初めての7日間戦争

やはりすぐに寝付ける訳なんてなくて

寝ているのか寝てないのか分からないまま時間が経って

すっかり外は明るさを取り戻していた。


結局また寝れなかった


1日、日付が進んでもカラダは楽にならず

ダルさが進行している


少しくらい楽になってよ...

そんな昨日の僕の願いを今日の僕のカラダは叶えなかった


今の体温は何度くらいなんだろと

枕の下に置いてある体温計を手に取って体温を測る


ピピッ ピピッ


聞きなれている音が鳴り体温計を見てみると39.2℃と表示されていた


嘘だろ...


体温が0.6℃上がった


この調子で上がり続けるなら僕のカラダは

明後日の朝には固まったたんぱく質の塊になって

魂だけが日本に帰国してしまう


こんな形の帰国は望んじゃいない


でも、どうしよう。薬持ってないしな

とかいって海外の薬を服用するのは怖い


このままたんぱく質の塊になるのなら...

僕は熱によって消耗したカラダに一石ならぬ一薬投じることにした


「Hi morning」(おはよう)と起きたフランスに懇願する


「モーニング、どうか僕にお薬をください。

熱が下がらなかった...」


「Are you seriously!?」(ほんとに言っているの!?)


「seriously」(ほんとうに)と僕も返す


「okay、マッテて薬とゴハンもってくるネ」


またご飯を用意してくれるなんて...


「フランス、あなたは神か」


「私はフランスです」


いや...


またそういうことじゃないけど...


そういうことにした僕だった


フランスから頂いた朝ゴハンはバナナ3本

熱のある僕にはちょうどいいエネルギー摂取アイテム


そして出された薬は...Panadolと書かれたもの


全く聞き覚えがない名前ってかまず読めない。


パナダエル?


得体の知れない薬でも楽になるのなら服薬します。


楽になるか楽園に行くか


道は2つに1つ!


バナナを1本食べてから

ゴクンとPanadolと書かれた薬を飲んだ


ううぅ...!!!


薬を飲んだ瞬間、体が燃えるように熱くなり

手、足、頭と全身に燃え盛るような痛みが...!!!


なんてならなかった。むしろ何も変化がない

薬だから1時間後には効果が表れるかな。気長に待つか


フランスは仕事に行く時間が迫り、僕が薬を飲んだを見届けると

バナナの皮を持って仕事に向かった


僕はそのバナナを道端にトラップとして置かないか不安になったが

彼は赤い帽子のヒゲ野郎と違う。杞憂だった


そしてプラシーボ効果のせいか寝付けなかったせいか

薬を飲んで少し経ってから睡魔が僕を襲う


寝付けてない僕には絶好のチャンス

目をつぶり僕はすぐに眠りに落ちた。


...


そして目が開いた


が、変わらず今もカラダがだるい。


外はすっかり暗くなっている


また薬を飲んで寝て朝起きてもだるかった


もう一度体温を測ると39.5℃になってこのまま一生治らないんじゃないかと


薬を飲んだら楽になるか楽園に行くか道は2つに1つだと思っていたけど

そのどちらでもなくてただ辛いが続くだけだった


39.7℃まで上がり本当にたんぱく質が固まるかもと

思い出した熱を引いてから4日目のお昼


体温が38.6℃に下がった。熱を出した初日の体温に戻ってくれて

このまま一生熱を出し続けると思っていたから安堵に安堵を重ねた


やーよかった


ピークの時と1.1℃も違う。1.1℃しか違わないけど体は格段と楽


いまなら滝修業できそうだぜ。


...


ごめんなさい嘘です...


もうしばらくやりたくないです...


なんやかんや時間が経って本当に体が楽になったのは

風邪を引いてから7日目の昼


迷惑をかけたフランスにごめんありがとうを

一応フランスママにごめんなさいをした。


しかし、ごめんなさいをした僕は今、フランスの家に住んでいない

家があったAuckland(オークランド)にさえいない


あの事件がきっかけで


僕は新しい地Napier(ネイピア)に来ることに...

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