第56話 祈りの果てに繰り返されるもの

 敵わないと、本当はわかっていた。

 それでも、自分が諦めてしまったら終わりだ。

 幾度も敗北を重ねている。

 それでも、まだおりるわけにはいかない。

 自分で制御できないほどの体の震えは奥歯まで伝わっている。

 冷たいなどと一言で片づけられるような水の冷たさではない。

 腰の高さまで海の水が流れ込んでくるが、岩壁に打ち込まれた足枷がびくともしない。鎖など生易しいものではなく、身動き一つ許さないというほどに隙間なく金属が肌にぴったりと触れているのがわかる。

 両腕には呪をかけられており、何ひとつ自由にはできない。

 いっそ、殺す選択をしてくれても良いものだが、それをしないには理由がある。

 僕が死ねば、僕が仕組んだ封陣が起動してしまうから、二の足を踏んでいるのだろう。思わず笑いがこぼれてしまう。最後の最後で切り札をもっているのはいつも僕の方なのだから。

 

「何度目だ?」


 人の気配などないこの場所に久しぶりの人の声がした。

 この声の主と何度も何度も闘っている。だが、結果はいつもこうだ。

 大切な者をすべて奪われて、自分がここでくくりつけられて終わり。

 奪われるたびに心は死んでいく。

 勝ったのだと皆と喜びあったのも束の間、手を差し伸べた先は躯の山と血の海。 

 そして、目が覚める。

 これを、ひたすらに繰り返す。

 何度祈っても、祈っても、残酷な夢しか見なくなった。

 

「仕掛けた封陣を解除すれば終わるぞ?」


 幾千回も続けられているこの問答に僕は首を横に振る。

 両上肢、両下肢ともにしばりつけられたままでは凍える身体を抱きしめることもできない。さらには印を組めないよう、指先すら自由に動かないよう特殊な糸でくくりつけられている。


「眼を封じて、身体の自由を封じたのに、まだするというのか?」


 僕の視界は暗闇のまま。両方の眼は幾度となく奴の刃で切り裂かれた。だけれど、回復しようとするこの眼を恐れて、血で記された呪布できつく縛られている。

 何もできない。何もさせてもらえない。そんな状況にあったとしても、僕は逃げられない。逃げてしまいたくなる衝動はあるが、それでも駄目だと唇をかむ。

 輪廻することも許されずに魂が砕かれてしまったとしても、封陣は解除しない。

 拘束されて、何年たったのかもわからない。それでも、屈するわけにはいかない。


「過ぎた願いは望まないよ。 でも、違うものは違う。 間違いは正す」


 殺してみろよと僕は言う。

 僕を殺せば、お前の初めての敗北となる。

 どうするのが正しかったのかはわからない。幾度考えてもわからないが、解除はしない。

 

「この潜戸で躯にもなれず、哀れに想う」


 潜戸とは洞窟のことであり、安山岩、凝灰岩の岩盤が地殻変動に伴って断層や亀裂を発生させ、その割れ目に沿って日本海の荒波や強風が岩盤を長い歳月をかけて浸食していったことによって形成されたものを指す。

 ここは加賀なのだろう。僕を閉じ込めるにはもってこいの場所だ。

 潜戸には賽の河原もあり、魂が戻る場所でもある。


「穢れに強いとはあっぱれだと言う他ない。 夜を使い、根の泉を支配し、王樹を喰う。 黄泉使いの根幹を闇に堕としこんでそれでお前は何をしたいのか?」


 不毛すぎる。言いがかりも良いところだ。

 僕は夜を使ったことはない。根の泉も支配したことはない。王樹を喰ったこともない。皆を闇に引きずり込んだ覚えもない。

 記憶違いもほどほどにしろと毎度思う。

 確かに、僕にはそれができる。

 その気になれば、息をするように簡単にできるだろう。

 

