第156話 異世界のちから―ブランザ109歳―

 戦争を終結させた英雄だと持て囃されることがあります。私はそんな大層な人物ではありません。

 私は辛抱強く、うっとおしいほどに……それこそお兄さんに言わせるなら、殺したいほど煩わしいくらいに声を掛け続けただけです。

 私が戦争を止めたのではなく、皆の力があってこそ戦争が終わったのです。誰もが理由のない戦争に疑問を持っていただけなんです。

 何も失うものが無かった私だから出来ただけで、本当は誰にだって出来たことなんです。


― 親愛なるタルナへ 第3頁(4/5) ―




 ユッグジールの里を発足してから10年ほどが経った。

 やることは山積みで、目まぐるしく毎日が過ぎて行く。


 戦争が終わったことで他大陸から私たちとは違う人たちが足を運ぶようになってきた。多くは未開の地を探索する旅人であったが、中には商人の姿も見え外部との流通経路を築くことも出来た。

 物資が増えたことで急速にユッグジールの里は発展し、瞬きをする間にも大きくなっていく――驚いたことがある。

 この大陸の外には以前の私と同じ普通の人がいることを知った。

 魔人族と同じ見た目であるが、魔法が扱えない普通の人がいる。地上人とか地人とも呼ばれ、以前誰かさんが口にしてた地猿という蔑称は彼らのことを指していたこともおまけに知った。


 冒険者ギルドと呼ばれる仕事斡旋所のようなものを里に建築させてほしい。そう訛りの強い男が里に移住を求めたりと、他の大陸との交流は徐々に広まりかけている。

 しかし、良いことばかりではない。

 おかげ様で内外含めた衝突は絶えず、私はいつも報告書に頭を抱えたり、問題の発生した地区へと駆けまわっていたりもする。

 ただ、良いことではないが悪いことではない。殺し合う毎日を思い返せばどちらがいいかなど、比べる必要もない。

 ただ、ここまで拘束されるとは思わなかったが……。


「フルオリフィア、たまには休憩を挟みなさい」

「ん。じゃあこれが片付いたらね」

「また、そうやって――」


 同僚のアグヴァ・フラミネスさんが缶詰状態のわたしに向かって溜め息を吐いた。

 みたいに小柄なフラミネスさんは、女性でありながら戦場を駆け巡る赤い魔女と他種族から畏怖されていた人物だった。私が魔法を学び直そうと思ったきっかけをくれた人でもある。

 彼女とは天人族の村から追い出された後、亜人族を守る際に何度か対峙したこともある。そして、何度も大火傷を負わされたことがあった。まあ、逆に何度も溺れかけさせたり吹き飛ばしたりもした。

 そんな相手とまさかこうして、肩を並べて仕事が出来るなんて思いもしなかった。今ではフラミネスさんとは友人と呼べるほど気さくな話相手にすらなっている。

 まったく人生ってやつはどう転ぶかわからない。


 各種族ごとに代表が必要になったことで、わたしは四天と呼ばれる役職に就くことになった。なんたら大臣みたいなポジションだろうか。

 亜人族の長である息子熊くんや、鬼人族のお兄さんを筆頭に、私が天人族の長をやれと強く推されたが、こればかりはから凄い反発がありそうだったので辞退した。

 その代わりとして用意されたのがこの四天と呼ばれる次席なのだろう。

 しかし、引き続き天人族の長はあの男、リウリア長老が続投になったのは気に入らなかった。

 あの人の顔を見るだけでロカのことを、ロカだけではなく、ロカに対して行った仕打ちと嫌なことばかりを思い出す。

 あちらさんだって面白くないのは見てわかった。

 顔を合わすたびに浮かべる作り笑顔の奥に、私に向かって放たれるどす黒い憎悪が強く籠められているのだ。

 そんなに戦争がしたいのだろうか。悪いが、私の目が黒いうち……いや、白くなろうとも戦争を起こさせるなんて真似はしない。


 また、私には家名と呼ばれるものを嫌々だけど貰うことになった。

 今の私はブランザ・フルオリフィア。

 何もなかったブランザではなく、家名持ちのブランザ・フルオリフィアになった。それに合わせてこの里に住む天人族は皆、私のことをフルオリフィア様と呼ぶようになった。呼ばないのはリウリア長老とその弟分の補佐であるエネシーラと呼ばれる男くらいだ。


