第255話 期限付きの再会なんて会わない方がお互いの為じゃないか

 リコから出てきた1人と1匹はシズクのおかあさんとおとうさんだそうだ。

 最初は戸惑っていたシズクとレティも、今は皆で抱きしめ合っては、泣きじゃくっている。


(ねえ、ぼく知りたいよ。2人も生まれ変わったの? レティやシズク、セリスさんみたいに、リコとして生まれ変わったの?)


 ぼくにはわからないことだらけだ。

 わからないからこそ知りたいけど、今ばかりは当人たちに聞くことはできやしない。

 だから……。


「ねえ、お父さんは知ってたの? リコの中にシズクのおとうさんとおかあさんがいたこと」


 ぼくは抱擁を交わし続けるシズクたちを尻目に唯一事情を知るイルノートお父さんに聞くことにした……なるべく声量を抑えて。


「……ああ、知っていた」

「いつから知ってたの?」

「それは……里でのから一夜明けた早朝に外を出歩いていたら、そこでリコに……リコの身体を借りたおふたりに声を掛けられたんだ」

「そうなんだ。それで? どんな話をしたの?」

「それでって……なんださっきから? 特に話すようなことじゃ……そんな顔をするな。わかったよ……」


 そんな顔ってどんな顔?


「その時のリコはこう言ったんだ。自分たちはシズクの両親だとな――」


 でも、どうやらぼくがそんな顔ってやつをしたおかげで、お父さんは嫌そうな顔をしながら、仕方ないと教えてくれた。


「……最初は私をからかっているのかとも思ったよ。しかし、その時の私はお前たち2人の父親という事実を前に悩んでいた。だからかな……リコのおふざけに乗り、親とは一体何かと尋ねてみたんだ」

「それで?」

「リコは……おふたりはわからないと答えてくれた。けれども、自分の子供を見捨てるような真似だけは親のすることじゃない、とだけは強く言い返されたよ。多分、あれは不甲斐ない私を叱ったのだろうな」


 自分の子供を見捨てるような真似だけはするな――その言葉は予想外にも胸に深く刺さったとお父さんはくつくつと笑っていた。

 お父さんは自嘲しつつも続けた。


「その後も私は何度も質問を続け、彼らは答え続けてくれた。最初は親としての質問ばかりだったが、次第にこんな自分が親でいいのかと私の抱えてた悩みを聞いてもらっていた」

「……うん」

「おふたりは嫌な顔1つせず、私の話に耳を傾けは答えてくれて……自然と、というのも変だが、全てを吐き出し終わった後にはシズクの両親であることも、すっかり受け入れていたんだ」