「僕は確かに穢れをこの身に抱え込むことはできる。 だが、抱え込んで、終わりだ。 これを何かに変えて、どうこうはしない。 その証拠に、封陣は僕の身の中にある」


 僕を殺せば、僕の身に閉じ込めた穢れをすべて解放することになる。

 そして、その穢れはたった一人を攻撃するように僕が仕組んでいる。

 僕が死んで困るのは今、目の前にいるコイツだけだ。

 

「聖人君子殿、頭がおかしいのはあなたの方だ」


 間近で鋭く風を斬るような音が響き、右頬をはたかれた。

 口腔内に錆びた味が広がり、僕はふっと笑った。

 正道がないから、暴力に訴える。

 かちゃりと音がして、首筋に冷たい刃が当てられた。


「首を斬るなら、しっかりと落とせ」


 苛立ったような声を上げて、男が刃を引いたのがわかった。

 その代わり、両の掌できつく首を締め上げられた。

 息ができないほどの力を籠められるが、これも長くは続かないことを知っている。

 うめき声ひとつあげなくなった僕に舌打ちをして、その手を解放するだけ。

 これにも慣れた。

 それほどに僕が怖いというのか。

 そして、僕を殺す事が正道にないことを誰よりも自覚している証拠だ。


「どれだけ正道を説いて、永遠に敗れない宗像を築き上げたにせよ、あんたには永遠に天月眼は手に入らない。 あんたのために真実の心を説く番も現れない。 何度生まれ変わっても、敗北感に苛まれて生きるのはあんたでしかないよ」


 波が高くなってきている。

 数分後には僕の首下程度までは水が上がってくるだろう。

 髪を結い上げていた紐はいつだったか水に流されてしまった。

 髪が海の水に好き勝手に遊ばれるのもどうにもできなくなった。

 息を吐くが、まったく、心が軽くならない。

 

「これほどまでに何もできなくされているというのに、戯言ばかりはお上手になったな。 宗像貴一、もう下手に動くなよ。 お前が動けば動くほど、お前の半身にはこれより過酷な痛みを与えることになる」

 

「ならば、過酷な痛みとやらを彼女に与えてみろよ! できないのだろう?」


 僕を痛めつけることに躊躇は無いが、彼女を痛めつけることには二の足をふんでいる様子があることには随分と前から気が付いていた。


「彼女が真実、お前を裏切らないとでも思っているのか? 人の心は変わるし、奪えるものだ」 


「奪えるのならそうすれば良い。 僕の半身は男を見る目のない、その程度の女だったということだ。 だけれど、僕の半身はそれほど愚かではない。 残念だったな、あんたは髪の先ほども触れられないだろうな」


 この枷を吹き飛ばす方法なら本当はある。

 だけれど、それをしてしまったら、彼に正道があることを証明してしまう。

 力がありすぎることを証明すれば、彼はそれを盾にして、己の手を汚さずに宗像一族の者達に僕を討たせようとするだろう。


「お前がその気で居るのなら、お前の呪いにかぶれた哀れな魂を粛清してやるさ。 何度でも、輪廻に還し、お前と二度と逢えないようにしてやるよ。 彼女が胸を射られ、血に濡れて苦しみ抜いて死ぬ姿がお好みなのだろう?」


 僕を脅すつもりなのだろうが、それは無駄だ。

 彼女を捕獲できていないからこその言葉だ。

 僕の半身は思うよりも利口で、狡猾。

 ここぞという局面に機が熟したと判断すれば、彼女は動く。

 僕も彼女もまだ繰り返す。千回だめでも、まだ繰り返す。

 あの華奢な身体を僕はいつ抱きしめてやることができるのだろう。

 

「静音、無事でいてくれよ……」


 虚しく響く言葉にうなだれる。

 信じているとささやいてくれた彼女の言葉だけが僕をとどめる。

 今は彼女に手を伸ばすことも、触れることもかなわない。

 この眼の回復具合もわからない。このままでは、彼女の表情を、姿をみることもできない。唇をきつくかんで、こらえるしかない。

 

