第126話 四天としての日々 その6 ぼくは嫌だ
「――して、我ら陣営の魔物被害は減少傾向にある。この度の問題は収束へと向かったが、今度は港付近に地の人たちが拠点らしき施設を作り始めていると報告があった。問題視するには早計かもしれないが、現地の者からは友好的には思えないと――……おい、四天のフルオリフィア?」
「……う、うん? あ……ごめん。ぼく……聞いてなかった」
亜人族の長の大きな声がぼくの耳を引っ張ったのは最後のところからだった。
今回、ぼくはユッグジールの里の南門側、亜人族が管理する農耕地に訪れていた。亜人族の長とお話をするためである。
(やっちゃった……)
せっかく畑仕事の手を止めてお話の場を作ってくれたのに、意識を散漫とさせていたなんて、亜人族の長に申し訳なくなる。
「心ここにあらずだな。疲れているのか?」
「ううん。そんなこと、ないよ……」
これもそれもドナ四天長……ドナくんのお父さんとエネシーラ様が勝手に、ドナくんとの結婚を決めたからだ。
「まあ、そんな日もあるか。……ちょっと休憩にしよう」
「そんなっ、ごめん! 次はちゃんと聞くから!」
「いいから――ほら見てくれ。今年は豊作だ」
「…………うん」
そうして、2人で畑道に並び座って広大な畑を眺めた。
どこもたくさんの亜人族たちが畑仕事に勤しんでいる。
毎日毎日里の中から流れる河川から水を汲んでは与え、雑草や害虫を取り除いたりやることは同じことの繰り返しだけど、それが美味しい元気な野菜を作る秘訣だと亜人族の長はいう。
ここの野菜はぼくら天人族にも卸されて食卓に並ぶものでもある。収穫はもうすぐだけど、今すぐにでも手に取ってしまいたいほどにおいしそうだった。
亜人族の長は今期は豊作だって嬉しそうに話してくれた……去年は1年かけて不作続きだったよね。
毎回、豊富に採れればいいんだけどそう言う訳にもいかないみたい。
天候も関係しているけど、人も畑も休息が必要なんだって亜人族の長は言っていたっけ。
不作なのは畑が元気がないからで、やっと元気になったんだ。
まるで今のぼくと反対だと思った。去年の畑のように今のぼくは元気がない。
空はさんさんと太陽が大きな笑顔を浮かべていて、夏日のような日差しはぼくには辛く、膝を抱きかかえて腕の中に顔を隠した。
「なあ、四天のフルオリフィアよ」
顔を埋めて項垂れているぼくの肩に亜人族の長の大きな手が置かれた。
ふわふわの気並みに少し硬い肉球がぽつんとぼくの肩を叩く。
「短命である獣人と長寿である天人族の時間は極端だ。そして、君は我の10倍は長く生きるだろう。しかし、今の我は君よりも年上だと思うが、相談相手にはならないのかい?」
亜人族の長は笑ってぼくを見ていた。
「悩みは1人で抱え込むもんじゃない。なぜそんな話をしたのか……話したくなければそれでいい。しかし、話して楽になることもある」
「……いいの?」
「勿論。君はブランザ様の息女だ。彼女の娘と言うだけでも、我には悩み苦しんでいる君を助けたいと思うに十分な理由となる。先々代のもとだとしても、受けた恩義を我らはずっと忘れない」
「ありがとう……」
それから、ぼくは同じ四天のドナくんと結婚することを話した。
何で結婚したくないのか。結婚ってしなきゃいけないものなのか。結婚って必要なものか。
亜人族の長は黙々とぼくの話を聞いてくれた。
ただ、やっぱりっていうのかな。
