第4話 ポシンドール

 ポ華は片腕を必死に押さえつけようとするも、自分の意志とは反してその猛威を振るう。その破壊力はすさまじく、校舎に掠っただけでバターの様にその壁を抉り取った。


「きゃぁぁ」


 壁の破片が勢いを殺さぬまま、ポし子へ襲い掛かる。その暴力的な数からは一般的なポプリ力しか持たぬポし子には成す術もなかった。


「止まりなさい! この腕、私の腕でしょう! 言うこと聞きなさい!」


 ポ華は腕を叱責し、咄嗟に壁からも、そしてポし子からも遠ざかろうとするも、ポプリと化した腕力には抗えない。縦横無尽に動き回るその腕は、大地を、そして空気をも食い破る。その余波は、近くにいるポし子へ理不尽に襲い掛かっていた。


「いやぁぁ、ポし子!!」

「ポ華様! わ、私は……大丈夫です。そんな腕には負けないでください‼」


 ポし子は致命傷さえ避けているものの、全身満身創痍だ。その能力でポールドを張っていなければ既に原型を留めていなかっただろう。しかし、ポ力は既に付き、新たにポールドを張る力もない。

 それにもかかわらず、ポし子は逃げるのではなく、逆にポ華へ近づいていく。


「な、何しているのですの!? ポし子、逃げなさい! 私のことは置いて早く逃げなさい!」


 このままでは間違いなくポし子は死んでしまうだろう。ポ華はそれを決して許したりしない。


「いえ……ポ華様を置いて逃げるなんて……出来ません。私はずっとポ華様の隣にいると言ったはずです」

「そんなこと言っている場合ではないでしょう!? 命令です、今すぐ逃げなさい!」

「嫌です!落ちこぼれだった私に手をさしのばして下さった恩もまだ返せていません!!」


 



 ポし子は今では平均的なポプリ力を有しているが、以前は落ちこぼれとして嘲笑の対象であった。皆の前では、馬鹿にされてもヘラヘラした態度で道化を演じることで、凄惨なイジメを受けることだけは回避していた。しかし、裏ではそんな自分に対して惨めさと情けなさを感じ、誰もいない場所では悔し涙を流していた。

その日も、校舎裏でポし子は嘆いていた。


「どうしてよ! 何で私にはこんな力しかないのよ!」


 ポし子の目の前には、1cm×1cm程のポプリが浮かぶだけであった。


「こんな脆くて小さなポプリを生み出す力なんて、何の役にたつっていうのよ!!」


 そのポプリは、風に飛ばされた木の葉がぶつかるだけで、木っ端微塵に砕け散った。


「なんでっ!なんでよっ!!」


 何時もは誰も来ない校舎裏、そんな場所だからこそポし子は気が付かなかった。

 

 金髪縦ロールのお嬢様が近付いて来ていたことに。


「おーほっほっほっ、貴方、情けないですわね!」

「えっ!?」


 ポし子が振りかえると、そこには堂々とした佇まいのポ華が仁王立ちで立っていた。

 ポ華、その存在は接点の無かったポし子であっても知っていた。ポプ爵令嬢であり、2つの香りを宿すポプリを保持している。その香りのうちの1つは、相手の思考力を麻痺させ、幻覚を見せるという高いポプリ力を有している。そして、容姿端麗、聡明叡智、誰もが羨むはずの彼女は、冷酷でポう慢、他人を寄せ付けないポ高の存在だった。それが、ポし子の知るポ華だった。


「情けないって、恵まれているポ華さんには分からないですよ‼」

「あら、そうね。そうかもしれないわね。私は恵まれていますわ。まぁ、その分努力は積み重ねてきましたけれどもね、オーホッホッホッホ」

「努力って、私だって努力しています!」

「そうかしら? 私からしてみると泣いているだけにしか見えないですわ。少なくとも、私は1歳から食事と寝る時間以外は殆どポプ練につぎ込んできましたし、嘆いたり、涙を流したり、ましてや人に当たるなんてこともせず自己研鑽を続けてきましたわ。誰かさんと違ってね」