「封陣を解いたなら、すべてを解放して、輪廻に戻してやる」


 男の言葉に僕はゆっくりと首を横に振る。

 残酷な世界に泣き叫びたくなるけれど、拒否を示す。


「こんな不毛な争いを続けたとて何も得られないぞ。 さらに大きな敵がお前を喰らいに来るだけだ。 小さな舞台での小競り合いがいつか大きな災いを呼び、宗像どころかすべてをひっくり返されることになるかもしれんのに。 あんたは愚かだ。 大局を見ず、目先の利に執着する」


「まるでお前が英雄にでもなるような口ぶりだな。 さらに大きな脅威など来ない。 すべては痛み分け、すべては約束で護られる」


「ほう、だったら尚のこと、僕は粘ってみよう」 


 彼も僕も過去に干渉することができる。

 どこからひっくり返せるのかがわからない。

 どこでひっくり返されるのかもわからない。

 ただ一つだけ残されている勝機は僕の半身だけが持っている特殊能力。

 歴然とした実力差を生んでいるそれにかけるだけだ。


「静音、ひっくり返せ……」


 僕がふっと笑ったのが気に食わなかった男は僕の頬を今度は拳でうった。

 

「お前が負けるんだ、宗像貴一」


 負けってのは最後の最後にわかるものだ。

 この闘いはどこまでも続く。

 

「あんたと僕のどちらが気が長いかの勝負だろ?」


 どちらかがこの時間の波のりに飽きておりるまで続く。

 

「血系異端は悪ではない……」




 夜の深い底に眠り、夜を統べて、夜を導く。

 闇を祓い、穢れを祓う。

 根の暗い泉にあっても、美しいままで毒されることもない。

 時間の縛りもなく、理の縛りも受けない。

 世界の均衡に関与せず、魂の輪廻を護るのみ。

 己が血系を子につなぐことはかなわないが、血を媒介にして子同然の眷属をもつことは許される。

 太陽の如く命をはぐくむことはできないが、月の如く夜の暗きを照らし魂を導くことができる。

 血系異端とはその血族の終わりに現れ、血を枯らす者をいう。

 身に受け継いだ能力が濃すぎる故に、子々孫々に受け継がれてきた血を次世代につなぐことがかなわない者たちを指す。その中央に坐する『天月眼の主』を滅すれば、周囲に生れ落ちた血系異端はその効力を失い、宿命から解放されるともいわれている。


「志貴、血系異端が血を繋げないというのは大嘘だ」


 時生が胸元からもう一本の龍笛を取り出して、指先でまわしてみせて笑った。

 そうかと私はひとつうなずいた。


「ついでに言うと、血を枯らす者というのも大嘘だ。 天月眼を葬るからそうなるんだ。 史実のすべてが真逆というわけ」


 へぇと私が氷輪から唇を外すと、時生がどうするかというように私を見た。

 何が怖くて、ここまで完璧に『天月眼封じ』にこだわるのかと小さく息を吐く。


「天月眼と血系異端を冥府が禁じ手として扱った理由を御存知なのはコルリ君だろう?」


 私の言葉に、少年がこちらをゆっくりと見た。

 貴一と同じ年頃に見えるが、おそらく彼はこの私以上に生きている。

 楼蘭から聞いたことがあった『彼』に酷似しているからだ。


「第3皇子殿とお呼びする方が良いのかな?」


 冥府を抑えている王族の中にあって、ただ一人だけ、別格の扱いを受けている皇子がいる。最古の黄泉使いの血族と冥府の王族の間に生まれた毛色の異なる御子。


「楼蘭を隠したのはあなただな?」


 コルリはわずかに眉をあげて、それを返答とした。

 楼蘭を自由にすれば、計画が崩れることは明白だ。

 予想外の動きをする可能性があったのが私と楼蘭だからだ。

 どこまでが結託しているのかがわからない。

 どうやって利害を一致させて、動かしたと言うのか。

 時生に視線を戻すと、彼が片側だけわずかに口角をあげた。

 ようやく得心がいった。

 楼蘭が気を抜くとしたらその相手は一人だけだ。

 