こればかりは長じゃなくても他部族の熊さんには答えの出せないものだった。
「……すまないな。偉そうに言っておいて結局何も答えを出すことは出来なかった」
「ううん。聞いてくれただけでもうれしいよ」
「……何か、手伝えることがあれば言ってくれ。我ら……いや、今回は我個人となるが手助けできるように尽力をつくそう」
「……ありがと」
結局、今日はぼくの相談を聞いてもらうだけに終わっちゃった。
でも、思えば、ここまで心の中を話せたのは亜人族の長だけかもしれない。
鬼人族の長はあんなんだし、魔人族の長は説明するだけで終わっちゃったし……。
ばいばいと長に手を振り、とぼとぼと出る時と変わらない足取りでぼくは里に戻った。
問題は解決しなかったけど、亜人族の長の言う通り少しだけは気が軽くなった。
◎
ドナくんの誕生祭から3日が経った。そして、この3日ぼくはずっとこんな感じだった。
『ドナくんはこの結婚についてどう思っているの?』
『…………別にエネシーラ様の命だから仕方ないだろ』
『命令って……ドナくんはそれでいいの!? ねえ、本当にぼくと結婚したいの!? ドナくんはぼくのこと好きなの!?』
『……嫌いじゃねえよ。……そんな顔すんなよ。仕方ねえだろ。俺らが身を固めることで天人族の結束が強くなるって言うんならさ』
『違うよ! そう言う話をしてるんじゃないんだよ! ドナくん自身はどうなの! ぼくが聞きたいのはドナくんがどう思っているかを聞きたいんだ!』
『俺は……』
ドナくんはちらりと少し離れたところでぼくらを見守っていたウリウリとシンシアちゃんへと視線を向ける。その横顔はとても寂しそうに見えた。
『納得してねえよ……』
ぼつりとそれだけ言うと、ドナくんはシンシアちゃんを連れて去っていっちゃった。
やっぱり、この結婚にドナくんも納得していないんだ。けど、それからドナくんとは全くと話していない。
本当にどうしよう。
この一件以来、ぼくはいつものぼくじゃない。
2日前に会った鬼人族の長からも、昨日の今日でどうしたって心配されちゃうほどだったしね。
鬼人族の長と話をして。亜人族の長と話をして。そして最後の1人、魔人族の長はと言うと……結婚の話を昨晩にしたら、3人は最初にすっごい驚いただけで、そっかーって……そっかーって何!?
もっと親身になって心配してくれると思ったのに、そんな短い一言にぼくはむっとしちゃって、お茶も楽しまずにその日はずっと魔法の練習に暮れて終わったんだ。
そのことがあったため、今日は行くのやめようかなとも思いもした。けれど、日課をやめるのも嫌だったから結局行くことにしたんだ。
1人で晩ごはんを終えたぼくはいつも通りウリウリと一緒に魔人族の領地へ。
それから3人の屋敷に着いてすぐ、いつも通りお茶を勧められても無視して、魔法の練習に励んだ。
「ねえ、ルイ」
「……何?」
「話があるの」
「……いいよ。そこで言ってよ」
「ルイさん、座ってください」
「……フィディまで」
ぼくがむっとしながら魔法の練習をしていると、2人は座れっていうの。絶対に座れっていうの。こんなこと今まで無い。
いつもなら夕茶をして眠気を覚ましている2人なのに、今日は妙に真剣な表情を浮かべてぼくを見ている。
ぼくはうねうねと動く蔓の成長を止めて2人に向き合い、こちらへと呼ばれて同じテーブルの椅子に座った。
目の前でお茶を注がれて、どうぞとまずは飲めってこと?