「……」


 ポし子は反論しようと思っても言葉が出てこなかった。ポ華がそんな幼い頃から訓練しているなんて予想だにしなかった。それに、1日の訓練時間も自分の比ではない。テレビを見たり、漫画を見たり、ゲームをしたり、遊びに出かけたり、ポプリをしたり。果たして自分はそんなに真摯にポプ練に取り組んできただろうか。ポ華が今の地位を確立したのは、まぎれもない努力があったからこそだとポし子は理解した。

 

「はあ、仕方がないですわね」

「えっ?」


 さらに自己嫌悪に陥ってしまったポし子に対し、ポ華は柔らかな笑みで命令した。


「あなたわ今から私の従者にしてあげますわ! これはポ爵令嬢としての命令ですの、勿論拒否権などないですわ。まあ、その代わりに少しくらいなら? あなたのポプ練に付き合ってあげても良いですわ」

「そんな……」


 ポ爵令嬢、つまり貴族からの命令は、平民は絶対に順守しなければならない。これは、この世界のルールだ。ポし子は異を唱えることなど出来るはずもなかった。今までは虐められない様に生きてきたのに、ここにきてポう慢なポ華に目をつけられるなんて。ポし子は自分の運命を呪わずにはいられなかった。


「それでは、ポし子、能力を見せてみなさい。勿論命令よ?」

「……わかりました」


 命令に背けるはずもなく、ポし子は再度能力を発動する。どうせ、笑われるに、馬鹿にされるに違いないと思っていた。しかし、能力を発動してから何時まで経っても何も言われない。そして、何時ものように何処からか飛んできた落ち葉が、それにあたると、小さなポプリは跡形もなく消滅した。


「これで満足ですか? 笑いたければ笑ってください‼ 同情なんてまっぴらごめんです!」


 何故こんな辱めを受けなければならないのか。ポし子は自暴自棄になっていた。そうしてどうせ高笑いされると高をくくっていた。ポ華の顔を見るまでは。


 ポ華は真剣な眼差しで今の光景を観察しており、その目には馬鹿にした色はない。ポし子の様子に気がついていないのか、ポ華はぶつぶつと独り言をつぶやいていた。


「落ち葉は明らかに変な軌道を描いていたわ。それに、小さなポプリと一緒に落ち葉も消失していた……。あれはただのポプリではない? 仮にそう仮定すると……」


 そのあまりの真剣さに、ポし子は思わずたじろいだ。そして、恐る恐るポ華に声を掛ける。


「あ、あの、ポ華さ――」

「ポし子さん! あなたの能力はもしかしたら凄い力を秘めているかもしれませんわ!!」

「えっ?」


 ポ華は凄い剣幕でポし子の肩を掴み、揺さぶった。ポし子は脳がシェイクされ、気分が最高に悪くなる。


「私の予測が正しければ、貴方のその力は他者からの攻撃を防ぐ最高の盾となりえますわ!」

「お、おち、おちついてくだささぁぁぁぁオロオロオロオロオロオロ」

「きゃぁぁぁ、私の服がぁぁぁ!」


 その日、一番大きな声が出たポ華とポし子であった。

 ポし子の意識が遠のいていく中、そのポ華から示された可能性、そして、噂とは違うポ華の姿。彼女とは初対面なはずなのに、何故自分の名前を知っていたのか。色々思うことはあるものの、もう一度だけなら頑張っても良いかもしれないと思た。

 

「これから宜しくお願いしますわね、ポし子さん」

「うっぷ、よろ、しく……おねがい、します、ポ華様……」


 この人は、周りが言っていたほど冷たい人ではないかもしれない。


 こうして2人は出会い、ポ華とのポプ練を経て、ポし子はポールドを会得した。




「ポ華様のお陰で、落ちこぼれだった私は学園の皆を見返すことが出来ました! ポ華様のお陰で堂々と学園に通うことが出来ました! ポ華様のお陰で、学園に通うのが楽しくなりました‼」