「……うん」

「おふたりとの付き合いはアルガラグアへと旅立つまでの数日程の間柄だったが、毎日私のところに出向いてくれて……別れの日まで交流を続けてくれたんだ」

「……」

「その交流の中、おふたりがリコの身体にいる話も多少は聞かせてもらった。実の息子にすら隠してリコの中に潜み続けていた理由もな」

「どうして、シズクのおとうさんとおかあさんはシズクに黙ってたの?」


 お父さんは首を横に振った。


「……すまない。こればかりは私の口からは言えないことなんだ」

「むぅ、残念。……ふふっ」


 にこにこと笑ってお父さんの話を聞いていたら、ふと気が付いたみたいに「何がおかしい?」とむすっと不機嫌そうな顔をする。

 そして、照れ臭そうにぼくやシズクたちがいるところとは別に顔を逸らしてた。


「……怒らないでよ」

「怒ってない」

「うそだよ。それと、ぼく、おかしくて笑ったんじゃないから」

「では、何故笑った?」

「それはね……ふふっ、やっぱりひみつ!」


 だってさ。ここまで他人のことで流暢に話すイルノートを見るのははじめてだったんだよ。

 イルノートはお父さんでもあるけど、仲間って意識もあるんだ。

 楽しそうにシズクのおとうさんとおかあさんのことを語るお父さんを見てぼくが嬉しくならない訳がないじゃないか。





「……本当は、私たちはシズクの前に姿を見せようとは思っていませんでした」

「……僕たちはいずれ消えてしまう。だからこそ、息子とは会っちゃいけないって考えたんだ」


 セリスさんの家に向かう帰り道、先頭に立った2人はずっとリコの身体の中で黙っていた理由をぼくたち全員に聞こえるように話し始めてくれた。

 あの輪に入れなかった部外者のぼくが欲した疑問を解決する機会は、思いのほか早く来てくれた。


 小さなリコを跨がせるライオンの姿をしたシズクのおとうさん。

 赤く長い髪を降ろした大人っぽいおねえさんであるシズクのおかあさん。

 そんな2人に挟まれるようにして俯きながらとぼとぼ歩いていたシズクが顔を上げた。


「……どうして? どういうこと?」


 シズクがぼそり、と泣き枯らした声で尋ねた。

 声は後ろにいたぼくとレティの2人にだけ聞こえるかってくらいだ。


「僕たち2人の人格はリコが物心をつく頃には消さなければならない……」

「私たち2人がいたままではいずれリコの人格に何らかの障害を残してしまう……そう彼に教えられた」


 シズクが「彼?」と聞けば、2人は同時に声を揃えて答えた。


「「白い青年――」」


 2人がリコの身体に宿っていることを知ったのは、シズクとレティがトーキョーという場所からこっちに戻ってきた直後のことだそうだ。


「シズクとレティちゃん、2人がこの世界に戻ってきた時、リコだけが目を覚ますのが遅かったでしょう? 遅れていたのは私たちもまた夢の中で彼と話をしていたからなの」

「あの時に僕たちは彼から自分のことや置かれている状況なんかを教えてもらった。リコを交えて3人で話し合ったりもしたんだ」


 今この場で2人が話しているのは息子であるシズクに向けてのものだった。

 だから、ぼくがそこにいなかったときの話なのでよくわからない。

 どういうこと、と今回も聞くことも出来ずに話は続いていく。


「実は……もう察してるかもしれないけど、リコは私の、母さんのお腹にいた子なの」

「……やっぱり、そうだったんだ」


 シズクが瞼を腫らした目を細めて2人に尋ね、シズクのおとうさんが答えた。


「ああ、リコはお前に続く僕の2人目の子供さ。白い青年……彼の話では父さんたちは今まで自分たちの子であるリコの意識に取り込まれていたそうだ」

「この話は彼に言われなくても母さんたちも自覚できたわ。今では昨日のことのように、クレストライオンとして生きてきた日々を思い返せるほどよ」

「でも、当時は父さんも母さんも無意識のままクレストライオンのリコとして生きてた。その時の僕たちはリコの意識に混ざっていたんだ」


 ――もしもの話だと、シズクのおとうさんは続けた。


 ぼくたちがグリー森林の奥でリコを拾うことなく、そして、奇跡的に耳無しウルフの集団から逃げ伸び、リコが1人で生きていくことが出来たとしたら……今のような人懐っこいリコの自我が芽生えることも、シズクのおとうさんおかあさんたちの意識が戻ることもなかったかもしれない。


「でも、それはもしもの話。人の魂でありながら獣としてこの地に生まれたリコは、人と繋がりを持ったことで獣でありながら人らしく生きてこたんだ」

「偶然は重なり、獣でありながら人らしく生きていたリコは不幸な出来事から、シズクの魔力となった。そして、あなたが気を失っていた2か月間、トーキョーで人としての生活に触れたことでリコの知性は急速に成熟し、年相応の幼児と変わらないものとなっていったの」


 今のリコを含めた3人がいるのは、クレストライオンの人の言葉を理解できる“特性”によるものと、小さい頃から日常的に人の会話を耳にする機会が多かったことも理由の1つだと言う。


