第278話 幸せになりたい
その2人と遭遇したのは、車の往来が少ない割に立派なガードレールで遮られた歩道だった。
仲良さそうに腕を組む、自分と同年代と思しき買い物帰りのアベック……いや、どうやら夫婦らしい。夫婦と思い直した理由は片割れの女の方が妊婦だったからだ。買い物袋を持った男の隣で、愛おしそうにお腹を擦る仕草も目にした。
私は端を歩き続けたが、対面にいる彼らはいつまで経っても横に並んだままだった。まったくと動くようには見えない。
なので、仕方なく私だけが肩身を今以上に狭くして、2人とはすれ違ったのだが――。
「――ねえ。私、今とても幸せ……」
すれ違い際、女が溜め息混じりにぼそりと呟く。
「……っ!」
私は聞き覚えのある声に反射的にその女へと顔を向けた。そして、気が付いた。
女は高校時代のクラスメイトだった。もう何年と会っていなかったが、その横顔には当時の面影がありありと残っている。絶対に、彼女だ。
そして、偶然の再会に顔を強張らせる私に、この距離に来てようやく気が付いたのか、お互いの目が合った――。
「……知り合い?」
「んーん。知らない人」
……けれど、直ぐに私から隣の男へと首を振る。彼女の反応はそれだけだった。
もしかしたら知らないふりをしたのかもしれない。
だが、視線を合わせたその長い1秒ほどの間、彼女は私に気が付いたような素振りを見せることは一切無かった。
見せたとしても、挙動不審に狼狽えた頭のおかしい女……という、侮蔑を込めた蔑視くらいだった。
「……」
その後、「今の人、気味が悪い……」と、こちらに聞こえるような声量で隣の男に囁き、1度として振り返ることなく2人は私から離れていった。
(……ああ、そうだろうな。今の私を見て、高校生だった頃の私だとわかる人が一体どれだけいることだろう)
げっそりとこけた頬に、カサカサに荒れた汚い肌。ストレスで薄くなった毛髪は全体的に傷み、何日もお風呂に入っていないような不潔感を漂わせている。
窪んだ目元は隈が浮き、それらの特徴に足してガリガリに痩せ細った肢体はまるで妖怪のそれだ。
実年齢よりも10歳は老けて見える……鏡越しに自分自身を観察して、目を逸らした私ですら以前とは全くの別人にしか見えない。
私は呆然と立ち竦みながら遠ざかっていく2人を眺め、私とすれ違う前に見せていた女の顔を頭の中にずっと浮かべ続けた。
妊婦となった女は屈託のない微笑を浮かべていた。
今が人生の絶頂期とも言わんばかりに幸福に満ち足りた顔をしていた。
極々、平凡な……きっと、どこにでも転がっている幸せを、あの女は当然ような顔をして甘受していた。
――――なぜだ。
はっ……と、気を取り直した時には、私は一目散にアパートへと走り出していた。
嗚咽をこらえるように奥歯を噛みしめて、動揺から鍵を開けるのに四苦八苦し、どうにか部屋の中に滑り込んだところで、声を荒げて泣き叫ぶしかなかった。
(……何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ!)
なぜ、あの女がごく当たり前の幸せを手にしている!
なぜ、あの女が人並みの幸せに喜んでいる!
なぜ、あの女が平凡な幸せを与えられている!
(こんなのおかしい。間違っている。どうしてどうしてどうして?)
