第23話 魔法の練習の再開
こうして昼はメイドとして奔走する日々を僕は送った。
最初のうちはそれはもうきつかった。体力もないからすぐにばてる。腕力もないから重いものも持てない。半人前どころか2割人前でも役立っていればいい程だ。
この屋敷の人は全員僕が男であることを知っているはずなので、最初のうちは変な視線で見られることもあった。
「シズクちゃんかわいいわね」とか「男の子なんて信じられない」とか等……この姿について言われることが精神的に一番きつかったりもする。
また、“女として振る舞え”って命令はゼフィリノス様本人の前以外では効果を発揮しないことがわかった。けれども、奴隷の契約を知らず、ごっこ遊びだと思っているメイドさんたちは「あー! またシズクちゃん男になってるー」なんて、僕が男として振る舞うと楽しそうに告げ口をされこともあった……。
「仕方ない人ですね。ははは、遊びとはいえ守らないと? 後で僕がたっぷり言付けておきますから」
その後、人目のつかない場所で罰なのか変な命令を下すんだ。
おかげさまで人前でも極力に女として振る舞うように矯正しなければならなかった。
言葉遣いは当然に、些細な仕草やトイレの使い方まで……今となっては全部慣れた……全部だっ!
ゼフィリノス様の悪戯という名の命令で失敗することも多々あった。
でも、この悪戯を受けての失敗だけは他の皆さんの理解もあって大目に見てもらえるのがせめてもの救いかもしれない。
どうやら僕らがここに来る以前からゼフィリノス様はメイドに悪戯やちょっかいをかけていたらしい。
最近はナリを潜めていたみたいだけど僕という新しいおもちゃを見つけて再開したみたいだ。
おかげでゼフィリノス様のおいたが関係していれば多少は目を瞑ってもらえるようになった。もちろん、自分でやってしまった失敗も数多く、それはちゃんと叱ってもらう。
だけど、失敗したことに対して後には引きずらず、その場限りで収めてくれるんだ。ああ、同じ失敗をしたらさらに怒られるけどね……。
ラゴン以外に僕らを叱ってくれる人は奴隷市場にはいなかった。でも、ラゴンは僕らにとって親と同義であり、赤の他人から怒られるってことは初めてのことでもある。
僕にとっては懐かしく、ルイにとっては初めてのことで、2人そろって色々な意味で感情を露わにすることも多かった。
中でも最年長であり、メイド長のカリアさんはそれはもう顔を真っ赤にして怒る。
発言力はトラスさんと同等にあって、ゼフィリノス様を屋敷内で本気で怒れる数少ない人だ。
ルイも失敗をすると何度も泣かされていた。けれども、愚図るルイに最後まで付き添い、皺を深く刻んでよくできたと褒めてあげる素敵な人だ。でも、ルイは苦手意識を持っちゃってカリアさんを見かけるとちょっと固くなる。
ルイにすごくいい影響を与えてくれる人なので僕はカリアさんを慕っている。
――この屋敷に来て半年くらいかな。
肩にかかるほどに髪が伸びたくらいの頃にカリアさんが僕を見て言ってきた。
「あなたはルイに比べると達観しているわね」
「そうですか? 自分ではよくわかりません。あ、玄関前の掃き掃除は終わらせておきました」
「そう、ありがとう。……ええ、そういうところよ。あなたはもっと大人に甘えてもいいんじゃないかしら」
「甘える……ですか……?」
誰に甘えろと? 意味はわかっても甘えられる大人なんて僕には……ああ、イルノートか。イルノートに甘えろってことか。
「……わかりました。甘えてみますね」
「え、甘えるって? ちょっと意味わかってるの?」
カリアさんを背にして僕は門の方へと走っていった。
そして、僕は暇そうに門番をするイルノートに近づく。
どうした? って表情を浮かべ眉をひそめた彼に僕は飛び掛かり、抱き付こうとして――避けられた。
その場でばたりと地面にスライディングしたかのように這う。数秒ほど倒れたまま硬直して、すぐさまぽんぽんと付着した土を払って驚くイルノートを睨み付ける。
「……なんだ、いきなり」
「抱き締めさせて。カリアさんに誰かに甘えろって言われたの」
「…………馬鹿者。甘えるな」
「しゅん……」
がっくりと肩を落として心配そうな顔をしているカリアさんの元へ戻り、イルノートに言われたことをそのまま話したらカリアさんはぷっと噴き出した。
「あなたは馬鹿ねえ。でも、そう。杞憂だったみたい。甘えられる人がいたのね。しかもとびっきりの人が。ふふふ、ごめんなさいね。さっきの話は気にしないで」
「は、はあ……」
ご機嫌なままカリアさんは仕事へと戻っていった――なんてこともあった。
◎
日中はメイドとして駆けずり回り、そして夜は魔法の勉強を再開した。