 連日、奥地に引っ込んでいた人たちが移住を求めて里の外に群がっている。その中にはブロス先生の姿を見つけ、その時はあの悪夢の日々を忘れ、抱擁を交わして再会を喜んでしまうほどだった。

 移住を希望する彼らを受け入れることに何の反対もないが、人が増えれば問題は山のように出てくる。

 何を聞いてきたのか、天人族がこの大陸を制定したと浮かれてきたやつもいた……まあ、一部の人だけだったことは救いだ。

 鬼人族のお兄さんの方でも同じようなことがあったと苦笑していた。


 そんな風に、あちらこちらでいざこざは発生しする毎日だ。けれど、私はその毎日を大いに噛みしめるように喜んでいた。

 明日には命を落とすかもしれないと言う恐怖に怯えていたあの頃に比べてしまえば、今はまさに楽園だった。

 まだ完成には程遠い楽園だけど、夢に向かう私の心の傷は大分癒えているの感じている。





 それは3回目の夏季あたりだったろうか。いや、2回目の夏季だったような気もするし、もしかしたら暮れの夏季だったような気もする。嫌なこと過ぎて覚えてはいない。

 久しぶりに暑い日だったことは覚えている。


「なっ……」


 その日、私はある騒動が起きているという話を耳にして、今の仕事を手放してまで現地に向かった。

 場所はユッグジールの里で天人族にあてがわれた東部の玄関口。木柵で覆った囲いの外は慌てふためく人々で溢れかえっていた。


「は? え、嘘でしょう……?」


 夢を見ているのかと思った。夢ではないことに気が付くのに数秒かかった。

 およそ、100年ぶりだろうか。

 私の目にはおぼろげに見覚えのあるを持った30名規模の一団が目に入ったのだ。その一団は深緑の統一された服を着ていた。

 彼らに指示を出している男の頭には胡桃の殻のようなものを被り、手には鉄で出来たを持っている――服装や装飾品の類もそうだが、一番の問題はだった。


「そんな……まさか……?」


 彼らが両手に持っているのは銃だった――突撃銃と呼ばれるものだろうか。

 引き金を引くだけで何発の弾丸が一瞬でまき散らされる……テレビや映画の中で見たことしかなかったが、その見覚えのある作りに強烈な発砲音、先端から放たれる無数の光から以外考えられるものはなかった。


 どうして? 私以外にもこの世界に来た人間がいると言うのか? しかも、あちらの世界の武器まで持って?

 ……訳も分からずも私は呪文を唱え、攻撃をし続ける彼らに水魔法で作った大波を放った――。


 里が出来て初めての争いだった。

 死傷者は31名。この数字はあの大きな戦争で生じた死者数に比べてしまえばめっきりと少ないが、私たちの心には大きな傷となって残ることになる。

 特に被害が大きいのは私たち天人族だった。里の周りに集っていた移住希望の人たちの多くが重傷を負い、23人が亡くなった。その中には……リウリア長老も含まれていた。


 彼は元々住んでいた村から呼びだしていた家族を出迎えていたところを撃たれたようだ。

 周囲にいた人たちの証言から、リウリア長老の妻だと言う若く美しい娘が彼の隣に転がっていた。リウリア長老の年を考えれば若すぎる女で、一瞬下種な思考が生まれた後にすぐに頭を振って消した。

