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独立国で、大陸の塩の供給を担うランジーが、七王国のジュートに攻め込まれた。
それが意味するのは――
「……ジュートは滅びるかも知れませんね」
七王国がしのぎを削るこの時代。
だが、ジュートが暗黙の了解を破った。
塩の供給を独占されれば、内陸の国々は、存亡の危機だ。
「塩が高く売れるじゃないか!」
役人の一人が嬉しそうに言った。
なんとも安直な考えだった。
塩の一大供給源だったランジーが、ジュートに握られれば、他の七王国は、別の塩の供給元を探さなければいけない。
そうなれば、ジュートの次に塩が採れるアルザスに白羽の矢が立つ。
塩を輸出して、がっぽがっぽ儲けられる……
なんて、都合のいいことがあるわけがない。
「……王女様、これはまずいことになりましたね」
キバが言う。
「どういうことですか」
「塩をめぐるジュートと他の七王国の全面対決は避けられないでしょう。しかし、当面塩を確保するために、ジュートと戦うよりも、もっと手早い方法があります」
「……まさか」
「ランジーから塩が買えないのならばアルザスから購入すれば、なんて他の七王国が思うわけがありません。――アルザスを自国の領土にしてしまえば、それで解決なのですから」
同じ塩を手に入れるという目的のために、
七王国の一角であるジュートと全面対決をするか。
それとも、全兵力を合わせても1000人にも満たない小国アルザスを捻り潰すか。
どちらが容易いかは、子供でもわかることだ。
「……キバさんならば、七王国を相手にしても、勝てますか?」
王女はキバにそう尋ねる。
答えは決まりきっている。
「残念ながら……勝てるわけがありません」
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