第35話 正体がばれた!?
おじさんの両目がぼくをじーっと見つめてくる。ぼくも突然の出来事とおじさんの目を見つめて、逸らせないまま固まってしまった……。
「な……なにかな??」
「……髪の色まではわかんねえが、その赤い目に聞きなれた声……そうだ。登録したギルドカードには天人族って……お、お前、まさか……?」
「ひぐっ!」
「……まじでか」
……つい、びくりと驚いてしまう。
うわあ、しまった。
ぼくの反応におじさんはもうそれしかないって顔してる。
「ち、違うよ! ウォーバンじゃないよ!」
「お前……語るに落ちてるぞ?」
「ひぃ!?」
ど、どうしよう。
ばれた!? ばれちゃった!? いや、ぼくがばらしちゃったの!?
え、え、これ、まずいんじゃないの!? うわわぁぁぁ!
「ぼ、ぼくそろそろ行かないと……」
「……わかった。詳しい話はまた今夜に……いや、明日の晩に聞かせろ。ジグにも言っておけ。あともう1人の野郎にもな……あの銀髪もお前らの仲間だろ」
「…………じゃあね」
「ああ、気を付けてな」
それからはもう胸がどきどきして大変だった。
リップさんからは「どうしたんだい!? 血相変えて!?」なんて心配されて、無口なノズ店長もぼくのおでこに手を当てるんだ。風邪なんて引いてないよ!
直ぐにパンを貰って屋敷に直行。買い終わった荷物を厨房に預けると、朝食を貰うのすら忘れてぼくは自室にいるシズクに馬乗りになって叩き起こした。
シズクはお腹に乗ったぼくに悲鳴を上げるかのように文句を言ってきたけど、そんなこと知ったっこっちゃない!
「シズク大変だよ! ぼくたちの正体がばれちゃった!」
◎
なんでか知らないけど、今夜じゃなくて次の日に話を聞かせろっておじさんは言った。
その日は用心しながらギルドに向かったけど、おじさんは何も言わずに黙々とぼくらの相手をしてくれる。シズクにいつも通りじゃん、なんて疑われたからちょっとむーっと頬を膨らませる。
でも、依頼達成の報告後に「明日な……」って去り際に言われて、ぼくとシズクは大いに慌てた。イルノートは顔色ひとつ変えない。ずーっとだんまり。
みんなでどうしようと話し合ってはみたけど、何もいい考えは浮かばない。
だから、その次の日となる今夜はびくびくしながら冒険者ギルドに依頼達成の報告に向かうぼくらふたりと無表情のままのひとりに……。
「みゅうみゅう~♪」
そして、愉しそうに鳴き声を上げるリコ、1匹。
「もぉ、リコったら! ひとりだけ楽しそうにしちゃってさ!」
いつも部屋でお留守番をしてもらっているリコも夜だけはいっしょに外に出るようにしてる。部屋の中だけじゃつまんないしね。お散歩は大事。
リコがいると仕事が楽な場面もある。子供って言ってもすばしっこいし、狩りもお上手。いつしかリコはぼくらの優秀なお手伝いさんだ。
でも、リコにしたら魔物の退治も遊びみたいなものかな。
普段リコは爪を立てないように気を付けてぼくらにじゃれついてくる。
最初のうちはひっかき傷で何度も泣かされた。でも、リコはそれを学んだのか、爪や牙はぼくらに当たらないようにしてくれるようになった。
ぼくらで発散できない分は魔物相手に全力でがりがりする。ちょっとみてて魔物がかわいそうになる。
「じゃあ、リコはいつも通り待っててね」
「ちょっと長くなるかもしれない。退屈かもしれないけど僕らが戻ってくるまで我慢しててね」
「みゅう……」
ギルドでは外に隠れているように言いつけてあるから安心だ。
夜中だから真っ暗な影とかに入れば人目につかない。待たせるのも悪いから依頼を受注や報告後は直ぐに迎えに行くんだけど……。
「……ああ、お疲れさん。今日も早かったな」