「喉なんて渇いてないよ。話しないの? じゃあ、魔法の練習をさせてよ」
「話をする前だからよ。いいから飲め」
「ルイさん、飲んでください」
「……」
昨日のことを引きずって飲む気にはなれなかったけど、渋々と飲むことにした。
湯気の上がる熱い緑色のお茶を恐る恐る1口。……こくりと喉に流したら、ほっと安堵する自分に気が付いた。
「……美味しい……」
たった1口お茶を飲んだだけで、肩の力が降りたかのように心地よく、椅子の背もたれに身を預けちゃうほどだった。
「やっとルイの笑った顔が見えた」
「ですね。昨日からルイさん、眉間にしわを寄せて怖い怖い」
「え……」
顔を上げて3人を見た。
少し心配そうな顔をしているウリウリと、微笑んでいるフィディと、真面目な顔をしているリターがいる……なんだか、今やっと3人の顔を見た気がした。
それから2人は顔を見合わせて頷き、フィディが、ぎゅ――っと目を強く瞑って、リターがごほんと咳払いをする。
最初にリターの口が開いた。
「ルイさえよければあたしたちの家族にならない?」
それにフィディが続いた。
「ルイさんがよろしければ、ね」
「は?」
「な……っ!」
最初、2人して、何を言ってるのかわからず首を傾げてしまう。
家族になる? 意味はわかるようでちょっと考えちゃうものだった。
遅れてっていうのかな、考え途中だったぼくよりも1番に声を上げたのはウリウリだ。ウリウリはテーブルを叩いて立ち上がった。
「何を考えているんですか! 我らは天人族で貴方たちは魔人族ですよ! それが家族になるってわかって――」
珍しくウリウリが人前だというのに石仮面を壊して驚いていた。
でも、ウリウリが言い終わる前に、リターがウリウリの顔に向かって手の平を向けて制止させる。腰を上げていたウリウリの肩をフィディが押して座らせた。
リターは改めて話を始めた。
「今朝がた3人で話し合ったのよ。ルイは上が決めた婚姻を嫌がっている。嫌がっているルイをあたしたちはどうかしたい。なら、その婚姻を破棄させればいい。破棄する理由は先に所帯を持っていたから。つまり、先に一緒になっちゃえばってね」
……むちゃくちゃな話だった。
ぼくもウリウリと同じ顔をしてリターを見ていた。
ぽかーんと口を半引きにした、いつもだと見ることは絶対ない顔をウリウリがしている。つまり、ぼくもそんな顔だったと思う。
「他の女は嫌ですが、ルイさんなら別。それだけ私たちはあなたのことを気に入っているのです。ですから……私たちと1つになりませんか?」
続くフィディの話にやっと口を閉じることが出来た。
(ぼくが、アニスたちの家族に? 天人族の僕が、魔人族の3人の家族になる?)
いいのかな。けど、それすごい。すごい、いいな。
いいなあ……って思う。
……けど、だけどね。
「ううん。嬉しい話だけど……お断りするよ」
「どうして?」
「私たちのことが嫌いですか? はっ……そ、それともアニスさんのことが!?」
「アニスがって……ぷっ……違うよ」
違う。3人が嫌いなんてことは無い。
アニスだってあの変に気取ったところさえ目を瞑ればいい人だし、好きだ。
3人と家族になれたらきっと楽しいだろうなーって思うもん。
リターはがさつで言葉遣いも汚いけど、1人ぼっちが大嫌いな寂しがり屋さん。
フィディは物静かで大人しいのに、こだわると絶対に譲らない頑固な面がある。
そして、アニスはわざと変な振る舞いをする格好つけだけど、人一倍家族を大切にする人。
こんな3人と毎日生活をするんだからとても楽しいだろうなって本当に思うもん。
……でも。
「ごめんね。ぼくは3人とは結婚できない」
ここでぼくがドナくんとの結婚を蹴って他の人と一緒になるのが同族、天人族の人ならよかったのかもしれないけど(きっとよくないけど)、彼らは魔人族だ。
そんなことをしたらきっと大変なことになる。
どう大変なことになるか。きっとそれは……もしかしたら今の争いの無い天人族と魔人族の関係を壊すかもしれないんだ。
そんなこと、四天となったぼくにはできない。そして、彼女たちと一緒になることは、きっとドナくんとの結婚の話があっても無くても、ぼくの立場が許してくれない。
それから、多分、2人が本気では言ってないのがわかった。2人もぼくの返答をわかってて言ったと思う。
だって、2人の顔は……無理だろうなって感じの諦めに近いものが最初から浮かんでいたんだ。
けどそれはきっと、それだけぼくの結婚を反対してくれるってことなんだ。
