第102話 インターバル
タツオミは何かを閃いた。
あいつのあんなツラを見せつけられたら、先ほど怒鳴り散らしていた自分が馬鹿らしく思える。これには、苦笑を浮かべるしかない。
「……なら、俺は」
立ち上がり、自分のロッカーを開いてゴムで纏めていた鉄板の束を取り出す。
油性ペンで名前を書いた鉄板を扇状に広げて目的のものを探す。
釣り道具、テント、工具入れ、虫取りセット、バイク用品、テニスラケット一式――。
「俺に出来ることをする」
束の中から2枚の鉄板を取り出して後は仕舞った。
「それは何かしら?」
「……出ろ」
白い幼女の言葉にも気に留めず、もう何年と出していなかった昔のおもちゃを鉄板から出現させ、手に取った。
銃。
高校2年の頃、タツオミと共に遊び半分、それ以上に真剣に作った
銀色のボディに黒のグリップ。何かの漫画かアニメに影響され、そして魔法の力があったからこそできた作品だった。
幼女は俺の手元に握られた銃を見るなりあっさりと興味を無くし、ふんと鼻を鳴らして後ろに下がった。
そして、2枚目。
「出ろ」
プラスチックの子箱を取り出す。
前に悪用されないようにと錠をつけておいたが、こんなもの力任せに引っ張れば簡単にぶっ壊して開けられる……つまり、今の俺も無理やり錠を引っ張り、箱の爪を壊して、中に詰まっていた弾丸を握り込む。
「……なあにそれ?」
「……」
何故か食いついてきたのは未来視が出来るとかいう眼鏡を掛けた女だった。
「教えてよ」
「……以前、ガキの頃に作ったおもちゃだ」
「へえ……おもちゃ。あー、なるほどね。わかるわ。これ」
女は断りを入れずに箱の中に転がっていた弾丸を取り出して凝視している。
「……これに魔力を入れることで属性ごとの射撃を可能にするのね。射線上、もしくは着弾時にその効果を発動させる……ってところかしら」
「手に取っただけでわかんのか?」
「まあ、同じ様なもの作ったことあるしね。でも、これ、火薬も入ってないのにどうやって発射させるの?」
「は?」
火薬が入ってないって、手に取っただけでなんでわかるんだ?
彼女の言ったことは本当で、弾丸は形を模してはいるが中身は空洞のものでしかない。
……というか、俺らに弾薬と雷管、その他もろもろについての正確な知識がなかったこと。火薬の取り扱いの問題。
そして、この銃が完全におもちゃであるための線引きとしてあえて作らなかったんだ。
「……グリップ内部のフレームとトリガー、バレル周辺に魔法文字を彫り込んである。引き金を引くことでユーザーの魔力に反応して撃鉄に電流が流れ、またバレル内部にも反発を利用した魔法文字を――」
いわゆる、魔法を利用して弾を発射させるソーサルツール銃だ。
ただ、俺の魔力は少なく、タツオミもそこそこだったため、撃っても銀玉鉄砲より早く、エアガンよりも遅い銃……というものになったけれど。
しかし、それだけじゃない。
「……弾丸に魔力を入れて撃つことでその性能は著しく上がり、殺傷能力を持つほどになったことでずっと隠していたんだ」
「……なに?」
ふと、今まで沈黙していた男が今の発言に言葉を漏らす。
思わずそちらへと顔を向けると、男は直ぐに顔を逸らしたが……話は続ける。
俺の微量な魔力を時間をかけて貯め込んだ弾丸を装填し、樹木に向けて撃ったことがある。めり込めばいいな程度に考えていたそれは、樹木は大きな風穴を開けて貫通するほどになっていた。
それからこいつは俺とタツオミ2人だけの秘密として、ずっとこの銀板の中に隠してきたんだ。
「それで、君はこれを持ってどうするつもりだというの?」
「それは――」
勿論、これで遠距離から撃てれば……。
「ちょっと借りるねえ」
「おい!?」
女は俺の手から拳銃を取り上げ、さっきまで弄っていた弾丸を手の平に包み込む。
手慣れた風にシリンダーへと弾丸を装填して窓の外へと片手で構える。
「見てて」
「何を! やめ――」
やめろ、と叫ぶより女の指が引き金を引く方が早い。
撃鉄を引く音と、僅かに出た風切り音だけを残し、藍色の弾道を描いて弾丸が空を切った。
藍色の線は校庭に張られている光の壁を貫通し、そして、このアヤカを覆っている光の壁に届いたところで弾け飛んだ。
着弾した光の壁には氷の花が咲いて、直ぐに落下していった。
弾道は蜃気楼のように空気がぶれている。
俺ら2人には硝煙の代わりに吐き出された息も凍るかのような冷たい寒風が叩き付けられた。
言葉を失った。
「ほんの少し、君たち程度の魔力を流し込んだ結果がこれ」
君たち程度?
