初めてのブレイクタイム in factory

休憩室?へ向かう道中に

スキャナーを持ったおばちゃんが立っていて

先頭の人たちは自分のバーコードをかざしてからその先の部屋へ向かっている


休憩時間は静脈ではなくバーコードを切っていて

ほんと適当なのか適当じゃないのか判断の難しい国だ。まったく


僕もそのおばちゃんからバーコードをもらいかざしてから休憩室に向かう


歩きながらふと気になってそのバーコードをよく見ると

自分の顔の写真がバーコードの上に印刷されてあった


んえ!いつの間に写真を取られたの。


全く写真を取られた心当たりがない。履歴書なんて渡してないし

写真撮りますよーも一切言われてない


のにもかかわらずこの写真はブレブレでもなく

目線もしっかりカメラ目線の写真はほんとに不思議で不可解


休憩室に向かいながらしおりさんにこの不可解な出来事の質問をした


「この写真いつ取られました?全く記憶にないんですけど」


そう言ってバーコードの自分の写真を見せる


「あ、これ?静脈でタイムカード打つ時に前見てって言われなかった?」


「んん...言われたようないわれてないような...ってまさか...!!」


「うん。そのまさかだよ」


その時に取った写真か!!


訂正しよう。やはりこの国は適当で雑な国だ。まったく

これが日本なら...と思っていると


横目でしおりさんのバーコード写真が見えた


その写真は僕のような証明写真みたいな写真ではなく

きれいに盛れる斜め横から写真が写っていた


不覚にも白と黒で印字されたしおりさんが

目の前にいるしおりさんよりキレイに見えてしまって


白黒写真しかない時代にしおりさんと会っていたら

僕は彼女に恋をしていたなと

世間は4Kで騒いでる時代の僕は思った


そして1つ2つと扉を抜けてだだっ広い部屋に着いた


ここが休憩室らしく机とテーブルが用意してあり

僕は同じ日本人のしおりさんと同じ席で休憩を取る


この休憩室の外にも机とテーブルがあり

外でも休憩できる?みたいだからいつか外も覗いてみよう


休憩室を軽ーく見渡してみたらヨーロッパっぽい人やサモアっぽい人たち

上の人はフィリピン人ばっかだけどワーホリとかで働いてる人達はいろんな国から来ていた


アジア人っぽい顔の人はいるけど日本人はきっと僕らだけ?みたい


そいや、大事なことをしおりさんに聞きたかったんだった


「しおりさんさっきリンゴのレーンで何を説明してるのか

分かんなかったので教えていただいてもいいですか?」


お昼ご飯を食べながら

僕は共通言語を持つ彼女に甘えてしまった。


つくづく僕は甘いな


「んあぁ、いいよ」と話しながらシャキシャキ咀嚼音が聞こえる

何の音?と彼女の方を見てみると右手に禁断の果実を持っていた


しおりさんは赤く熟した甘いリンゴを食べながら僕を甘やかしてくれた

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