「その影響は自我の消えていた僕らにもあった。人としての営みをリコを通して再認識していくことで、僕らの意識はゆっくりと、そして、しっかりと取り戻していったんだ」


 シズクの両親である2人の意識が目覚め始めたのは、シズクの身体に取り込まれてからだったと言った。シズクの身体を通して人としての生活を行っていくことで思いだしていったそうだ。

 そして、ようやくリコに意思疎通がこなせるようになったのはこっちの世界に戻っての……夢の中だったとも言っていた。


「言葉を交わせた後はもう……簡単だった。この世界に戻ったのと同時にリコは私たちを認識し、混乱することも無く、自然なことの様に受け入れてくれたわ」


 けれど、とシズクのおかあさんは寂しそうな横顔を見せながらシズクのおとうさんに跨るリコを見つめた。

 ちょっとだけ間を開けながら、おかあさんはそこで思わぬ弊害が生まれてしまったと言う。


「……同じ身体に3つの意志は共存できない。いずれは主人格であるリコの意識に統合されてしまう。……統合されるならまだよかったわ。問題はリコの意識が私たち2人の意識と結びついた後、なんらかの人格障害が発生してしまうこと。……だから、母さんも父さんもね。未来のリコのために、いずれ消えなきゃいけないの」

「もちろん、僕たち2人の意見は一致。身体の所有者はリコのものだ。だから、僕たちはいずれ消えなければない。その消えるっていうのは多分、死と同義であり……これが僕たちが、父さんたちが今まで息子であるお前に黙っていた理由なんだ」


 おとうさんは立ち止り、シズクへと寂しそうな顔を向けて言う。


「期限付きの再会なんて会わない方がお互いの為じゃないかってさ……」


 その話を聞いた時、シズクは2人を呆然としながら見つめていた。

 感情の乗らない、先ほどの照れもなくなった真っ青な顔で2人を見ていた。


「……シズク」

「……イル、ノート?」


 そこで、イルノートが、お父さんが同じく立ち止ったぼくとレティの両肩に手を添えながら、シズクの名前を呼んだ。

 シズクは震えながらイルノートへと振り返り、泣きそうな顔をぼくたちに見せてくる。


「人は、いずれ死ぬ。いつかは別れを迎えなければならないんだ……そして、親というものは子よりも先に死ぬものだ。だからだな、その……」

「ありがとう。イルノート君。でも、この話は親である僕たち2人がしないといけない」


 そう、お父さんの濁した言葉の先をシズクのおとうさんが拾って、シズクのおかあさんが続けた。


「こうして身体を分離できるようになったのは、彷徨うオアシスと呼ばれたあの場所でリコが魔力で出来た肉体を得た時からです。それまでは、リコに頼んでは短時間ほど身体を借りるくらいでした」

「この子が肉体を得たあのオアシスの中で、またも僕たちは白い青年に会っていた。彼が言うにはオアシスが出現したのは偶然ではなく、リコに会うためにわざわざ移動してきたらしい――」


 ――元々あの彷徨うオアシスは、先ほどぼくたちが会った白い青年って人が独自に作り上げた土地なんだそうだ。

 あの場はこの星に元々いなかった亜人族という生命が最初に生まれた聖域で、亜人族たちはあのオアシスから生まれて外へと放たれていったんだって。

 血肉の通った本物の身体を作るには長い時間が必要らしいけど、魔石から生まれたぼくたちと同じく、魔力で形作ったリコの身体を作るくらいなら造作もないことだったって白い青年は言っていたみたい。


 確かにあそこには肌にべったりと感じるほどの魔力が集まっていることも知っている。あれだけの魔力があればリコの身体を作るくらいなら簡単なのかなぁ……。

 また、オアシスを守護するクレストライオンは彼が生み出した特別な存在であり、彼女(?)らは白い青年のことを唯一記憶に引き継いでいる種族であり、世代を超えてあの地を守り続けていたそうだ。