冗談じゃない。今のと比較してしまえば、俺の魔力は存在すら許されないようなもんだ。
今こいつが弾丸に込めた魔力は、在校中の生徒が1度に放つ魔力の平均を優に超えている。
「いい、わかる? 君がこのアヤカから出ない限りはこの銃はおもちゃ以下なんだよ」
「……」
出ても出なくても変わらないと遠回しに言われた気がした……甘かった。
自分の行おうとしていた行動の甘さに自分自身を殴りたくなる。
くそ。俺程度の魔力ではきっと、この学園に張られた壁すら貫通できずに終わっただろう。
「諦めなさい。今回のことは君みたいな平平凡凡が立ち入ることなんて出来ない。お祈りを済ませるか、アヤカから出ることを勧める――」
「……るか」
「ん?」
「そんな真似できるかよ!」
「そうなの? このままだと君、死ぬよ。というか、この第三分校にいる人間全員死ぬけど。ひとりでも助かった方が良いんじゃない?」
「うるせえ! 生徒見捨てて生きても嬉しいかよ! それがあんたが見た未来って言うのか!? ああ、いいか! まだ1年目の俺だとしても、これでも先生様なんだよ! 生徒を残して去れだぁ!? そんな真似できるわけないだろ!」
俺の怒声に女は顔をしかめつつ、ずれた眼鏡を指先で直すだけ。肩を竦めてこれ以上の会話は無理だと小馬鹿にしたようなそぶりを見せる。
こっちだってお前なんかと話すことはない。部外者は引っ込んでろ。他だ。
他に俺に出来ることがあるはず。俺が、野花ちゃんの代わりに出来ることはきっとある。
俺だって何かできる――。
『……突然の校内放送失礼する。自分はアサガ・タツオミ。今、この学園にいる生徒たちに折り入って頼みたいことがある』
1人頭を抱えていた中、スピーカーから、先ほどまで隣にいたやつの声が流れてきた。
『今から各クラス委員は職員室に集合してくれ。これから、君たちには自分の手助けをしてほしい。付与魔法ユーザーは今から配布する付与魔法術式の書かれたプリントに魔力を挿入してほしい。付与魔法ユーザーなら簡単だろう? 詳しいことは別途に用意したプリントを参考にしてほしい。プリントには魔力をストックするよう魔法文字で書きこまれている。一般魔法ユーザーはいつも通り魔法を発動する感覚で魔力を手に……いや、いい。それもまたプリントに指示を書いてある。とにかく君たちの力を借りたい』
俺はスピーカーを見つめるだけ。
『今自分たちは危機的な状況であり、この状況を打破するのは1人の少年をこのアヤカ区を襲っている大きな船へと送り込むほかにない。……情けないな。こんなにも大勢の力ある人間がいると言うのに、今自分たちが助かるには1人の少年、いや正確には空を飛んでいる彼女を含め、その2人に助けを求めないといけないのだから』
本当に情けない。
仮にでも2人は俺たちの生徒であるはずなのに。
生徒を守れないなんて、ガキを守れないなんて本当に情けなくて仕方ない。
タツオミの放送を聞きながら拳を強く握るしかなかった。
『自分は無力だ。魔法はある種の万能感を与えるもの。素質があるからと魔法に関わったことで選民意識が芽生えたかのような気持ちにもなっていた時期もある。だが、今の自分は何かできないかと悩み、空回り、そして途方に暮れることしかできなかった。悔しいな。結局出たのは他者の知識を借り、自分たちが助かるために1人の少年を死地へと向かわせなければならないという結論に達してしまったことを。本当に……情けない……!』