「鵜戸を動かしたか……」


 楼蘭も私と大差なく間抜けだったと言うことだ。


「血系異端の情報が外部に漏れないように禁術をかけていたのは目の前にいる奴の仕業だとは思わなかったが、禁術を破って時生に調べさせた途端に捕縛されたからなぁ。 すべてが終わったら説明してもらうよ、時生とそこのコルリくんも」


 時生はそ知らぬ顔をして、氷輪の弟笛である『佳宵』の唄口に唇を当て始めた。

 佳宵には氷輪のような攻撃特化の響きはないが、その代わりに、もっとも厄介な作用がある。

 時生が扱うにはもってこいの龍笛でしかないとわかっているのは、私を含め、彼の性質を理解している者だけだ。

 奏太もこの笛の作用は当然わかっている。

 だけれど、肝心要の作用を奏太は知らない。

 氷輪の音にかき消されていただろうが、目覚めて数分で時生はすでに佳宵を吹いていた。

 弟笛の特徴は音が聴こえないことの方が怖いのだ。

 表向き、佳宵は幻覚を見せ、場を攪乱することに長けている。

 だけれど、真骨頂はそこにはない。これは王である私と朔しかしらない事実。

 時生に息を吹き込ませた段階で詰みなのだ。

 氷輪の音の裏で佳宵の無音に近い波長が重なることはそれだけでもう半分片が付いてしまったことになる。時間をかけて、それはじわじわと侵食するため、標的となった相手は攻撃されていたことに気が付かない。最後の最後になってようやく気が付くのだ。死んで初めて気が付くというべきか。

 瞬殺できないところが、この技の弱いところで、時生が設定した時間まではまだ時間がかかるらしく、よっぽど悟られたくないのか、わざと吹きますよ、幻覚をみせますよと動いて見せるというのだ。

 私の隣に立っていた一心はわかりやすく、嫌な顔を浮かべている。

 少しくらい表情を繕えと私が軽くにらむと、彼は舌を出した。

 

「時間を遡って干渉する戦争をどこまで続けるつもりだ?」


 私の問いに奏太が小首を傾げた。

 いちいちわざとらしい。


「どうせ、これが初回というわけではないのだろう?」


 時生の動き、コルリの動き、未来から来たと言う静音の動きからしても、一度目と言うことはありえないだろう。

 そうかと私は目を閉じた。

 佳宵の真骨頂ももう把握されている可能性もあるのか。

 さて、それを理解した上で、時生は何を仕掛けたのか。

 一心の顔をちらりと見上げると、彼が小さく目配せしてきた。

 鶏が先か、卵が先か、もうわからないということだろうな。


「奏太、本当のお前のことを私はどう呼べば?」


 お好きにと奏太は答えた。

 そこに感情を読み取ることができず、私は苛立った。

「では、蒼の王殿。 お前は確実に私の大切な家族だった。 それも何もかもが計算だったと言うのなら、私は間抜けも良いところだなと思うよ。 信じあっていたつもりだったけれど、現実がこうなってしまった以上、本当の意味でやりあおうと思う」

「志貴を騙すつもりなど毛頭ないよ。 ただ、排除しなくてはならないんだ。 どうあっても、貴一を宗像に置いておくことはできない。 残りの4名は後に考えるが、彼はダメだ」