先ほど依頼を受注したときも、こうして依頼を報告してもおじさんは相変わらず……ううん、この2日はちょっとだけ声色が低い。
いつもなら苦笑を浮かばせてぼくらの依頼報告を聞いてくれるんだ。
報酬を受け取ってはい、終わりっていうことも多いけど、たまにちょっとは会話もする。でも、正体がばれるのがいやだったから、曖昧に返事をして終わっちゃうことばかりだったっけ。
今夜のギルドは、珍しくお酒を飲んでいる嫌な大人たちがひとりとしていない。
いるとしたら、ぼくらがここを利用した時からいる天人族に、ハックに似た龍族、狼の獣人といった亜人種の人だけだ。人間の冒険者は仕事に出たのかな。
「今回の報酬分だ。コアの換金額と合わせて確認……いや、それはまた後でしてくれ」
おじさんが依頼分のお金をカウンターに置いた。それを受け取ったところで、ひそりと小声でぼくらに囁く。
「話がある。ちょっと店の奥まで来てもらおうか」
「……嫌だって言ったら?」
シズクの目がきつくなる。
ぼくは黙って隠した布の隙間から2人の顔を見比べる。いつもぼくらを優しく受け入れてくれたおじさんの顔は険しい。
「来ないのであれば上、つまりお偉いさんに確認を取る。それだけだ。特にそれ以上のことはしない。これまでと同じようにうちの店を使ってくれて構わない。ただし、俺の思い過ごしなら別に構わないが、お前ら……グラフェイン候に伝えても大丈夫か?」
「……わかった。行くよ」
ぼくらの逃げ道は閉ざされた。
おじさんは店にいる他種族の人たちに、用があるなら呼んでくれと言付けてから僕らを奥へと促す。
その前に、とぼくは声を上げて、外で待たせているともだちを連れてきてもいいか確認を取り、おじさんは「他にもいたのか」とちょっと驚いて頷いてくれた。
ぼくは外で待ち惚けをくらっていたリコを抱きかかえ店に入り直す。
「みゅうみゅう~」
「静かにね。他の人の迷惑になるよ」
「みゅう!」
リコは出会ったころと比べて一回りほど大きくなったけど、まだたてがみも生えてないので猫と変わらない。でも、もしかしたらリコを見て魔物だって思う人もいるかもしれないね。こちらを見る龍族さんがちょっと目を細めていやいやって首を振った。
「ネコか……まあいい。散らかってるが悪く思うな」
通されたカウンターの奥はかまどや水場なんかの厨房がいっしょになった部屋だった。
隅に置かれたいくつもの樽からはお酒の匂いがする。後は、油っぽい匂いとちょっと埃っぽいかな……。
中央に置かれたソファーに促されぼくとシズクが座り、その後ろにイルノートが立った。おじさんは対面に四足の椅子を持ってきて、背もたれを抱きかかえるよう前にして座る。
厳しいまなざしに射すくめられ、ぼくはぶるりと肩を震わせ、リコを胸に強く抱きしめた。
「来てくれてありがとうな。もちろん告げ口なんてことはしないから安心してくれ」
「そう、ですか。わかりました。その言葉を信じます。ね、ウォーバン」
「……あ、うん。わかったジグ。ところで、話って何?」
いきなり話を振られてぼくがウォーバンってことをすっかり忘れてた。直ぐに返事したけど怪しまれないかな。
「……うん。まあ、待て待て。ここは俺以外入ってくる奴はいない。顔を見せてもいいんじゃねえか」
そう言われてぼくとシズクは顔を合わせる。
が、どうしよう……なんて悩む間もなくイルノートがシズクのフードを、ぼくの布を引っ張り上げてしまった。
ふさりと髪の毛が舞う。
ちょっとイルノート!! ってぼくとシズクは後ろにいたイルノートを見る。彼はいつも通りの仏頂面で、何を考えているのかさっぱりわかんない。
直ぐに前を向いておじさんと対面した。
いつもなら顔を隠しているせいか、おじさんとこうして顔を合わせるのはちょっと恥ずかしいや……って、あれ?