怒りに震えた声に放送は1度、止まった。
「タツオミ……お前」
『……すまない。私情が混じった。……今から君たちに手伝ってもらうことは彼をあの場へ送るための準備であり、生存を高めるためのもの。実際に効果があるかはわからない。しかし、やれることはやっておきたい。……だから……彼を、自分の友人であるシズクの命を守るために君たちの
それで放送は終わった。
今まで息をひそめていたのか、隣の校舎から、また奥の校舎から生徒たちの音が聞こえてくる。
今まで生徒だ何だと言っておきながら、まるで今やっとその守る守ると連呼していた対象に気が付いたような気分だった。
呆れた。
何も見えていなかった自分が滑稽だった。ぶっ、と自分自身へと笑いが漏れた。
「ふは、ふはははっ!」
笑いが更に込み上げてくる。
この最悪な部屋の中で。心の中で憑き物が落ちた様な清々しさを感じる。
本当に情けないな。俺もお前も、と。
一通り笑い、俺は頭を振って頬を叩いた。
「やっぱり、お前はすげえやつだったよ」
目に付く自信過剰なところも、芯がぶれなきゃお前のそれが本物なのは俺が1番知っている。
あいつが今やろうとしていることは俺にはわからない。だけど、野花ちゃんを送るにも出来る限りの最善を打つはずだ。
「ああ、くそ。なんだって。まったく……!」
……タツオミはいつも他人の目を気にしていて、それでいて評価を受けたるやつ。そんな変な意地を持っているあいつが、あんな弱々しい声を上げて、生徒に頼み込むなんて。
なら、俺がしてやれることなんて、こんなことしかない。
「なあ、あんた」
「なあに?」
にっこりと笑って眼鏡の女が俺を見た。
「あんた、魔力は馬鹿みたいに多いのか?」
「そこそこにね」
嘘つけ。
「俺の弾丸に魔力を込めてくれ。属性は何でもいい。とにかく、鉄鋼を貫き粉砕するほどのやつを頼む」
「……これって研究の息抜きにはなるかな?」
「そんなの知るか」
俺は手持ちに存在する10発程度の弾丸を彼女に渡す。
「……ねえ、こんなのはどう?」
「あん?」
女の提案は半信半疑ではあったけれども、別に否定することは無かった。
間もなくして、野花ちゃんが……シズクがこの第三分校へと駆けつけていた。
◎
「では、指示した通り、風の一般魔法ユーザーは前へ」
僕が校庭へと辿り着くと、そこにはアサガさんを含めた教師陣に、大勢の生徒が校庭にいた。登下校くらいにしか見ることはない数だ。
疎らに隙間は空いているも校庭の半分が埋まっているようにも見えた。
ある生徒たちは空へと手を掲げていて、各自でアクセスと口にして魔法を発動していた。
彼らの放った魔法に乗るように“それ”が流れていく。下に落ちることなく、空へと昇って奥へと飛んでいった。
“それ”は、僕も授業中に作ったことがある。その中でも一回りほど大きなものを2つ、アサガさんが生徒に渡して飛ばしていた。
物凄いの数の紙飛行機が空を掛け昇り飛んでいった。
生徒たちは「おお」と歓喜の声を上げて、無数の飛行機の後を見送っていった。
そこから、ふと大半の生徒が到着した僕へと視線を向け、またリコの姿を見て悲鳴を上げてしまい、後退ってしまう。