「白い青年に指先1本でおでこをツンって突かれてね。それだけで、今話した程度の情報は一瞬にしてその時の僕たちに与えられた。同時にリコの身体から分離し、己の肉体を魔力で取り繕う術も教わった」

「真っ暗なオアシスの茂みからと会ったこと覚えてる? あれ、実は母さんと父さんだったのよ」

「あの時は体現した身体と1度に与えられた膨大な情報に半分、錯乱状態だったみたいなものだけど、キミたち3人が近くにいることを知ったら身体が勝手に動いて……けど、どうにか最後に踏み留まった」

「……会ってはいけないって母さんたちは直ぐに思い直したの。会えばいずれ訪れる別れで、また息子を悲しませるような真似をしたくなかったから……」

「けれども、ひと目だけでも……リコの視界越しじゃなく、直接自分の目で息子を見たくて……父さんたちはあの日、姿を見せた。そして、息子であるシズクとの関係をそれを最後にするつもりだったんだ」

「でも、それじゃいけないって教えてもらったのはとある町にいた1人の女の子のおかげだった」

「彼女が言ってくれたんだ。話せるうちに話した方がいい。言いたいことも言えずに終わることを知っているから……だから、父さんたちも思い直した。どんな形であろうとも、終わる前に息子に会うべきじゃないかって。勝手だと思うかい?」

「言い訳に聞こえるかもしれないけど、直ぐに決心がつくかと言われたらそうじゃなくて、長いこと2人で悩んだりもしたわ……」

「結局のところ、僕たちが出した答えなんて1つ……僕たちだってどんな形であろうと自分の息子と直接話がしたかったんだ」

「この町に着くまでの数か月、リコが何か言いたげだったでしょう? 本当なら私たちが直接説明してもよかったの。だけど、どう話せばいいか……きっかけが見つからず、リコに頼ってしまって……この子には母さんたちのワガママで余計なものを背負わせちゃったと今も反省してるわ……」


 ……そこで、話は終わったみたいだ。


 2人は説明を終わらせると、間に挟んだシズクを寂しそうな顔をして見上げ、見つめていた。

 シズクのおとうさんが首を倒すように頭を下げた。


「ごめんな。シズク……父さんたちの我儘でこんな再会になって……予想はしていたんだ。この再会でお前がそんな寂しそうな顔をするのもわかってた」

「だけど、母さんたちね。ずっと会いたいって、会って直接話をしたいって……でも、会っちゃいけないって……そんな葛藤の末に、本当にワガママよね……」


 そうシズクのおかあさんは、困り顔で微笑んだ。笑ったのは多分、誤魔化したんだ。

 泣いちゃいけないって。自分が悪いから悲しそうな顔をしちゃいけないって。

 だからそんな困ったような笑顔を見せたんだ。

 そんなふうに思ったのは、シズクも同じだったから――。


「けど、僕……顔も身体も全部変わっちゃって、それでも2人は、こんな僕でも会いたかったの?」


 ――シズクもまたおかあさんと同じような顔をしているんだ。

 容姿が変わったのだってシズクが悪いわけじゃないのに、申し訳なさそうな、それでいて寂しさを誤魔化すように笑って……。


「当たり前だろ! どんな姿をしてたって! 求めていた息子に会いたくないなんて言う親なんかいるもんか!」


 そんなシズクの反応を見て、シズクのおとうさんが真っ赤なたてがみを振り上げて怒り出した。


「だいたい、それを言ったら今の父さんの身体を見ろ! 人どころかライオンだぞ! しかも、雌なんだよ! この身体、雌ライオンで変な気分なんだぞ! 股の下にあるものがないっていうか奥に引っ込んでる感覚がある気持ちがお前にわかるか!」

「ちょっと、あなた! 何暴走してるのよ! まったく……父さんのことは放っておいて、私だってどんな形でさえ会いたかったわ……でも、お願い。直接キミの声で聞かせて。会いたくなかった? 迷惑だった?」