「ぼくは、君たちとは結婚できない」
だからこそ、本音を言えば――冗談でも「うん!」って言いたかったよ。
「ルイ……」
「ルイさん……」
なんで昨晩にしてくれなかったのか、今になって2人が悲しそうな顔をする。
ぼくは天人族の代表の1人だから他部族の人とは結婚できない。そういう理由もあったけどそれだけじゃない。
小さい頃はわからなかった。
結婚って家族になるだけじゃないんだ。もっと大切な――。
「フィディもリターもぼくは大好きだよ。もちろん、アニスは嫌いじゃない。けどね。ぼくのここが――」
ぼくは自分の胸に手を当てて答えた。
「――それとは違うって言うんだ」
結婚ってもっと、心の奥にある本当の気持ちと向き合ってする、大切なものなんだって、心の底からそう思うんだ。
ぼくの言葉に2人ははあ、と大きく溜め息をついただけだった。
2人の表情はとても暗い。そんな顔をさせたかったわけじゃないのに……だから。
「それに、結婚しなくたってもうアニスもフィディもリターもぼくの家族だよ!」
だから、これは2人を励まそうとして言った言葉だった。
それなのに2人は先ほどぼくらがしたみたいに、ぽかんと口を半開けにして硬直し、直ぐにお腹を抱えて笑いだした。
「なっ、なんで笑うの!」
もう! 意味わかんない!
2人して突然変なことを言っていきなり笑って……笑うなんてひどいよ!
「な、言っただろ? ――彼女は僕たちをそんな目で見ていないとね」
「ひゃいっ!」
「アニス!」
「アニス……」
突如としてぼくの両肩を掴んで背後からアニスが耳元で声を上げた。
おかげでびくりとその場で飛び跳ねちゃったけど、アニスはくつくつとぼくの反応を見て楽しんでいる。
もう、この夫婦は! ぼくをからかうことばかりしてくる!
「失礼。驚かせちゃったかな。でも、2人ともわかっただろ――他部族である我らが彼女らの婚姻に口を出せるものじゃない」
「こんな……1つになるってもっと大切なことよ! 他者が勝手に結び付けていいものじゃない!」
「でも、リター……」
「何よフィディ!?」
フィディが表情を暗くして答える。
「私たちも、元々親同士が決めていた結婚であったことは変わりません」
「それは……だけど、あたしたちには確かな絆を深める時間は十分にあった! そして、あたしたちに決定権が、拒否権があった!」
「そうだね。僕らはね。しかし、彼ら四天は――ルイたちは違う。個の意志での尊重は無く、家を――種を第一と考える。種を重んじれば個の意志は無いに等しい。四天であるルイは種のために犠牲になるんだ」
「アニス! そんな言い方するな!」
「アニスさん酷いです!」
「こればかりは否定できないさ――幸せの下に生まれた僕らが口を挟める立場じゃない」
「……」
「……」
リターとフィディは怖い顔をしてアニスを睨みつけ、アニスはさらっと髪を搔き上げながらも2人の奥さんに向かってきつめの視線を送り返していた。
「ちょ、ちょっと3人とも……」
嫌な雰囲気に包まれた3人は口を閉ざし……それから直ぐにリターが手を上げ、お茶の乗ったテーブルを吹き飛ばすほどにアニスに飛び掛かる。
アニスもいつもの格好つけもなく、リターに馬乗りになられても殴ろうとする両手を掴み、逆に足で蹴ろうとしている。足蹴って……。
「も、もうっ、リターもアニスもやめてよ! フィディもなんか言ってよ!」
「ルイさん、止めなくていいですよ。リターがいかなかったら私がアニスに向かってました」
すました顔なのにピキりとフィディの額に青筋が浮かんでいるのが見えた。
自分のお茶を死守したのか、両手で口へとカップを持っていくけど、手は震えている。
「もう、やめようよ! 2人とも大人なんでしょう!」
「邪魔しないでルイ! こいつは泣かす! ガキの頃みたいに泣かす!」
「ふん……小さい頃の僕だと思うな。それに――毎朝泣かされているのはどっち……ぐえっ!?」
「……っっ!! 泣かす泣かす泣かす!」
止めないでって言われても、ぼくのことで喧嘩を始めた2人を慌てて止めに入るしかないじゃないか。
「ちょっと! ウリウリも手伝ってよ!」
「……勝手にさせておきなさい。夫婦喧嘩は犬も食わないと言います」
「そんなの知らないよ! も――!」
いつの間にかいつもの無表情に戻し、フィディと同じく自分のお茶を死守して飲むウリウリは無関係とばかりな態度を取っていた。
……なんで、ウリウリまで不機嫌になってるの!