「排除の理由は血系異端だからではないのだろう?」

「血系異端も一つの大きな要因だよ。 だけれど、貴一はダメだ。 彼は本物すぎて、すべての存在価値をひっくり返してしまう」

「そうか、玉座を破壊して戻っても同じことを言うのか?」

「玉座を破壊しようとも、結果は同じだよ」

「わかった。 もう良い」

 話をするだけ無駄だな。

 私は王樹の幹の根元へと戻ることにした。

 一心がほんの少しだけ不思議な顔をして私を見た。

「私は退く」

 どうしてというような表情の一心に、私は一言つぶやくことにした。

 蒼の王に余裕がありすぎると告げ、一心の腕を引いた。

 前に出るのはまずい。

 私と一心が無傷でいられる時間を引き延ばすことが最善だ。

 総力戦をすればこちらが圧勝だというのに、蒼の王には不気味なほどに余裕がありすぎるのだ。

 何かに気づいた時生が主力を温存、楼蘭まで温存することに拘ったには必ず理由がある。

 私と一心に後方へ引かれる方が蒼の王にとっては面倒なはずだ。

 泰介は横目に私のこの行動をみているが動かない。

 つまりは正解と言うことだ。

 コルリとモズが同時に蒼の王とその朔のそばから身を離し、時生、冬馬、咲貴、公介が私にかわって、戦線をひいた。

 モズという名をしているが、静音であることに間違いない。

 私はモズに向かって、静かにうなずいた。

 帰るべき場所へ戻れと、ここから離脱しろという命令だ。

 彼女は利口だ。目のみでそれを感じ取り、暗闇に姿を溶かしていった。

 時間を逆行するのは後の災いとなりかねない。

 長く作用すればするほどにその責任は重くなる。

 

「王樹、これが何もかも片が付いたら、話がある」


 私の言葉に王樹がわかったと短く答えた。

 時間は一方通行でなくてはならない。

 自分も含め、やってはならない咎の代償を考えるべきだ。


「蒼の王、お前は正道にない」


 それだけは言っておく。

 私は胡坐をかいて、頬杖をついた。

 その私のそばで一心が立ち、動向を見守っていた。

 

「なぁ、一心。 いっそ、返上してしまおうか。 こんな黄泉使いの能力」


 一心が驚いたように目を見開いてこちらを見た。

 私は頬杖をついたまま、全部を灰にかえるのと、返上してしまうのはどちらが安全かと考えていた。


「日本には神々がいらっしゃる。 陽の光にも夜の闇にも、神々は等しく動いてくださっている。 我等は本当に必要か?」


 悪鬼を狩るのは、悪鬼を許し、救うことも意味している。

 だが、御魂が己の魂を振り返り、理不尽に悪鬼に捕食されるのだけを防ぐために闘うのは少し違うような気もしているのだ。

 悪鬼は御魂を喰らうが、喰らわれる御魂にはそれだけの咎がある。本来、自業自得だと捨て置いて良いはずなのだ。

 お節介にも悪鬼を減らしてやる仕事を請け負い、ただ人並みに生きたいと願うだけの我らがどうしてこうまでも追い詰められねばならないのか理解できない。

 何度も言うが、我らがただの一度でも冥界の支配者になることを望んだことがあったか。いや、ない。ただの一度としてない。


「面倒くさい」


 これが私の正直な気持ちだ。

 あぁ、本当に面倒くさくなってきた。ばかげていて、笑えても来る。

 一心が困ったように眉を寄せている。


「まぁ、蒼の王は頭のねじが緩いみたいなので、決着はつける。 面倒くさいことはそれから考え直す」


 私は胡坐をかいたまま、目を閉じた。

 氷輪を吹けば、私は自分の持っているものを分け与えることができる。

 それ故に、休息も必要となる。

 

「眠いのか?」


 一心の問いに私は小さく頷いた。

 やりすぎたんだよと彼が私の背を抱くように腕の中へ引き込んでくれた。

 一心があっさりと戦闘態勢を解いた。それを合図に、泰介の気配がわずかに変わったのを肌で感じた。一心のかわりになるとしたら、泰介くらいだろう。

 

「眠って良いぞ」


 一心がしっかりと身体を抱き寄せてくれている。

 だから、私は迷わず眠りに落ちることを選択した。

 眠りは最短で回復を生む。

 

『貴一、迷わずに破壊してこい。 お前の存在意義を護ってくれる世界は必ずある』


 

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