この数年、あの女のことを忘れた日はない。
女は目立ったグループの中心にいて、女子だけじゃなく男子や教師からの受けもよく、器用に立ち回っているような学生だった。
逆に私は内向的で、仲のいい友人すら1人も作れず、クラスでも孤立する様な学生だった。
クラスに中々溶け込めず、浮いていた私だからこそ、かっこうの的だったのだろう。
いつしか彼女を中心としたグループは私を苛めの対象とし始めた。
最初は些細なからかいから始まったそれは、徐々にエスカレートし、終盤の方は階段から突き落とされることもあった。
私だってやられっぱなしで何もしなかった訳じゃない。
両親を通して苛められていることを学校に報告したこともある。
ただ、設けてもらえた面談は、担任であった男性教諭は彼女側の人間だったこともあって、私の勘違いの一点張り。
学校側も面倒事はごめんらしく、ひとまずは様子見だとまったくと取り合ってくれずに終わった。
そして、話は直ぐに彼女たちのグループへと伝わり状況は悪化……結局、私は自主退学という形で学校を逃げ出した。
最後まで生徒も先生も学校も、誰も助けてくれなかった。
両親から応援されながら必死に勉強して入った進学校だったというのに、その努力は泡と消え、入学前には予想もしていなかった転落人生の始まりでもあった。
親の強引な勧めで入った次の学校は通う気力も勇気も湧かず、私はその後を安全な家の中で塞ぎ込んだ。
安寧は得られたが、まったくと無価値な日々だった。
こんな私がどうにか外に出れたのはおよそ2か月前だ。
次の学校に無理やり入学させた時のような強引な方法で、両親は私を自室から追い出し、その日のうちに私は隣の町の小さなアパートで1人暮らしをすることになったからだ。
最低限の家具一式の置かれた部屋で、30万円の入った封筒を手渡され、これで後は自分で頑張れと言い残して、両親は逃げるようにアパートを去っていった。
ついに親からも見放されたらしい。
残された私は途方に暮れながらその日を過ごし……次の日の夜には今までの引き籠り生活を脱却し、晴れて1人で外に出れるようになった。
空腹は耐え難かったからだ。
外出を恐れ怖がった私も空腹という本能の前には抗うことは出来なかったのだ。
考えもしなかった1人暮らしは当初、孤独と不安の恐怖に怯えるしか出来なかった。けれど、それも3日と過ぎれば恐怖は少しずつ薄れては、慣れた。
本音を言えば楽しかった。
久しぶりにお金を使う喜びを思い出していたからだ。
人目を気にして日が落ちてから外出していたが、マーケットが閉店するまでの好きな時間に外に出て、好きなものを自由に購入することが出来る環境に、私は少なからず喜びを見出していたのだ。
とにかくいつも好きなものだけを買った。
この数年間の鬱憤を晴らすみたいに、私はマーケットの中で自分の好きな様に買い物カゴへと注ぎ込んで……本当に、本当に楽しんでいた。
けれど、貯蓄が減っていくにつれて夢心地だった日々も崩れ始め、5万円を切った頃からは限界を感じてしまい……苦渋の決断からアルバイトを探し始めた。
自宅にいたよりも娯楽が無かったこともある。前ならば勝手知ったる自分の家だからこそ色々なことが出来たけど、テレビすらないアパートの狭い一室は前以上に窮屈で、退屈で、息苦しかった。お金を使う楽しみを知ったことも大きい。
引き籠るだけで何もしない時間にほとほど嫌気を感じ、私は意を決して外へと出て……そして、胃を思い切り握りしめられるような痛みを感じつつ、仕事先を探して町中を歩き続けていたのがこの数週間で――。
そして、今日という日にあの女と出会った。
私を奈落へと突き落としたあの女に――。
(私をあそこまで追い詰め、辱しめ、陥れたあの女が、私の無様な姿を見てせせら笑っていたあの女がどうして、あんな顔で笑っていられる!)
別に華やかな未来を期待していたわけじゃない。
元々、目立つことは苦手だったし、内気な性格も相まって昔から人付き合いは苦手だった。
それでも、それでも私は……ごく当たり前の、ありきたりな普通を送りたかった。
1人っきりで寂しくてもしっかりと高校生活を送って。
頑張って勉強して入った大学を卒業して。
多分いっぱいいっぱい苦しんでとある会社に勤めて。
ようやく独り立ち出来た頃あたりに両親から結婚はしないのかと突かれて嫌な顔をして。
……こんな簡単に想像できるちっぽけな夢を描きたかった。
それで、もしこんな私でも誰かと結婚出来たら――そんな淡い平凡な未来を歩んでいきたかった。
(なのに、なのに……!)
