退院したからって

 次の日は月曜日。みんな普通に通勤通学していく。

 お弁当を用意して、ごみを集めて……気が付くと、入院中は地下鉄で通ってたはずの上の子がまだそこに。退院してきたと思ったら、もう送って行けと!

 高校までは歩いて40〜50分程度。地下鉄だと乗り換えなければいけないので1時間ほどかかってしまう。車で送って行くと10分。ぎりぎりまで家でのんびりして(課題をやっていたりも)いたいのは分かるけれど、退院したからって完治した訳じゃないのだが……


 それでも間に合わないのは困る。

 高校まで送って行って、帰ってきたら掃除。トイレ掃除なんて誰もしてないんだろう。台所はほとんど使われた気配も無く、洗い物はあんまりなかったけど(0ではない)。

 買物に行って、食材を補充。

 てきぱきとは動けなかったので、のんびりペースで。

 お昼を食べたら、14時くらいには眠気が。PC前に座っているのも長時間は無理のようだ。

 諦めてソファで一眠り。

 調子の悪い時は(貧血の時も)寝て治す感じなので、まだまだ1日動くのは無理なんだろう。


 そんな風に思っていたら、次の朝38度越えて熱が出た。

 さすがに寝てます宣言をして、みんなを送り出したらお布団に戻る。半日寝ていたら熱は下がったので一安心だった。



 § § §



 しばらくは午後に昼寝する生活をして、ひと月ほどが過ぎた頃。

 ネットでちょこちょこ調べたところ、1ヶ月程度で出血が止まる。という情報が多かったのでそろそろかなと期待していた。

 茶褐色のおりものの中に、時々赤いものが混じっていたりしたのだけど、少量だし続くわけでもない。順調にいけばそろそろ生理用品ともお別れできる。そう、思っていた。


 ある朝、いつものように上の子を高校まで送って行くのに、ちょっと時間が押していた。

 いつもはエレベーターに乗るのだけれど、時間的には階段を下りた方が早い。

 軽い気持ちで6階分を駆け下りた。

 それでも一応段を飛ばして飛び降りたりはしないように気を使ってたのだけど……


 お昼前くらいに、生理2日目のような血が一気に流れ落ちる感覚が。横座りしていたのを、思わず正座にして、「ヤバイ」と直感した。

 すぐトイレに行ってみると、昼用が真っ赤になっていた。まさに2日目の感じ。

 病院に連絡してみた方がいいのか、様子を見た方がいいのか、ちょっと考える。診察予約の変更などの電話は14時過ぎに、と用紙に書いてあるので、その時間まで様子を見ることに。もしかしたらあれだけで終わるかもしれない。


 運の悪いことに、その日15時から高校の面談が入っていた。

 担任の先生とはまだ1度も顔を合わせていなかったので、ここは行っておきたい。

 その日はクリスマス前の金曜日で、カレンダーをよく見ると、月曜も祝日だった。そこでやっと電話する決心をする。

 なんとかその日診てもらえることになって、面談の時間も鑑みて16時半に押し込んでもらう。先生は手術入ってるので、「もしかしたら時間ずれるかもしれないけど」と言われたけど連休中不安を抱えてるよりは良かった。


 面談にはお車でのお越しはご遠慮ください。なんてプリントに書いてあったのだけれど、とても地下鉄乗って歩いていく気分になれなかったので車で行った。よく考えたら私が最後で、来客用の駐車場も空きがあったのでホッとした。

 10分くらい早く着いたのだけれど、教室から先生が出てきてくれて、そのままどうぞと促された。

 上の子の学校生活のことはさっぱりわからないので、何を聞いても新鮮だ。英語の成績だけ若干問題がある程度で、あとは何とかやってるらしい。

 そんなこんなで、時間前に面談は終わってしまった。

 真直ぐ行こうと思ってたのに、時間空きすぎて、一旦帰ってから病院に行くことにした。




 病院では手術中の担当医に変わって、他の先生が一度診てくれた。

 座面に溜まるほど血が流れ出ていたのだが、中の出血は止まりつつあるみたいだということだった。ちょっとほっとする。ガーゼを入れて圧迫しつつ、止血の点滴を受けることに。1時間程度という話だったが、その時点で17時。受け付けも閉じてしまう。支払いは後日纏めてということになった。


 点滴中、担当医の先生が顔を出してくれた。点滴は救急外来の部屋で受けていたので、終わったら診察しますから看護師と来てね、と言われる。

 先生も手術着のままで、なんとなく申し訳ない。

 先生に診てもらうと


「そろそろ縫ったところの糸が溶ける頃なんだけど、以前から治りが悪くてじゅくじゅくとしていた部分の糸が緩んでいて、そこから出血したみたいだね」


 とのこと。

 出血は止まってるみたいだから、一応、圧迫の為ガーゼは入れておいて漢方薬出します。と、薬局も閉まっているので院内処方で出してくれた。

 傷が開いてしまった理由が、階段を駆け下りたくらいしか思いつかなかったので、一応その話もしたら「階段はゆっくりね。あと、性行為は絶対禁止ね!」と注意された。

 それどころじゃないし、ネットで縫ったところが開いて、腸がめりこんで緊急手術になった人の話を見ていたので、そんな気にもなれない。大人しく「はい」と返事をして帰路についた。

 

 晩御飯の時間も迫っていたので、コンビニ弁当を買って帰る。

 子供達には知らせてあったので特に文句はない。

 結構大変な事態だったんだけど、出血を見たわけでもない家の人達はのんきなものだった。

 もうちょっと労ってくれてもいいんだぞ!

 

 年末の休みに入る前にもう一度病院に行って、出血が止まった確認をしてもらい、年明け4日にまた診察の予約。

 年末年始も無事に過ごして、今の所、再度の出血はない。茶褐色のおりものはまだ続いているので油断は禁物だけど。




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