 どういう経緯があったにしろ彼女もリウリア長老も死んだのだ。


「り、リウリア長老……!」


 エネシーラ補佐が無数の穴が開いたリウリア長老の遺体を抱きかかえてむせび泣いている。彼はリウリア長老を強く崇拝していた。

 この時、私にもある程度の人の心ってものがあったことを確認できた。

 殺したいほど憎い相手だったが、こうもあっけなく死んでしまえば悼む気持ちは少なからず存在していた。


「許すまじ……」


 なわなわと震える声でエネシーラ補佐が呟いたその時の言葉は思いのほか耳から離れなかった。


 戦死者の中には鬼人族の長……お兄さんの兄もいた。

 ユッグジールの里の北側に住む彼らは私たち東側に住む天人族に近いこともあって、直ぐに救援を出してくれた。いや、どちらかと言えば里を攻撃してきた“敵”に血が滾って勝手に出てきたと言ったほうが正しいのかもしれない。

 しかし、先頭を駆って出た鬼人族の長は意気揚々と彼らのおもてにして、口上を述べている間に頭を弾丸に貫かれて倒れたそうだ。続いて、長がやられたことで血の昇った鬼人族たちは一同に突撃を迎えて多数の死傷者を出すことになった。

 遅れてきたお兄さんの悲痛にむせび泣く姿は、年を重ねた後も未だ頭から消すことは出来ない。





 この事案絡みで何度も他種族での会合は行われた。

 北のコルテオス大陸に存在する他種族で構成された国が差し出した集団だという話が濃厚になり始める。しかし、ゲイルホリーペの北側に住む里の外に住む鬼人族からは、30名もいる団体が自分たちの領地を通過したところを見たという報告は1つとして上がらなかった。

 鬼人族が招き入れたのではないか――これでまた一悶着あったが、流石に鬼人族の長も殺されているのだからと燻りを持ちながらも話は一先ず落とすことにした。

 他種族で構成された国……タルナが向かおうとしていたところだったことを思い出した。


 このことが原因で鬼人族のお兄さんはコルテオス大陸への国境を長期に渡って封鎖してしまう。

 ゲイルホリーペの北側は鬼人族の領地のような扱いになっており、北側を無闇に出入りすると若い鬼人族に襲われるから注意しろとお兄さんから忠告を受けるほど、この事件は彼らの逆鱗に触れたようだ。

 なるべく流通を閉ざしたくなかった為、私は里が認めた正規の商人だけは通過できるようにと懇願し、どうにか聞き届けてもらえることはできた。ただ、新規さんや許可のない商人や旅人は南側、テイルペア大陸からしか来れないようになってしまった。


 謎の集団の正体はまったくとわからなかった。

 殆どはその時の争いで死んでしまったが、1人だけ辛うじて生き残り私たちに捕縛されることになった。

 瀕死の状態で見つかった捕虜の男は“殺せ”とか“死ね”といった怖い言葉を虚ろに発し続けるだけで、意志疎通は難しかった。

 鬼人族側からこのまま殺せ、息の根を止めろという要望が溢れたが、魔人族と亜人族、そして一番に被害を受けた天人族はそれ以上に彼らの所在を知るために生かす道を選ぶことにする。

 エネシーラ補佐は鬼人族と同じ意見らしかったが、なわなわと震えながらも私たちに同意した。

 しかし、捕虜の男は直ぐに亡くなった。


 治療班が治癒魔法を施そうとすると閉じるはずの怪我は広がり、逆に傷のなかった皮膚が裂けて血を吐きだすという理解できない現象が起こり、結局男の死を後押しする結果になる。

 末期のこと。彼はまるで正気に戻ったかのように、今までとは違った途切れ途切れの言葉で話をしてくれた。


 ――ここは……どこだ? どこだ……――じゃない?