これも全てあの女に目を付けられたことで、全てが狂ってしまった。
こんな弱い人間が望む、細やかな願いすら踏みにじられたんだ。
(ああ……どうして、この世界はこんなにも不平等なのだろう……)
改善懲悪なんてものは全て作り物の中だけだ。
現実は社会にもまともに参加できずにいる私と、自分が仕出かしたことなんて忘れて幸せそうに笑うあの女のようなことばかり。
(どうして、こんなことになってしまったのだろう……)
私は悪くない。悪いのはこの世界だ。
私は悪くない。悪いのはあの女と同じ場所に居合わせてしまったことだ。
私は悪くない。悪いのは自分の巡り合わせだ。
(そうだ、私は悪くない。けれど、最悪の人生だった……)
こうして頑張って仕事先を探しているものの、面接すら受けること難しい。
どうにか面接にたどり着いても、その場で苦笑されながら色々と言い訳をされて断られる。
(私は弱い……)
立ち向かおうにも、立つ足はあの時に時間をかけて削りとられた。
足の無い私に立ち上がれと言っても土台無理な話だ。
(何度も自殺を試みたこともあった……)
けれど、私が出来ることなんて手首に薄く切れ込みを入れるだけだった。
ちろりと流れる血を見て、ここで終わりにしてしまうちっぽけな人間だった。
(私には勇気なんかこれっぽちもない……)
薄皮1枚裂いた程度の痛みが私を思い留めてしまう。
私の勇気なんて左手首引かれた無残な未遂痕くらいだ。
(生きることも死ぬことも難しいこんな弱い私はこれからどうしたらいい……?)
ねえ、誰か教えて――。
――おい、そこのピーピーうるせえネクラ女。
突然、部屋でもがき苦しんでいた私にとある幻聴が耳に届いた。
ずたずたになった枕に埋めていた顔をはっと上げ、辺りを見渡すがそこには誰もいない――が、声はまたも頭の中へと語りかけてきた。
声は荒々しい女のものだった。
――さっきのあの2人が憎いんだろ。殺したいんだろ。
幻聴が聞こえてくるなんて相当きているらしい。だが、今の精神状態で自分を顧みることなど出来る由もなく、私は当然とばかりに殺したいと叫んでいた。
すると、幻聴は私の期待通りの返事を返してきた。
――いいぜ、叶えてやるよ。お前が望むままに、オレがなんだって叶えてやるさ。ただ、代わりにオレの願いも聞いてもらうけどな。
そうか。叶えてくれるんだ……それは叶えてもいい願いなんだ。
この幻聴に従って、台所の包丁でも握って殺しに行ければどれだけ心がすっとするだろう。
「……」
叶うことなら、あの女だけは幸せの絶頂から突き落としてやりたい。
あの女をお腹の中にいる赤子共々めった刺しにしてやったら、どれだけ気持ちいいだろう。
――どうした?
現に高校生だった頃は、妄想の中で何百回も殺している。
刺殺以外にも、首を絞め、屋上から突き飛ばし、鈍器で何度も殴打し……考え付く限りの所業であの女を殺害した。
――おい、黙ってないで何とか言えよ。
けれど、それはやはり妄想の中での話だ。
「……はぁ」
私は妄想の中で留めていた殺人衝動を幻聴なんかに肯定されたことで、逆に正気に立ち戻っていた。直ぐに首を振って妄想を掻き消す。
大体ここで私が彼女を手にかけたとして、得られるものはその場限りの達成感だけであることもわかってる。
(……私は、弱い人間だ)
どうにか彼女を殺せたとしても、殺人を犯したことで抱える重圧には耐えきれない。世間の目だって今以上に気になる。
何より、出産間近の幸せな夫婦を襲った悲劇――と、私の長年積もった遺恨を安直なゴシップとして世間を歓ばせることになるのは、我慢ならない。
(そもそも、その後の両親たちはどうなる?)
