第5話 地味系ストーカーギャル参上である!(2)


冷華は俺の渡したネクタイを締めることなくベッドから起き上がった。


てかこの人下着つけてんの?

つけてるとしたらめっちゃきわどい下着だな。


まぁそんなことはどうでもいい。


「なぁ、最上さん、もしかして倉庫から俺たちを覗いていなかったか?」


冷華が優しい瞳をしていたから話しかけやすい。さっきビビった意味がわからない。

だから俺は気になる質問をした。


「えっと…覗いてないよ…」


ドアノブにネクタイが引っかかっていたんだ覗いていないわけがない。


「ふふっ、冷華さん何か隠してまへん?」


よくわからないが甘奈は何かを掴んでいるっぽいすごく相手の弱味を握ったような顔だ。


「えっと、何が?」


「最初から気になっていたんどす、うち以上に優気様に熱い視線を向けてた人がおるんどす」


じわじわと冷華の額には汗がにじみ出てきている。


そして甘奈の言葉をさえぎり冷華は笑って話した。


「あはは、誰だろうねーそんな悪趣味な人は…」


悪趣味って、失礼だな俺を選ぶ人はどうしょうもない人みたいな言い方だ…


「素直になったらええのに」


「てか、何?和泉は最上のこと知ってんの?」


「いえ?」


知らないのかい!

知らないにしても冷華を理解できていることに疑問を感じる。


「え?優気、あたしを知らないのか!?」


そう言えばこいつ俺のこと馴れ馴れしく名前で呼んでくるな。


「優気様…それないですわ…うちでも気づいたのに…」


何かめっちゃ甘奈に飽きられた目で見られるんですけど…


「3日前に転校してきた和泉さんはいいとして、何で同じクラスで2年目突入している仲間の名前を覚えてないの!?」


一方冷華は涙目ながら両手で布団を叩いて騒いでる。

甘奈と違ってめっちゃ幼い感じで不覚にもすごく可愛いと思ってしまう。


同じクラスだったのか…めっちゃ失礼なことしてしまったな。


「同じクラスだったのか…ごめん周り見てなかったわ」


「まぁ、そうだと思ったよ…あはは」


よくわからないけど冷華の口から白いモヤモヤが出てるんだけど…

もしかして魂抜けてるのか?


「ねえ、優気、あたしの友達に今からなってくんない?」


「え?俺?」


「もちろん、和泉さんもよければ」


「まぁ、嬉しいわ〜」


何で?

ずいぶんといきなりだな…

あ、そっか冷華は甘奈と仲良くなりたくてついてきてたんだ本人は否定しているけどきっとそうに決まっている。

つまり俺はついでか…なんか悲しくなってきた。


「優気?あたしと友達になるの嫌だ?」


返事をせず固まっていると冷華は瞳をうるうるさせていた…何この子めっちゃかわいいじゃん。


甘奈と冷華は見た目と性格逆じゃない?

甘奈は料理上手いのは想像どおりだけど。


冷華は見た目と違って意外と気弱だな。


「あぁ、是非とも友達になろう?」


この子のまだ見てない笑って喜ぶ姿を見てみたいから俺はそう言った。


「やった…ありがとう2人とも!」


嬉しそうにベッドから立ち上がりジャンプする冷華。その笑顔はとても輝いていて眩しかった。


「よろしくな最上」


「違う、冷華って言って」


ぷくっと頬を膨らませる冷華、甘奈も同じこと前にやっていたような…まぁいい素直に冷華と呼んでやろう。


「わかった、冷華だな?」


「うんありがとう!あと和泉さんも甘奈ちゃんて呼んでいい?」


「ふふっ、ええよ、うちも冷華さんって勝手に呼ばせてもらうとるし」


    ⭐︎     ⭐︎     ⭐︎


「あはは、何そんなにおどおどしてんのさー」


「だってこの玉飲んで大丈夫なの?」  


今現在俺は冷華と2人でタピオカジュース専門店に来ている。 


初めて放課後友達と遊んだ…何か嬉しい…


一方甘奈はと言うと帰りに迎えが来たから先に帰った。


いつもそんな感じで帰りは一緒に帰ったことがない。

いつも車で迎えに来る人は若そうな男性だ。

きっと兄か何かだろう。


「てかこんなの飲んで何が美味しいの?」


「えーわかんない、なんとなく?正直あたしも好きじゃないし」


なぜ好きじゃないのに誘った。

他にいいところあるだろ例えば…ドーナツ屋さんとかさ。


「じゃあ何で飲んでんだよ」


「さぁね、あたし流行には乗るけど意味とかわかってないから。例えば草草ってwつけるじゃんあれ何?マジでやめてほしい」


なんと、草草も知らないのか俺も知ってんのに。確か草が生えるほど下らないだっけ?その略でwつけるじゃんなかった?正しいことは知らんけど。


「まぁそうだな、俺もそれな!とかさちょー意味わかんないし」


「わかるわかる!軽いって言うか大事な時使われると、は?あんたにあたしの何を知ってるの?ってなるよね」


「それな!」


「って、否定しといて使ってんじゃん!?」


「あ、ごめん使ってたわ」


若者言葉はわかりやすい故に簡単に覚えてつい使ってしまう言葉だこれからは気をつけよう。


飲んでいるうちにだんだんお腹がモヤモヤしてきた。何か昼の弁当腐っていたか?甘奈に限ってそれはない。もしかして…


「なぁ、冷華、何か腹痛くなってきたんだけど…これ何か悪いの入ってないよな」


「あーあたしも何かお腹痛くなった時あったなーなんだろね?」


そう、これだから若者は恐ろしい何も知らずよく飲めるよな。


あと、18歳位で子供産んで相手も18歳で結婚するとかアホだよな、半分以上ね人が産んだ子供を虐待で殺すんだぜ?やっぱり若者の行動は軽率だ。

まぁ、関係ない話だが。


「これで何か病気になったら責任とれよな」


「え?わかった、任せて!いっぱい介護するから!」


捉え間違えをしているようだ。

誰も面倒を見ろとは言ってない慰謝料請求したらちゃんととれよみたいな意味で話したんだが…

訂正するのもいいがこの天然みたいなものもかわいいから放っておこう。



その日の夜、冷華のせいで腹壊した…トイレから出られない。

許さない…冷華め。

明日覚えていろよ…

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京都の老舗和菓子屋の跡取り娘は俺の許嫁である! 上井真実(かみいまみ) @mami_kamihara

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