 何故……母国の名が出ない……覚えていない。消えたのか。

 どうして俺はここにいる。ああ……そうだ。聞いた。男の声だ。俺たちは演習中に呼ばれた。

 本来は魂だけが誘われてこの世界に来る――ああ……そうだ。生まれ変わりだ。

 この世界には、俺の世界の人間の魂が運ばれて、色々な奴の身体に移って、生まれ変わって…………しぬ。おれは、しぬ――。


 その後、男は“ミッシング”という言葉だけを死の間際まで連呼し続けた。

 その言葉が耳に残り、彼ら……私を含めた異世界から訪れた者のことは“ミッシング”と呼ばれることになる。


「皆の結論は1つ。異界より訪れた者たちが他にも生まれ落ちているということだ」


 新しく長となったエネシーラ補佐もといエネシーラ長老は彼らを酷く嫌い、もしも同じ様な者を見つけた場合、天人族の対応は即座に処理するという方針へと向かった。

 私は反対したが、どうにも風向きは変わることは無い。

 ここで強気に出れなかったのは自分の身が可愛かったのかもしれない。戦争終結に向かっていた10年前の私の熱意なんてものは1つも出ない。


「この不思議な武器は金魔法で出来ている……こんな魔道具を扱う奴等がいるのか……」


 ある人たちはこの武器を研究しようと言う声が上がったが話し合いの末、全てを処分することになった。

 私たちは彼らと武器を1つにまとめて火をかけることで消滅させた。いくつかの弾倉に弾が残っていた拳銃が暴発をしていたが、突撃銃の方は弾薬は空になっていたのは救いかもしれない。

 ひとまず、彼ら“ミッシング”の情報は私たちだけの秘密とすることにした。里の人たちには怯えさせる結果になったが、これで一応はこの騒動も幕を閉じることになった。


 そして、最後に。


「……ウリウリア・リウリアです」

「そう、ウリウリアさんって言うのね。私はブランザ・フルオリフィア」


 わたしは1人の少女を預かることになった。

 その子はリウリア長が遺した子供だった。ロカとは腹違いの妹になる。

 天人族であることもそうだけど、リウリア長老の若い頃に似たのか、それとも若い妻に似たのか。幼いのにとても綺麗な女の子だった。真っ白な肌に金糸の様な髪、ロカとは似ていないが赤い瞳だけが彼を思わせる。

 赤い瞳なんてこの世界では珍しくもない……しかし、ロカへの償いみたいなものがあったのだろう。


「ウリウリアさん、今日から私があなたを預かります」

「……はい。よろしくお願いします。フルオリフィア様……」


 私はこの子の里親となることに決めた。


 彼女は戦争を知らない稀有な少女だった。

 天人族だけじゃなくて、他の人たちの架け橋となってもらいたい。私は彼女に様々なことに挑戦させることにした。


「私が……他種族の人たちとこうりゅう? をするんですか?」

「うん。きっとウリウリアさんにはいい経験になると思うの」

「……でも」


 あまり気乗りしない様子に、どうしてと尋ねたら彼らは悪いやつだからだ、と周りから教え込まれていたそうだ。

 まだ幼いこともあり天人族至上主義といった選民意識は低く、他種族への蔑視も薄く他部族のことを“悪いやつ”程度に認識していてくれたことはよかった。


 こういうことは鬼人族のお兄さんには任せられないし、魔人族の長とはそこまで親しくもない。

 消去法で以前私がお世話になっていた亜人族の長、熊くんの息子さんにお願いをし、アルバさんと呼ばれるドワーフをウリウリアさんに紹介してもらえることになった。

 アルバさんを通じてウリウリアさんには狩りに出てもらったり、お使いなんかを何度も頼んだ。まるで子守りを任せてしまっているようで、アルバさんには申し訳ない気持ちも多少はあったりする。


「あのドワーフさんすごいです! カンカン、って真っ赤になった鉄を器用に曲げたりして剣にするんです!」

「ドワーフと呼ばれる彼らは鉄を操るのが好きだって聞いたわね。確か、金魔法っていう金属を操る魔法も使えるって……これを機に彼から学んでみたらどう?」

「いえ、私は天人族です。自然に反する金魔法は受け入れられません!」

「そっか、残念」


 天人族は火、水、風、土、雷の“自然魔法”以外のものを嫌う節がある。金魔法のほかに木魔法と呼ばれる植物を操る魔法は彼らのポリシーに反するらしい。あの鬼であるブロス先生すら、私には一切その2種の魔法を教えてはくれなかった。

