットとかで霊を持ち帰ってきたとしても、僕が祓ってるんだからまた憑くのはおかしい。心霊スポットに住んでいるなら話は別だが。
「自宅は引っ越したばかりとか?」
「小学校に入るときから今の家です」
そうか、土地が問題とかでもないのか。
「あの、私には小学3年生の妹がいるんです。その妹が自宅の庭から若い男の人の声が聞こえるって言うんです。家族は窓から確認したり、外に出たりして異常がないので気のせいだと言っているんですが、妹も何かに憑かれているんでしょうか?」
なるほど、自宅の庭か。まぁ、見てみなきゃ何とも言えないな。
「妹さんにも憑いてるかもね。そうすると、家もしくは家族が原因かも。調べなきゃわからないけどね。沢木さんが連続で憑かれているのは、その原因が新しい霊を呼び込んでしまい、呼び込まれた霊が家族に憑いているのかもしれない。家族全員みたほうがいいかな」
家族にも憑いているかもと聞いた沢木さんは心配だろう。
「月宮くん、何とかしてもらえないでしょか。貯金なら少しあります。足りない分はバイトしてでも払いますので除霊をお願いできませんでしょうか」
いやぁ、お金とか別にいらないんだけどな。
沢木さん可愛いからお節介してるだけだからね。
「お金はともかく家のほうは心配だね。沢木さんの都合が良い時に自宅を見に行こうかな?」
僕の言葉に、
「この後すぐでもいいですか?」
おぅ、気が早いな。まぁ、それだけ心配なんだろうけど。
家によって除霊用の血を補充したほうがいいかもな。
「沢木さん、今からでもいいけど、一度家に寄ってからでいい?除霊の道具を取りに行きたいから」
とりあえず沢木さんに、彼女の家のデータをスマホに送ってもらい、1時間後くらいに家に行くことにした。
沢木さんの家は僕の家から5キロくらいの距離だった。
原付バイクで10分かからない位か。
緊急用に連絡先の交換も忘れずに。
男子生徒たちが知りたくても教えてもらえない沢木さんの連絡先をゲットだぜ!
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