おじさんはぼくを見ていない。いや、おじさんの目は全部シズクに向かっていた。
口を開いたままに目を大きく見開いている。
シズクも訝しげにおじさんへと視線を向けて、恐る恐ると口を開いた。
「……なに?」
「な、何ってジグ。お前、男じゃなかったのか……?」
「男だよ。ギルドカードにもそう登録したじゃん」
「あ……そ、そうだった。確かに、確かにお前は男だった。だ、だがなあ……」
おじさんが間違えるのは当然だよ。いつもはフードで顔が見える程度だったけど、今は長い髪を後ろで縛ってポニーテールにしたシズクだもん。今のシズクならどんな髪型だって女の子に見えちゃうよね。
ま、これはぼくの自慢の一つなんだ。
シズクは男の子でいて、それでいて女の子なんだから。そこらにいる女の子なんか目じゃない。でも、そういうとシズクはちょっと困ったような拗ねるような顔するから言わないけどね!
「って、まさか、おい! ウォーバン、お前も男だったりするのか……?」
おじさんはかなり動揺しているみたい……。
ぼくとシズクは、はあって溜息をついて「ギルドカード」って揃えて言ったらおじさんはまたこくこくと頷いてくれたけど……。
おじさんの方はいつまでたってもぼくら2人の顔を見比べてほんとにびっくりしている。それはイルノートがぼくらの顔を見せたことか、ぼくらの顔を見てかはわからない。
普段だったら面白いんだけど、今はそんな話をしてる場合じゃないの。
どうしたらいいの? と、ぼくとシズクは顔を見合わせ、それからイルノートへと振り返る。
ちょっと口をへの字にしてイルノートはぼくらの代わりに口を開いた。
「とりあえず、今回呼び出した用件を聞かせてもらえないか」
そう言われて気を取り戻したおじさんが一つ咳き込んで、まじめな顔になる。
「ああ、済まない。では、呼んだ理由だが……」
「うん」
「そう……呼んだ理由だが……」
おじさんが言いにくそうに視線をそらした。
口はなかなかに開かず、頭を掻いたりぼくらを見直したり……。
ぼくは緊張してごくりと唾を飲む。とくんとくんと自分の胸の音が聞こえる。
部屋の中は妙に静かで、外の、数名しかいない広間のやりとりまで聞こえてきそうなほどだ。
イルノートが立ち位置を変えたのか、こつり、と床を鳴らす音が聞こえた。
それがきっかけと言わんばかりに、おじさんは並びのいい歯を見せて――
「特に意味はない!」
――なんて、両手を合わせて謝ってきた。
「帰る」
シズクが立ってぼくとイルノートも後に続く。
イルノートは何が面白いのかわからないけど、くすくす噛み殺すみたいに小さく笑いをもらす。逆にぼくとシズクはぷんぷんと頬を膨らませる。
まったく! 昨日からずっと心配してたのに!
「まあ待てって! 待って待って! ちょっとくらい話をしたっていいじゃねえか! お前らが正体隠してる理由とかよ! 本音はそこ! もうツラを知っちまった仲なんだしよ!」
「だと言っても……」
「まあまあ! 姿隠すってことはばれたくないんだろ。それでも金は稼がなきゃいけない。つまり、訳アリってことだ。話次第じゃ力になれるかもしれない!」
「はあ……そうですかねえ」
じゃあ、ちょっととぼくとシズクとイルノートで輪になって秘密話だ。
部屋の隅っこに移動してぼくとシズクが身を縮こまって話をしようとするのに、イルノートはそのまま棒立ちだ。きりっと2人で睨みつけ、溜息をつかせながら片膝を付かせた。
(これ、どういうことなの? 話してもいいのかな?)