 ただ、こういう頑固なところがあるけど、彼女にはいい経験をさせられたようなので得られた様でほっとした。

 今の仕事さえなければ私はぜひとも彼らに教わりに行きたいくらいだ。





 そうこうして30年余りが過ぎて行く。この30年は本当に平和そのものだった。

 私の姿は変わらないのに、ユッグジールの里もそこに住む人もウリウリアさんも日に日に姿を変えていった。

 もう立派な女性……気真面目で少し堅物になってしまったが、どこに出しても恥ずかしくない一人前の女性へと成長を遂げてくれた。

 しかし、立派な女性になったウリウリアさんだが心配に思うところがある。

 己の鍛錬と勉学に励んでくれたことは嬉しく思うが、まったくと男っ気がないのだ。

 そろそろウリウリアさんにも恋人の1人や2人いてもいいのに、その話をすれば彼女は顔を真っ赤にするだけだ。


「わ、私を好きになる男なんて……それこそフルオリフィア様の方が焦るべきです! 適齢期はとっくに超えているんですよ!」

「なっ!」


 人を行き遅れと言うのか。我が娘も言うようになったと思う。

 しかし、私を好きになるような天人族はいないと思う。

 四天のフルオリフィアとはなったが、未だにイカレブランザや死にたがりブランザとしての狂人として面を知る人も多く、そのように認識されているのだ。

 私こそウリウリアさん以上に誰にも好かれることは無い。


(でも、結婚か……)


 考えたこともなかった。

 両親を失ってから1人がむしゃらに突っ走ってきた。

 その間に甘い出会いなんて1度たりとも……あ。


「……な、なんですか! そんな目で見ても私なんかを好きになる男なんていません!」

「あ……ごめん。別のこと考えてた」

「そっ、そう……ですか」


 ウリウリアさんの瞳を見つめロカを思い出した。

 私にとって異性とは後にも先にも彼だけだったように思える。


 ……いや、もう忘れよう。

 ロカを忘れて、私はこのユッグジールの里で1人、骨を埋める決心をする。







 ――決心をした、そんな時だった。


 ある日、私は南から来た行商人から1通の手紙を受け取ることになった。

 この世界では紙の媒体は珍しく、一体全体なんだろうとわくわくしながら裏面を見て……驚愕した。


「手紙って……タルナ!?」


 何度も宛名を確認し、震える手で封を切る。思わず力が入り過ぎて中の手紙すら一緒に切れてしまうほどだった。

 中は懐かしくも見覚えのあるタルナの文字が書かれていた。

 近隣状況や私の安否。現在はエストリズと呼ばれる大陸に移っていること。ところどころで会いたいと文にはタルナの思いが込まれている。

 そして、最後に……。


「茶色い肌の、銀髪の天人族……!」


 彼らしき人物が北のコルテオス大陸にいることを知る。


(ロカが……いる……?)




 でも、里が出来て数年後、英雄なんて呼ばれた私にも防げなかったことがあります。

 ……ようやく里が落ち着いてきた頃、不思議な団体が攻撃を仕掛けてきたんです。

 たくさんの人が亡くなりました。鬼人族の前長も亡くなりました。

 タルナだけには言います。亡くなった人には天人族の長も含まれていて、私は申し訳なさそうな顔をしながらも内心はざまあみろ、と思っていました。

 理由は言いません。しかし、私には天罰があの男に向かったのではないかと思っています。

 ……すみません。せっかくの手紙なのにこんな見るに堪えない文を書いてしまいました。

 でも、タルナには知って欲しかった。タルナはそんなことはしないと思いますが、私を特別視しないでほしいから本当のことを書きました。


― 親愛なるタルナへ 第3頁(5/5) ―

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