 もはやポし子に立ち上がる力は残っていない。それでも、地面を這いつくばり、少しでも前へ、ポ華の近くへと、腕を必死に動かす。


「あ、あんなのは、ただの暇つぶしですわ‼ 内心では貴方のことを馬鹿にしていましたのよ!? それに、今まで黙っていましたが、貴方のことは大っ嫌いでしたの! 平民のくせに私と対等な関係になれたとでも? 反吐が出ますわ! 今だってカエルの様に這いつくばってみっともない姿を曝け出して、平民の貴方にはぴったりだと嘲笑っていますわ! さあ、目ざわりなので早く私の前から消えてくださいませ‼」


 ポ華はそんなポし子を拒絶する。今までのは遊びだと、貴方は遊び道具だと。しかし、ポし子にはお見通しだった。


「ふふ、どれだけ一緒にいたと思っているんですか。ポ華様の本当の姿なんてとっくに知っていますよ。本当は学園の皆と仲良くしたいこと、そのために全員のプロフィールを頭に叩き込んでいたこと。だから初対面の私の名前も知っていたんですよね」

「そ、それは……」

「それなのに、幼い頃からポプ練を続けてきたばっかりに、コミュニケーション能力だけは欠如してしまい、結果として周囲に誤解を招いてしまうのですよね。本当に憶病で、言葉足らずで、無駄にプライドが高くて、でも、とても優しくて。それが私の知っているポ華様ですよ。今だって私を遠ざけようとそんなに無理をして」

「む、無理じゃないですわ!!」


 嫌々と、ポ華は顔を横に振る。そんな人じゃないと、私は残酷な人間なんだと。


「あな、貴方のことなんて、あの庶民と同じようにしか思っていないですわ‼」

「ああ、あの人のことは私も嫌いなのですよね……。でもそれってあの人の姿に憧れてなんですよね……。ポ華様は友達1人すらいなくてもそれを毛ほども気にしていない姿に、そして、私は無臭のポプリしか持たない落ちこぼれのくせに、私みたいに道化を演じることもなく、全てをあしらえるその強さに。ふふ、こう考えてみると私たちは似た者同士ですね」

「ち、ちが……」

「もう、どれだけ言葉で否定しようが隠せていませんよ。泣かないでくださいポ華様、私はあなたの元気な笑顔が大好きなんですから」


 隠しようのないポ華の本心。その止め処なく流れる大粒の涙がなにより物語っていた。


「ほら、涙なんて似合わないですよ‼ ポ華様ならそんな意味不明な腕なんかに負けないですよ。何時ものようにその笑顔で乗り越えられるはずです‼」

「ポし子さん……、そ、そうですわよね。私としたことがどうかしていましたわ! こんな腕なんかに負けていられないですわね‼」


 ポ華は、ポし子の言葉に目を覚まし、今までの自分を恥じる。今までだって沢山の壁を乗り越えてきた。一人でも乗り越えられたのだ。ポし子と一緒ならもっと高い壁だって乗り越えられるはずだと。


「ふんっ、この糞腕、私の言うことを聞きなさい! あなたは私の腕でしょう!? それなら大人しく私の言うことを聞きなさい‼」


 ポ華が普段は絶対口にしないような汚い言葉をもその腕に投げかける。その気合伝わったのか、その腕の動きは緩慢になり、徐々に肩に向かって侵食していたポプリもその速度を落とす。


「そ、その意気です‼ ポ華様なら不可能はないですよ‼」

「もち……ろんですわぁぁぁぁ‼ とまっりなさぁぁぁぁい‼」


 全身から滝のように脂汗を流すポ華。止めようとする反動か、全身をかつてない痛みが駆け抜ける。それでもポ華は諦めることをしらない。そんなせめぎ合いから数十秒、ようやくその腕は浸食と動きを停止した。