「リコちゃん!」「野花ちゃんだ」「もしかして、え?」「彼って少年って」「シズク?」「誰?」「野花ちゃんが彼?」「じゃあ、男?」「リコちゃん男の子?」
僕を指さして多くの人が何やら囁き合う。
いくつか気になる単語を耳に拾ったけどどうでもいい。
何をしているのかさっぱりだったけれども、僕がとるべき行動は1つ。
リコに跨ったまま、僕は裂けた人波を越えてアサガさんの元へと向かった。
「……来たね」
「アサガさん! 僕、あそこに――」
「シズクくん。今から君をあの戦艦へと跳ばす。心苦しいが、この願い聞いてくれるか?」
「――っ……はい」
今、自分の意志とは別に言葉が勝手に出た。
それは、まるでゼフィリノスのところにいた時の、奴隷としての強制力が働いたかのようにな感覚だ。
ただ、嫌ではない。精一杯反抗すれば拒否できる、そんな感じだった。
そして、アサガさんの言葉は僕の中へと浸透し、彼の意思を引き継いでいく。
不思議な気分だ。
アサガさんのしたいことが今の僕には伝わっている。
「まずやることだが……」
「いえ、わかります。あそこに、召喚陣を使って飛ばしてくれるんですね」
なるほど、と思った。
あそこに向かうにはどうしたらいいのかと海を渡る最中、遠目から考えていたことだった。
今から僕はあの戦艦の甲板へと魔法陣を使って転送し、そして船上から破壊する――言われる前にアサガさんの言葉の節から知ったことだった。
今飛ばした紙飛行機たちもそれによるものだと言うことも。
「あ、え、ああ。そうだが……」
アサガさんは言い澱み、悲しそうな顔をする。
「済まない」
「いいえ。いいんです」
「しかし……」
「ううん、これは僕の意志でもあります。ここでアサガさんに行くなって言われても僕は止まりませんよ。だって、もうあそこにはレティがいるから。レティが頑張ってるのに、僕が何もしないなんていられない」
「シズクくん……」
そして、エキナさんとも約束したんだ。ユウコさんのためにも、トオルさんのためにも僕はあの船を止めないといけない。
僕は準備されていた魔法陣の上に立ってその時を待つことになった。
その間に、アサガさんはいくつかのカードを僕に渡してくれた。
1つは対になっているお札で、これで僕とアサガさんたちと交信が出来るというものだ。
また複数のカードは“盾”になる、というけれど、それはいまいち理解できなかった。これは言葉の端からは読み取れないことだった。
アサガさんは「正直、相手の威力がどの程度かはわからない。けれど、無いよりはまし程度に考えてくれ」と言った。
詳しく聞きたかったけれども、アサガさんはそれだけ言うと、立っている生徒へと直ぐに指示出しに向かってしまった。
魔法陣に立っている間、リコの時に知り合った数名の生徒が駆け寄り、説明を求められるけど、僕は何とも言えない曖昧な回答で濁すほかになかった。
体の中に戻っていたリコも話したそうにしていたけど我慢するという。
僕を囲うように沢山の生徒に見つめられて居心地の悪い中、生徒の波から1人の男性が姿を見せた。サイトウさんだ。
「野花ちゃん、これを持っていけ」
「サイトウさんこれは?」
「拳銃」
「拳銃って、そんなもの……」
そんなものがあってどうなるの。
しかも、これ本物?