殺人者の娘を生んだ両親は塀の中にいる私以上に辛い思いをさせることだろう。
無責任に突き放されたとしても、今まで迷惑をかけた恩をこんな形で返したくはない。
(……いいえ、そうじゃない)
何度とあの女を殺してやりたいと願ってはいたが、実のところ私の願いなんてものは復讐なんかじゃないことに気が付いた。
(私は――幸せになりたい)
そうだ。
私の願いなんて、この一言に尽きる。
『あの女が嫉妬で苦しむくらい、幸せになりたい』
それが今の卑屈になった私が心から願っていることだと、正気を保ったまま未だに聞こえる幻聴にむせび泣きながら答えていた。
――はあ? なんだその願い……うーん。それは、どうだろ……オレが叶えられるかどうかはわからないな。けど、そのきっかけくらいなら与えられるけど、どうする?
どうする? そんなの決まっている。
きっかけをくれるというなら、私は喜んで飛び付いてやる――なんて、私は涙と鼻水で汚れた顔を歪めて、クスっ……と小さく吹き出した。
(幻聴に何本気になってるんだか――…………あ……れ……?)
◎
「私の願いはあなたの伴侶となることです。どうか、私をラクリュマ王の妻に迎え入れてください」
「なんと……奇特な方、だ。その為に自分が生きてきた村を捨て、私に会いに来た……とは…………ああ、わかった。君の願いを叶えよう。今から君は私の妻だ」
気が付けば、私はとある雪国の小さな村の魔人族の娘として生まれた。
最初は幻聴が聞こえるほどの過剰なストレスに、どうかなってしまったのかと思ったが、そうではなかった。
どうやら私は生まれ変わってしまったようだ。しかも、元いた世界とはまた違う、別世界で生まれ直したそうだ。
さらに信じられないことなのだが、私は魔法と呼ばれる不思議な力を操ることが出来る魔人族と呼ばれる特殊な種族に生まれたらしい。
成人するまでの成長速度は普通の人と変わらないが、その後は数百年と老いることもない長い時間を生きていく……私は心からあの幻聴に感謝をした。
私に新しい人生をやり直させてくれてありがとう、と。
そして、今度はうまく立ち回ろう。
大人しい引っ込み思案な私を捨てて、新しく私と共に今度こそ幸せを掴んでやろうと決心した。
「王っ! 考え直してください! 王妃をこんな簡単に決めてはいけません!」
「お、おい、そこの女! 何を言い出すかと思えば、そんなっ、馬鹿げた願いっ、ゆるっ、許されると思っているのか!」
「ええい、どうしてこんな時にベルフェオルゴンはいない!?」
過去の忌々しい経験により、人付き合いは吐き気を催しそうになるほど苦手だったが、これを克服するのは差ほど苦ではなかった。
生まれ先の村の人全員が私に優しかったからだ。
30名程度の小さな農村に数十年ぶりに生まれた待望の赤子だったことから、新たな両親を中心に村人全員が我が子のように大事にしてくれた。
人見知りという欠点も恥ずかしがり屋として可愛がってくれた。
蝶よ花よ、人から愛されることを皆が思い出させてくれたおかげで、私の人嫌いは改善された。
以前の私が驚くくらい自然に他人と話せ、さらに時折村を訪れる部外者の方たちとも不通に交流を取れるほどの大きな進歩すら見せていた。
1年中雪が降るという厳しい環境にだけ目を瞑れば、この農民生活は大いに私を満たしてくれてはいた――けれど、これじゃない。
確かに以前よりはまっとうな幸せを手に入れたが、私はあの女以上に幸せにならないといけなかった。
その為にはこの貧しい農民生活をどう脱却しようかと画策し始め、そして、ある時その噂を聞いた。
――この村から少し離れたところにあるラヴィナイと呼ばれる大きな国の王様は、どんな難題でも叶えてくれる。