「やった、やりましたわ……やりましたわよポし子!」

「やりましたねポ華様‼ 流石私の主人であるポ華様です‼」

「もう、主人なんて呼び方は止めて下さる? っと、それどころではなかったですわね。ポし子さん、立てるかしら?」


 ポ華はポし子に駆け寄り、左手をポし子へ向かって差し出した。


「主人じゃないならなんなのですか?」

「も、もう。ポし子さんたら意地悪ですわね」


 ポし子は悪い笑顔を浮かべて、差し伸ばされたその手を掴んだ。ポ華はその柔らかな頬を膨らませつつ、ポし子を引き起こす。


「その、ともだち……ですわよ」

「あ、それはお断りします」

「えっ」


 ポ華は、まさか拒絶されるなんて思いもしておらず、引き起こしたままの姿勢で体を硬直させた。そして、先ほど引っ込んだはずの涙がまた溢れそうになる。


「そそそ、それはどういう……」

「ポ華様、私と親友になってください」

「ポし子さん……もう、本当に意地悪ですわね」

「へへへ、で、どうなんですか?」

「も、勿論喜んでお願い致しますわ!」


 そう答えたポ華の笑顔は、今まで生きてきた人生の中で一番輝いていた。勿論ポし子も最高の笑顔を浮かべて2人は笑いあう。

 この2人の絆はこれからも失われないだろう。2人でならばどんな苦悩も乗り越えいける、2人でならば今後の人生もきっと楽しいものになるだろうとポ華とポし子は信じて疑わなかった。



 ポ華の顔に鮮血が飛び散るまでは。

 


「ぐしゃっ……?」


 突如、ポ華の目の前、正確には少し下からなにかが潰される音が耳へと届いた。 顔にかかった生暖かくぬるっとした液体、ビクンビクンと跳ね上がる目の前の大親友。その親友のお腹からは自身の右腕が生えていた。


「ポ。ポし子? ちょっと冗談はもうやめてくださいませ……。ねえ、ポし子……ポし子……ポし……い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


 絶叫、先ほどまで確かに手の中にあったそれは、砂粒の様にポ華の手から零れ落ちた。

 再度、ポ華の右腕が、右腕のポプリが全身へと向かって侵食を始める。ポ華は確かに見た。そのポプリが微かに震えたその瞬間を。それは、まるで2人を嘲笑うかのようであった。


(ああ、なんですの。止まってみえたのは演技でしたのね……。もうどうでも良いですわ。早く私も殺してくださいませ! さあ、早く! ポし子の下へと連れて行ってくださいませ‼)


 ポ華が諦め、その体を地へ横たわらせようとしたその瞬間、少女の声が耳へ届いた。


「はあ、とんだ場面に出くわしたわ。こんなことが起こりえたからあんまり学園に来たくなかったのよね……」


 それはポ空間転移で学園へ戻ってきた少女だった。


「あ、貴方が何故ここに……」

「あら、あなた……ふ~ん、これは気が付かなかったわ」


 少女は興味深そうにポ華の全身を観察する。その瞳には今までポ華が見たことの無いような色が映り込んでいた。


「はっ、それどころではありませんわ‼ そこの庶民、早く逃げなさい!」


 ポ華はこれ以上犠牲を出すまいと、心が折れていたにもかかわらず、咄嗟に少女へ声をかける。

 しかし、何時まで経っても少女は逃げるそぶりを見せない。そして、ポ華の右腕も動くそぶりを見せなかった。もしかしたら、また演技をしているのかもしれないと自身の腕を見やると、それは小刻みに震えていた。それは先ほどとは違い、恐怖によるものだとポ華は何故か理解できた。


 しかし、そんな静止した時間は何時までも続かなかった。しびれを切らしたポ華の右腕が10倍にも膨れ上がって少女へ襲い掛かる。その光景は、誰の目から見ても恐怖しかないだろう。ポ華はその後の展開を予測し、咄嗟に目を閉じる。しかし、何時まで経っても肉が潰れる音は聞こえてこなかった。