あっちの世界での魔物退治なんかでは使えそうだけど、今から向かうのは山みたいに大きな鉄の塊なのに。
「これには魔力が込まれている。いいか、着いたらすぐに周りのカードに向かって引き金を引くんだ」
「え、魔力? カード?」
「いいから。あの戦艦の周りに漂ってる紫色に輝くカードに向かって撃て」
「は、はい!」
と、半信半疑に受け取ると、不思議と重みのある感覚が手の中で鼓動する。僕の身体に流れる魔力と反応しているのはわかった。
力強くも、異質な力を感じる。この世界の魔力だ。
「わかりました」
「……本当にすまん」
頷けば、サイトウさんは悲しそうに、泣きそうなくらい顔を歪ませていた。
「なんで、サイトウさんが謝るんですか」
「だって、関係ないお前を巻き込んで……それに青百合ちゃんだって危険に晒して……」
「サイトウさんらしくないですよ」
「……うるせえ」
いつも陽気なサイトウさんが妙に弱々しいのは気がかりだったけれども、僕の頭を軽く小突くと魔法陣の外に出てじっとこちらを見つめるだけだった。
僕とサイトウさんはそれ以上に話すことは無い。
何かを話す間に準備が整ったからだ。
「シズクくん……行くぞ」
「はいっ!」
アサガさんが僕の足元の魔法陣に手を当てて、魔力を注ぎ込んだ。
魔法陣は光りはじめる。眩しくて目を閉じる。
「無事に帰って来い」
「行ってきます!」
目を閉じた先、僕の身体は浮遊感を感じた。
◎
結局、わたしは……真っ白な少女に言われた通りの時間稼ぎでしかなかった。
近寄って駄目もとで今度は鉄を切断できる凪断を使用し、小さい機銃を壊したりもしたけれど、大型砲塔には小さな傷をつける程度で、直ぐに両方とも修繕されてしまう。
大砲口に水魔法で凍らせ砲撃を邪魔したりもして時には砲身を破壊することもできた。直ぐに修復してしまう。
周りの海に水魔法を、風魔法を操って転覆させようと頑張ったこともある。だけど、水にしがみ付いたみたいに船は僅かに傾くだけにとどまった。
修復するあのカードにも攻撃をしてみた。火魔法を使ってその範囲に包み込んだカードは燃え盛り落とすことが出来たと言うのに、一向に減る気配は見えない。
何故だと見渡してみると、船の内部からか、また新たなカードが出現するのを見てげんなりとしてしまった。
神経が擦り切れる。時間の間隔もあいまい。
もしかしたら数時間も攻防を繰り返していたようにも思えるし、まだ数分しか経っていないよ、と言われても悲嘆しながらも信じてしまいそうだった。
意識を保っていたのは鉄扇があるおかげだったと思う。限界は吹っ切れている。
危険を冒したのに、それ以上の成果は殆ど無い。
思いつく限りに抵抗をした。近寄って甲板に向かって機銃を打ち込み、ミサイルだって残り全部を撃ち尽くした。
でも、やっぱり時間を稼ぐ程度のことでしかないことはわかった。
「わたしがやらないと……!」
体勢を整えるために上空へ上昇。光が追いかけてくる中を駆け泳ぐ。
今のわたしはまるで燃え尽きようとしている蝋燭みたいなもの。
ジリ貧だった。
(わたしの魔力、後どれだけ持つの?)
それは遠い先の話ではないことは、この身体の奥から漏れ出した悲鳴が語りだす。
この機体についても同様。中に詰まっている燃料の量は殆ど無い。ここから先は自力での飛行になり、目に見えて機動力は落ちる。
だけど、やるしかない。まだまだ、きっと何か突破口があるはず。
この意識が途切れるまでは、ずっと、ずっとやってやる。
鉄扇を放って、四散し海へと落ちていった鳥たちを再度構築して漂わせる。
いける。また1から始めるしかないけど、まだ、わたしは。
「やれる……わたしが、やるんだ!」
息の上がる中で自分を鼓舞する。
残りの魔力は少ないけど、最後の最後までわたしは諦めな――。
「……何、あれ?」
ふと、自分で放っていたものとは違う、風が頬を撫でる。
優しい、温かな風だった。
その風に顔を向けてた時、あるものが目に入った。
アヤカから無数の浮遊物が飛んできたのは。
それは。
「紙飛行機?」
100、200と数えきれないほどの紙飛行機が、ゆったりとそれでいて速度を落とさずに飛んできた。
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