(話してもいいとは思うけど何を企んでるのかさっぱり僕には思いつかない)
(……あいつにはグラフェイン家に知られると不味いってことを知られてしまったからな。お前らを脅してお金を巻き上げるってことも出来るわけだ)
イルノートが怖いことを言う。
(あのおじさんがそんなことするかな? いつもぼくたちを心配してくれたのに?)
(金が目先にぶらつくと人は変わるもんだ。人を見た目で判断するな。まあ、脅迫してくるようであれば……)
(あれば?)
(手にかけてしまえばいい)
(それって……)
(まあ、そうなるよね……)
(シズク!?)
イルノートの言葉に同意したシズクにぼくは驚く。
(仕方ないよ。ここ以外でお金って集めにくいからね)
(では、話だけでもしてみるか。もしも、そういう行為に及ぶ場合は私が夜更けにでも行ってこよう。数日ほどは業務は滞るだろうが、その後は安心して後任の役人からいつも通り依頼を受ければいいさ)
うん、とシズクが頷き2人は立ち上がった。
おじさんを殺すなんて……ぼくも遅れて立ち上がるけど、気分は良くない。いや、そんなのは嫌だって思う……けど、今のぼくは何も言いだす気力はない。
今度はイルノートが前に座り、ぼくとシズクは後ろに立った。
おじさんはイルノートが座るとは思わなかったみたいでぎこちない笑みを浮かべている。
では、とイルノートが話を始めた。ぼくらの昔話だ。
まず最初に奴隷市場でシズクがぼくを守ってくれたかわりに離ればなれになってしまいそうだったこと。
そこへ客として来ていたゼフィリノスさまがぼくらふたりを買ってくれたこと。
屋敷の生活は前に比べたらとてもいいけどぼくらは奴隷から開放されたいってこと。
身分を隠していたのはお金を稼いでいることを主に知られたくなかったからってことまで。
削っているところも多かったけど、おじさんは背もたれに両肘をついてイルノートの話を黙々と聞いていった。
以上、とイルノートが話を終えると、おじさんは両腕を組みながらなるほどな、なんて口にして頷いた。
「……事情はわかった」
「では、どうする?」
「そうだな……もひとつ聞いてもいいかな?」
どうぞ、とイルノート。
おじさん、変なこと言わないでね。ほんとにね。答えによっては首を絞めるよ。
シズクはどう思ってるのか知らないけど、ぼくはリコをぎゅっと抱きしめておじさんの言葉を待った。
「依頼に関しておたくは何か手を貸したか?」
「私は2人に戦う手段を教えただけだ。見守りはしていたが、2人は幼くも全て自分たちの力で依頼を達成してきた。私は一度たりとも手を貸したことはない」
「じゃあ、あの森の奥の……耳無しウルフの時もか?」
「ああ、だな」
違う。グリー森林の最後の方はイルノートが先に行ってぼくらを導いてくれたんだ。だから、あの時はイルノートが手を貸したってことになる。
でも、それについてはイルノートは何も言わなかった。時間があればお前たちは達成できてたって言ってくれたけど、あれはぼくらの力で成し遂げたものじゃない。
話の流れからイルノートはぼくら3人とユクリアしか知らない森での真相もおじさんに話していく。
証拠とばかりにぼくとシズクは互いに小さな魔法をこの場で出してみたり、連れ帰ったリコを見せたり。
リコがクレストライオンの子供だと知って、おじさんの顔がさっと青くなった。
「クレストライオンか……俺も実際には見たことはないが、話程度には聞いたことがある。よく、無事に……いや、子を産んで弱っていたんだったな。それがそいつと……」
「そうだな。もしもクレストライオンと戦っていたら私たちも無事ではなかっただろう」
「そう、か……だが、信じられない……こんな子供がウルフの群れを? 森の奥まで行って怪我一つなく依頼を達成? 俺はおとぎ話でも聞かされているのか?」
「信じる信じないはお前の勝手だ。私たちが嘘をついて、適当に拾ってきた子猫を連れてきただけかもしれんしな」
「い、いや、俺が言いたいのはそういうことじゃなく……だけど、よ……まじか…………ほ、本当に……? く、くくく……あ――っははっはっはははっ!!」
びくっ!