「もうどうにかしてよ!」
結局、今夜は始まった夫婦喧嘩のせいで、魔法の練習も途中で終わってお開きになった。
◎
ぼくとドナくんの結婚が決まった……納得は行かない。
亜人族の長やアニスたち3人(3人の場合は……なんだか夫婦喧嘩をさせちゃったって印象が強いけど)と話したことでその思いはもっと強くなった。
ぼくが怒っているのはドナくんと結婚をするからじゃなくて、ぼくの意志もドナくんの意志もないままに周りが勝手に結婚を決めたことだ。
(結婚って特別な好きな人と特別な好きな人がずっと一緒にいるための大切なものじゃないの?)
アニスたち3人は小さい頃から一緒にいるほどの長い付き合いの後に結婚をした。
ところがぼくとドナくんは彼女たちとは違って、まだ数年の付き合いだ。
何故かドナくんたちの小さい頃の記憶を持っているけど、そんなのはぼくの記憶じゃない。
ぼくじゃない誰かの記憶でドナくんのことを知ろうなんて無理だよ。
そして、ぼくにとってドナくんは大切な友達であり、それ以上の気持ちなんて何1つとして持っていない。
それにぼくには……。
「……話がしたい」
「誰とですか?」
「イルノートと」
この結婚はぼくとドナくんの意志から来たものじゃない。
ぼくら天人族という全てを見通したもの。
この結婚にぼくらの気持ちはまったくとない。
家族になるって長い一生に関わる大切なことでしょ。
それこそ当人たちが考えるよりももっと周りの人たちと話をするほどにさ。
だから、ぼくも家族と話がしたい。この結婚が正しいのか。ぼくの考えが間違っているのかを。
「フォ……イルノート、ですか?」
「うん」
魔人族の領地からの帰り道、ぼくはウリウリに聞いた。
ウリウリが目を見開いてぼくを見た。
ぼくは驚き悲しそうにするウリウリを見た――でも、それだけ。
ウリウリはそれ以上何も言ってくれない。駄目ともいいよとも言わない。
だから、ぼくはウリウリを連れてエネシーラ長老の元へと向かった。
魔人族の領地から帰宅したその足で、夜も遅いけど、今のぼくは止まらなかった。
「心の整理を付けたいんだ。だから、イルノートと会って話がしたい」
「……それでお前は婚姻を認めると言うのか?」
「………………うん」
頷くにはちょっと時間がかかった。
認めるために話に行くわけじゃない。だけど、ここでいいえと言って行けないことだけはもっと嫌だった。
エネシーラ長老は深々と考える仕草をしてから……。
「よかろう。お前の気が済むと言うのであれば許可する」
「……はい」
あまりいい顔はしていないものの条件付きで許しを貰えた。
その条件とはぼくの誕生月である12之月には戻ってくること。
その後、誕生祭を行った後に、ドナくんとの婚姻の儀を行うこと。
四天ではあるけどまだ子供のぼく1人で里の外には出ちゃだめって言うので、護衛を同行者につけること。この3つだ。
後ろにいたウリウリが小さく足音を立てたのが聞こえた。振り返りはしない。
今は7之月。4か月ほどの時間をぼくは手にした。
「では、失礼します」
話を終わらせると直ぐにその場から逃げたけど、その間後ろから着いてくるウリウリの顔は1度も見なかった。
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