わかがここに

「なんで来てること教えてくれなかったの!」


ニュージーランドに来るなんて

その気配なんて、1mmもなかった!!


その質問にわかはとぼけた顔で言う。


「だって聞いてないじゃん」


「んっ、そうだけど!そうだけどさ!」


そんなん言われなきゃ

気づけないし気づかないよ!


僕は1番言いたいことを

心の中で言って必要な事をわかに質問をした。


「今、君は何をしてどういう風に生きているの?」


「ふつーに暮らしてるよ」


「はぁぁぁ....」


そういうことちゃうねん。

その具体的な話を聞いているのに...


わかは素直に受け答えをしているだけで

悪気がないのは知ってる。


わかに悪気がなくても

こっちに悪気を生ませてしまう。


罪なやつ


いや


ただのアホなやつ


それがわかだ。


わかに分かるように噛み砕いて質問すると

答えが返ってきた


わかは僕より1ヶ月遅れの5月に

ニュージーに来てシェアハウスで暮らしている


5月からずっとクリスマスツリーを抜く

仕事をしていて特段、困ったことなく暮らしているらしい。


ここまで良かったのに


そのあとの近況の言葉を聞いたあと

僕はわかのことを嫉妬の炎で焼き焦がしそうになった。


わかには「彼女ができた」らしい

それも5月にニュージー着いてすぐに、だ


「いま彼女に電話変わるから待ってて」


そう言われて待たされているけど

今にもわかを焦がして

灰にしてしまいそうだ。


だってそうだろ?


僕が廃墟に住んでた頃から

僕がガレージに住んでた頃から

僕がエマとの愛の巣を築くことが出来なかった頃から


わかは愛の巣で愛を育んでいたから


僕も恋がしたい..!!恋したかったのに!!


わかは小太りだからほむらで焼いたら

味は最低だけど良い油は出るんだろうな


てか出た。ところで高い声が聞こえた。



「Hi how are you doing?」


「Hi I’m good you?」


「good thanks 」


英語のはじましての定型文を交わした後に


「I’m mikaela 」(ミケーラって言います)


彼女は自己紹介をした。その名前は横文字だった


「ミケーラ?」


どこの国の人だ?素朴な疑問はすぐ解決した


「ミケーラはマレーシアの人だよ

英語はもちろんだけど日本語も上手だぜ」


日本語話せるの!?


「こんな複雑でまどろっこしい言語を

学んでいただきありがとうございます。

恐縮です」


そういうと電話先では沈黙が流れた。


流石にミケーラには難しい日本語だったか

なんて思っていたら


「ごめん、俺でも何言ってるかわからない」


わかがそんなことを言ってきた。


訂正しよう


わかはアホなやつちゃうくて


バカなやつだった


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