 シズクのお母さんは口をぐっとつぐんだ後、弱々しい声で続ける。

 今度は困ったような顔じゃない。

 そんなこと言うだけで寂しいはずのに、辛いはずなのに、我慢して我慢して……。

 それでも、大きく笑って口にする。


「……死んだままの方が、よかった?」


 その言葉にシズクは大きく目を見開いて、おかあさんを見た。

 口をなわなわと震わせて、シズクは今にも泣きそうな顔をする……この時ばかりは部外者であろうとも、シズクに駆け寄って直ぐにでもぎゅっと抱きしめてあげたくなった。


(そんな顔しないで。シズク泣かないで……)


 でも、動けなかったのは後ろにいたお父さんがぼくの肩を強く抑えつけていたからだ。

 振り向いた先のイルノートも辛そうな顔をしてこくんとぼくへと頷いてくる……わかってる。

 わかってるよ。今、ぼくが出て行っちゃだめなところだ。ほら、レティだって拳をぎゅっと力強く握って前の3人を見届けようとしているんだから。


「僕は……わかんない」


 そうシズクは俯きながらぼそりと声に出した。


「会いたくなかったとか、迷惑だったとかそんな気持ちがないわけじゃない。そんな話を聞かされた後じゃ、いっそ会わなかった方がよかったって心のどこかで思ってるところもある……」


 1人と1匹がとても悲しそう顔を見せる。

 でも、息子であるシズクからは顔を逸らそうとはしない。きっとどんなに責められても受け入れる覚悟みたいなものを2人は前々からしていたんだ。


「でも……またお別れをするって聞いてでも、2人に抱き付いて泣き叫んでいた時の僕は素直に嬉しいって思った」


 でも、シズクの話には続きがあった。その続きではおかあさんと同じくシズクも無理やり作ったような笑顔を浮かべてのものだった。


「だから……死んだままの方がいいなんて僕は言わないし……母さんも言わないでよ。また、別れが来るとわかっても、やっぱり僕は、父さんと母さんに会えて……嬉しいんだから……」


 そう……シズクは自分の袖で目元を強く擦る。だけど、腕を放した途端にまたほろりと涙がこぼれていく。

 次に口を開いても今度は目元を拭うことはしなかった。


「……やっぱり、いなくなっちゃうんだよね?」

「……うん。今日明日いなくなるわけじゃない。だけど、この先、1年、2年先のことまではわからない……」

「そっか……」


 そう呟いてシズクは空を見上げた。

 もう夜も更け始めた薄暗い空だ。星が見えないのはきっと灰色の雲が薄く塗られているからだ。

 雨は降らなそうだけど、この場に限ってはぽたぽたと降りだしている。

 その雨は今のシズクの寂しさ、悲しさからくるものだろう。

 そして、さっきとは違ってぼくにも降りだしてきて、思わず目をごしごしと擦った。


「……ねえ、父さん、母さん。僕はやっぱり、会えて、嬉しいって思った。思ったんだ。だって、僕は、ずっと……ぐすっ……」

「……ほら、泣かない。もう、駄目ね。シズクとして再会してからのあなたはいつまでたっても泣き虫なんだから」

「まったくだ。男なんだからそんなめそめそ泣くなよ。そんなんじゃ……なんだ。えっと……そこの鬼人族の友達2人に笑われるぞ?」

「でも……だって……」


 と、今までずっとぼくたち以上に事の成り行きを黙って見届けていたベレクトとキッカちゃんはびくりとそろってその場で身動ぎを起こす。

 またまた、同じ様に首を振って否定をしつつも、なんとも反応に困るという感じだった。


 今度のシズクは嗚咽を漏らすことはなかった。

 だけど、セリスさんの家に着くまで、おかあさんに肩を抱かれ続けながらずっと震えていた。

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