その話を村に立ち寄った旅人から聞いた時……私は以前の自分では考えもつかないほどの行動力を発揮し、両親や村人を説得して直ぐにその王に会いに行くことにした。
そして――。
「みなの者、静まれ――ああ、構わない。君がそれを望むなら、私は与えよう。いいかい。今から彼女は私の妻だ」
「……王」
私はラヴィナイと呼ばれる魔人族の王を頂点に置いた大国の王妃になった。
背後に立ち並ぶ家臣たちが落胆の声を上げようとも構わず、彼は私を妻として向かい入れてくれた。
初めて会った女を妻にしろなんて、自分でも駄目もと覚悟で願ったつもりだったが、どうやら噂は本当だったようだ。私はあっさりとラヴィナイと呼ばれる大国の王妃の座に収まっていた。
また、この話がすんなり通ったのは、彼の右腕であるベルフェオルゴンと呼ばれる鬼人族の男が不在だったことも大きい。
もしも、この場にその男がいたら、私は願い途中で謁見の間から追放されていたそうだ。
私は大いに、浮かれた。
王妃としての私はこの国で実質、2番目の存在だった。
すぐさま国を挙げての煌びやかな披露宴を開き、正式に私はこの国の王妃へと成り代わった。
国民たちの誰もが見知らぬ私を敬い、慄き、傅いた。
――最高の瞬間だった。
一体、どれほどの人が王様と呼ばれる特級階層の人種と結婚できるだろうか?
今この時だけは私は確実にあの女を上回ったと確信した。
そして、これから子供の頃に夢見たおとぎ話のお姫様のような生活が始まるのだと、私は年甲斐もなくはしゃいでいた。
――が、そう胸を高鳴らせたのは最初だけだった。
求婚を迫った男は王としては立派なのだろうが、人としては多くを欠落していた。
妻となった私には一切見向きもせず、私だって彼にはまったくと興味はなかった。
一応、夫婦になったのだから、そういうこともあるだろう、とそれなりに覚悟もしてみたのだが、一向に彼は私に触れてくることもない。
それどころか夫婦であるはずの私たちは披露宴以外で指先の1つとして触れることはなかったくらいだ。それでも、最初は私だって夫婦として取り繕うと努力もした。
しかし、いつまで経っても夫の反応は変わらず、いつしか私は彼から離れ自分1人だけの時間を楽しむようになった。
元々、私が欲したのは誰もが羨む地位だけだ。
別に好んでその男に嫁いだわけじゃない。
――すべては私が幸せになるために。
◎
次第に城外を出歩くようになった。
今まで暮らしていた農村が惨めに思えて仕方ないほどに立派な城下町で、王妃という身分を存分に使って贅沢の限りを尽くし出した。
まるで最後の数か月間に戻ったかのように私は多いに楽しんでいた。
あの頃と違うのは今の私には潤沢な資金があって、心にも余裕があることだった。
夫とは別の異性たちとの間で男女のそれを知るもの直ぐだった。
今の私の容姿は過去の醜悪な自分がアパートに逃げ出すほどの愛らしさを持っていたこともあり、多くの異性に言い寄られた。
王の臣下たちは、そんな私を激しく毛嫌いしていたのは薄々察していたが、誰も面と向かって言ってくることはない。
中でもベルフェオルゴンに至っては、ゴミを見るような目を何度も向けられたりもした。
けれど、それがどうした。
もう私は弱者じゃない。昔の私はもういない。今の私はあの女よりも幸せな強者である。
人の顔色なんて伺って生きるよりも自分に正直になって生きた方が何倍もいい。
私はあの女以上に幸せにならなければいけない義務がある。
そのため、私はあの女よりも強欲に自分のしたいことだけを自由気ままに、これからも楽しんでいくだけ――しかし、この生活も長くは続かなかった。
「――はじめまして、王妃様。私はスイと言います」
それもどこぞの田舎娘を王が直々に娶ったからである。
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