 恐る恐る目を開けると、そこには地面から飛び出た無数の槍で縫い止められた自身の腕があるだけだった。


「『シャドウポンス』、こんな攻撃で止められるようじゃまだまだね。まあ、本体を乗っ取っていたら話は別だったかもしれないけど……流石のポ成虫も天然には抗えなかったみたいね。『ポプ罪の剣』、切断せよ」


 少女が掲げた左腕を下ろすと同時に、ポ華の右腕が肩口から綺麗に切り離された。その切断面は完全に焼き切れており血の1摘も出ない。

 切り離されたポプリは、その場から離れようともがくものの一向に抜け出せなかった。


「ポっ縮」


 そうして、そのポプリは少女のお腹へと収まった。


 ポ華はその光景をポーっと眺めていた。腕を切り離されていたくない訳がないがそれ処ではなかった。


「あ、貴方は……」

「ちょっと、ポ華、あなたそんなポーっとしている場合かしら? そのままだとあの子、完全に死んじゃうわよ?」

「えっ?」


 少女の言葉にとっさにポし子を見る。しかし、腹に大穴を開けて血だまりに倒れている姿からは、とてもではないが生きているようには言えない。


「はぁ、魂が逃げないように着いて直ぐにポッ界を発動させたのよ。でも、これもそんなに長く持たないわよ? ほら、自分の本当の力に目覚めなさい」

「な、なにをいって……」


 ポ華の思考ではもはや少女の話についていけない。そんなポ華を見て、少女は呆れつつも、ツカツカとポ華に近づいて額を合わせた。


「脳味噌の底から使い方を引きずり出しなさい。『ポ真プ明』」


 少女言葉が紡がれた瞬間、気がつけばポ華は海を潜っていた。何も見えない深い深い水の中。しかし、何故か恐怖はない。深く、もっと深くと更に位奥底へ潜っていく。それからどれ位の時間が立っただろうか、視界の先に光り輝くそれが見えてきた。


「これは、機械で出来たポプリ?」


 光輝くそれは、様々な細かい部品で作られているポプリだった。そして、それに手を触れた瞬間、ポ華は自身の秘めたる能力にようやく気が付くことが出来た。


「ああ、これが、これこそが私の本当の力……」


 ポ華が目を開けると、少女は既に離れていた。少女は何者なのか、あのポプリは何だったのか。少女には聞きたいことが山ほどあったが、それよりもポ華には優先してやらなければいけないことがあった。


「『我が右腕に宿れ、ポウ国プリ式ポ療型、機械神のポ道鉄甲‼』」


 ポ華が唱えると、斬られたはずの肩口から緻密な機械で作られた腕が出現した。そして、そのままポし子に向かってその右腕を伸ばす。


「ポし子さん、今度こそ、助けますわよ‼ 『かの者をポやせ、再ポプ築せよ、ポプリロード‼』」


 ポ華の右腕から光が迸り、ガチャガチャと何かが動く音が鳴り響く。そうして光が収まると同時に、ポし子お腹の大穴は塞がり、やがて永遠に開くことが無いと思われた瞼が開かれる。


「ポ華……様?」

「ポし子……ポし子‼ 本当に、本当に良かったですわ‼ また、またあなたとこうして触れ合える。生きていてくれてありがとうポし子」

「うぇ? なんのことだか分からないのですが……って、ポ華様、その腕どうしたのですか!?」

「これは私の本当の力ですのよ! それよりもごめんなさい、貴方の身体、脳以外全て機械になってしまったわ?」

「えぇ!?」


 起きたばかりのポし子には何が何だか分からず、それでもまたこうしてポ華と触れ合えていることに喜びを感じて、ポ華が落ち着くまではその抱擁を甘んじて受け入れることにした。


 そんな2人を眺めつつ、思いがけない収穫に少女は満足していた。


「まさか彼女が天然、しかもその中でも最上級のポプリ力を有していたとはね。ポプげんよう、ポ機巧少女ポシンドール




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