おじさんがいきなり高笑いを上げだして、ぼくは身体を震わせ、シズクは一歩前に出た。
イルノートはまったく動かなかった。背にしているから顔はわからなかったけど、多分眉をぎゅっと寄せているんじゃないかな。
おじさんは待った待った! って 片手を僕らに向け、息が整うまで話は続けられなかった。
それから咳を何度かして、待たせたと言って再度向き合う。
「疑って悪かったよ」
「信じて、くれるの?」
ぼくの問いにああ、とおじさんは満足げに頷いた。
「……最初は怪しいガキが来たもんだって気味悪がってたんだよ。実際には別の誰か――あんたの代わりに依頼を受けてたんだと思ってた。上位でこの場所の依頼が受けれないとか、事情があってその場しのぎの金が欲しいんだって」
そう言っておじさんは苦笑しながら首を横に振る。
「だけど、日に日に顔を合わせていくと心なしはツラ構えがそれっぽくなっていってよ、まあ、二人ともほとんど顔隠してるし、ウォーバンは目しか見えなかったがな。だけど、もしかしたら本当にこいつらが達成してるのかって……でも、疑いは晴れなかった。そこへ今の話を聞かされてやっとこのちぐはぐな謎が噛みあったと思ったつい嬉しくてな。なんでか笑いが漏れちまった」
「おじさん……」
「本来ならあんな依頼はいつも呑んだくれてる酔っ払いどもがやるべき仕事なんだよ。まあお前らのおかげで溜まっていた依頼が減っていった。ありがとうな」
そう、首だけを動かしておじさんはぼくらに頭を下げるんだ。
それだけでぼくの顔は勝手に笑っちゃう。
よかった。やっぱり、おじさんは思ってた通りの良い人だったんだ、ってね。
「それで、だ」
「なんだ」
おじさんは顔を上げてぼくらを見て、イルノートが代わりに答えた。
「俺にもその手伝いさせてくれねえか?」
「え?」
ついつい声を上げちゃった。どういうこと?
おじさんが言うには報酬の高い依頼をぼくらに優先して提供してくれるってことだった。
勿論、その分危険は増すけど、ぼくらの実力を知ってもらった後ならば、とね。
でも、まだちょっと心配っていう面もあるみたい。本当ならさせたくないって付け加えてだ。
これにはイルノートも賛成してくれたんだ。
「今のところジグの方はわからんが、少なくともウォーバンはあと1年半の間までに金を貯めないと駄目だ。うちの主人のことだから世話係として王都に連れていくって言うだろう。こればかりは危険だからとは文句も言えないしな」
「なるほどな。わかった。俺の方でもその期限に間に合うよう調整して置く」
「だがいいのか? 一応お前の上司の息子だぞ」
「俺が雇われているのはギルドであってグラフェイン候じゃないさ。ただ、この町の管理者がグラフェイン候ってだけで、それ以外に顔を合わせることなんて滅多にない。構いやしねえよ」
「そうか、ありがとう」
今度はイルノートが頭を下げる番だった。イルノートが頭を下げるなんて珍しい。
さっきまで手を下すなんて言ってたのが嘘みたいで、ついついそのことを言っちゃったらおじさんがイスから転げ落ちるのが見えた。
床に尻もちを付きながら俺は子供には優しいんだよ、なんて顔に合わないことを言うんだ。
ぼくとシズクは2人で笑っちゃって、珍しくイルノートも人を小馬鹿にするようなものじゃない微笑を浮かべている。
「ところで……あんた」
「ああ、どうした?」
「……ええっと、あんたは男――いやなんでもない!」
その言葉にイルノートが深く溜め息をついて、ぼくとシズクはまた声に出して笑った。
◎
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