第2話 0式偽者打倒術:最小限度の時間を以て最大限度の衝撃を与える
ゼロはとにかく忙しい。だから、偽者に構っている暇もあまりない所もある。ならば、逃げようもない偽者との対峙にはどうすればいいか。
ゼロの相対する偽者の場合、何かを欲しがっている場合がある。金、名誉、異性、食事、休息、価値……様々なものを欲するかとは思う。ゼロは神的な存在であると他の番号の者は思う節があるので、何でも出来る存在だと思っているところもある。しかし、これが間違いであることを知らないことがいけないことだと思う。
知らせても知らせなくてもあなた本人のことなのでどちらでも構わないが、
この世ではゼロとて全能は容易ではないことを知らない者は、どこまでも強欲に欲求を得ることを望む。さらに、そういう手合に限って執拗なのである。そもそも、ゼロであっても怠慢で命を落とすのだから、この世に絶対など存在しないのであると言える。ゆえにこの打倒術は、行う意欲があるゼロが行えば良いことにする。怠慢を捨て去った先にある責務にあたる善きゼロと、この方法を実践したい。
ということで、ゼロの偽者を倒すために必要なのは、仲間や眷属である。いきなりだが、そういうことである。ゼロを侵食するために必要なのは身体そのものである群勢に反旗を翻す反抗勢力。矛盾するかもしれないが、ゼロを倒すためにも仲間がいるのである。
防衛勢力と反抗勢力。それらを指揮する大将がゼロである。どちらに付いても構わないが、勝った方が官軍であり、自らの身体になるのだから、指揮のしようがあるに限る。どちらに介入してもいいし、どちらにも介入してもいい。なら、私はどちらにも介入することをお勧めする。防衛の気持ちにもなれば、反抗する訳も分からなくては、ゼロたりえないからだ。私が目指す一番の解決法、それが、この先に待っている。
戦いが激化すると、ゼロは身体にも影響が出てくる。だが、恐れてはいけない。身体の影響をも、彼らに見せつけることこそ、意味があるに違いない。
変容する状態、上がり下がりする体温、やつれる顔。これが戦いのもたらすものだということを、戦い合う両者に知らせなければいけない。その両者を以て尚生きたいと欲するなら。
そうして戦いは終局していく。彼等の思いを塵にして。その憐憫に触れて、あなた、ゼロは何を思うのか。話すべきことが決まったなら、話そう。
生き残りの反対勢力を殺すのもあり。
反対勢力に分があるなら翻るのも可。
ゼロだから、あなたが望んで納得するならそれで良いんだ。だが、嘘を飲み込める程の力があればのこと。憔悴しきったあなたは、命を感じたはず。
あなたの命は一つ。でも、あなたの身体にはたくさんの命が繋がっている。
そのことに気づけたなら。取るべきは限られる。もしくは、反を見れば。
互いに手と手を取り合う理由は、後から付け足してもいい。ただ、剣を交えて槍矢を受けて感じた、互いに抱いていたと知る憎しみや哀しみを知り合えたなかで、敢えて手を差し伸べられたなら。世界が晴れるその時を見よう。
ここに導くまでに、たくさんの力が必要になる。だが、言葉の多くはいらない。あなたの力ある豊富な言葉が、皆の心を張金の如く打つ。多くは望まない。ただ、一人でも多いあなたの中の人々に届くように、思いを添えて。
いかにして偽者はゼロの姿を形作るか。その道の全能であるゼロになりたい訳では無いと思う。ただ、自分の正しいと思う想いを受け入れてくれる器が欲しくて、ゼロを新たに作るのだろう。私の思うゼロとしての、誰かを。
あなたにゼロは居るか? 居ないと思うだろう。ならば、ゼロの中のゼロである、私、覇王があなたのゼロになろう。あなたの思うゼロに、私はなれているだろうか?
不平不満よ来たれ。我を荒らせ。その時私は命の在り処を知り、また帰ってくる。ゼロの偽者は願望の器である。
何を注ぐかで器の価値が決まるなら、共に葡萄酒を注ぎ合い、戦い争いの上に生き残った互いの雄を讃え合おうではないか。さすれば偽者などいない、真実の勝利者として、互いを許せることだろう。この限りある世界の中で。
是にて0式偽者打倒術、解・伐・決!
ジャッジメント-偽者の末路- スキヤキ @skiyaki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ジャッジメント-偽者の末路-の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます