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キバたちは、辺境伯軍とロイド男爵軍を破り、ロイド男爵とその配下の将軍たちを捕虜にした。
その結果、ジュート軍の残存勢力である、リール伯爵軍と王都軍はアルザスへ向かう途中で引き返して行った。
リール伯爵軍・王都軍合わせて合計一万の兵力であり、アルザス軍は五千しかいないので、局地的には兵力で優っている。
しかし、ラセックス軍の三万+アルザスの五千の兵士に対して、ジュートとノーザンアングル合わせて六万と、倍近い戦力で戦うという当初のコンセプトが崩壊した以上、これ以上の戦は無謀と判断したのだろう。
そしてその判断には、リッテル辺境伯軍とロイド男爵軍の敗走兵が持ち帰った”惨敗”の話も大いに貢献していた。倍の相手を立て続けに破ったアルザス軍の力は、大きな脅威に見えたのである。
――キバたちは逃げる敵兵をあえて追いかけなかった。そうすることで、敗走兵たちに、“アルザスは強い”ということを他の兵士に伝えさせることができる。
そして、その目論見は見事成功したのである。
――二週間後、敵が兵を引っ込めたという報告を受けて、キバたちはアルザスへと帰還した。
アルザスに帰ってくると、ラセックスの総大将である、王女ルイーズが元気にキバたちを迎えてくれた。
「我が愛しのキバ! よく戻られた! お互いに義務を果たしたな!」
ルイーズは満面の笑みを浮かべ、人目をはばからずキバに抱きついた。
「いや、ちょっと王女様……周りに誤解されます……」
「誤解などないではないか!」
相変わらずの勢いに、キバはたじろぐ。
だが、ちゃんとラセックス軍が塩湖を守り抜いてくれたことにホッとしたのは事実だった。
塩湖でノーザンアングルを迎え撃ったラセックス軍は、会戦で大勝。
ノーザンアングルも撤退を余儀なくされていた。
こうして、ジュート・ノーザンアングル連合軍 対 アルザス・ラセックス連合軍の戦いは、アルザス・ラセックス軍の勝利で幕を下ろしたのであった。
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