2-3


 ジュートのランジー征服から二日。

 キバたちの元に、最悪の連絡が入った。


「ドラゴニアがアルザスに兵を向ける!?」


 その報告を聞いた大臣たちは皆一斉にうろたえた。


 ドラゴニアは、七王国最強の国。

 その兵力は、七王国の全兵力の三分の一以上を占める。

 彼らにしてみれば、辺境の小国であるアルザスを捻り潰すなど、あまりに容易いこと。


 その強さは、そこで軍を率いていたキバ自身がよく知っていたことだった。


「して、数は?」


 伝令にキバが尋ねると、絶望的な答えが返ってくる。


「総勢1万以上!」


「1万だと!?」


 全く話にならない。

 アルザスが、寝たきりの老人から赤子まで、全国民を兵士にしたとしても到底敵わない。


「一体、どうすれば……!!」


「もうおしまいだ!!」


 大臣たちが絶望の言葉を次々に口にする。


「キバさん、一体どうすれば……」


 未曾有の事態に、王女さえもキバにすがるしかできなかった。



「……ドラゴニアにいた俺だから確実に言えることは――ドラゴニアに勝つことはできません」


 キバの言葉に、その場にいた他の人間は皆凍りついた。


 ――だが、


「勝つことはできなくても、負けない方法はあるかもしれません」


「そ、それは……!?」


「……七王国の一角と同盟を組むのです」

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