メイドの仕事も慣れてきた頃、イルノートからの提案で僕らは魔法を教わることになったのだ。
ラゴンからの遺言だそうだ。自分の代わりに僕たちに魔法を教えてあげてほしいってね。
実力はラゴンよりも劣るが……と謙遜していたけど僕らにしてみたら2人とも立派に魔法使いだ。2人でやってた頃は何をしていいか途方に暮れていたこともある。
何の不満もない。それどころかこちらから頼みたいほどだった。
そうして、外に出て行うにはまだ目立つからと僕らは自室でイルノートに学ぶようになった。
そこで覚えたのが魔法による身体能力向上の強化魔法だ。
いつも練習していた魔力を外に出して発動する魔法とは違い、強化魔法は魔法を身に宿し留めるものだ。
魔力消費は外に丸々放出するわけではないので瞬間的な消費は低い。でも、持続して魔力を消耗していく。
貯めた水を一気にぶちまけるのと少しずつ注いでいくのかの違いだ。
そして、一番重要なのが――。
「ぎゃふ!」
僕は初めての強化魔法で床に後頭部をぶつけていた。その場で後頭部を押さえてのた打ち回る。
今の僕の行動を他の人に見られていたら不思議に思われただろう。
何もない場所に立っている僕が突然その場で足を大きく上げて倒れ込んだのだから。いや、バク転の練習をして失敗したくらいには見られるかな。
「いったああっ!」
「……シズクだいじょうぶ?」
「もおっ、なんだこれ! 思ったより難しいよ!」
『癒しを与える光よ。その恩恵を与えください【ヒーリング】』
イルノートが僕の頭に手をかざして治癒魔法を施してくれる。暖かな光を感じると直ぐに頭の痛みは消えた。
これくらい自分でやれるけど、他人にしてもらう治癒魔法の方が治りが早いような気がするし、気持ちがいいから嫌じゃない。
「失敗だな。魔力の出し過ぎだ。やっぱり最初は火の活性魔法で筋力強化の方がよかったんじゃないか?」
「うん、そうだね。ごめん……わがまま言って」
僕が使ったのは雷の瞬動魔法と呼ばれるものだった。魔力を込めすぎて思っていた以上に足が前に出たみたい。
おかしいな。セーブしたつもりなんだけどね。
言われた通りに火の活性魔法から始めればよかったのかもしれない。けど、僕は雷の瞬動魔法を選んだ。
それというもの最初に各魔法の効果を教えてもらうにあたって雷の瞬動魔法――高速移動の存在を知ったことが大きい。
実際にイルノートが雷の瞬動魔法を使用し、煙に消えるかのように移動したのを目にした。
瞬間移動の域だ。
僕の身体にも雷が走るかのようだった。シビれた。憧れたんだ。
風の浮遊魔法で宙にひょいっと浮かんだのも度肝を抜かれた。空を飛ぶ魔法なんて僕の中じゃ魔法の代名詞だ。ルイは風の浮遊魔法に興味津々だ。
でも、僕はやっぱり雷での瞬動魔法に目を奪われてしまった。
……まあ、他2つが地味だったこともある。
火の活性魔法は太い角材を折ったり握りつぶしたり、水の硬化魔法はどんなに殴っても痛くないってだけ。
僕はフライパンを曲げて丸めたりバッドで殴られて平気ですとかいう、前世でのテレビ特番で紹介されたびっくり人間を思い出してしまい、それと同義程度にしか思えなかったんだ。ルイはどうかは知らない。
先に言った通り、最初は火の活性魔法を薦められたけど、無理言って雷の瞬動魔法を頼んだ。そして、その結果が後頭部の打撲だったというわけ……。
――強化魔法に一番重要なことは魔力制御である。
放出する分には自在に操れていたから、これくらい楽勝だなんて思っていた僕が間違っていた。
今の僕はアクセルを目一杯踏み込んでスタートをするようなものだったんだ。熟練者なら楽々スタートダッシュできるけど、僕はスピンという結果になった。
発動はしたんだ。自分でも魔力量は抑えたつもりだった。それでも結果はこれだ。
僕は肩を落としながらルイと場所を交換する。ベッドに腰掛けてルイの魔法の見学だ。
「ルイはどうする? 水の硬化魔法からはじめるか?」
「ううん、ぼくも風のふゆう魔法からやる!」
「わかった。シズクみたいにならないように気を付けろよ」
「うん」
む、イルノートめ。僕を悪い見本に使って……! でも、そんなことは言えない。失敗したのは僕だ。
頬を膨らませつつもルイの動向を見守る。
ルイはその場に立って魔力を込めた。
火の活性魔法と雷の瞬動魔法は体内で魔力を発動するけど、水の硬化魔法と風の浮遊魔法は魔力を身体に纏う。
そうイルノートから説明を受けたように、ひらりとルイの服が風に吹かれる。髪が揺れる。あ、これはどうかな。
次第に風は強くなり、僕の方まで吹き付けてきた。ルイは眉間に皺をよせて首をかしげる。うまく感覚がつかめないんだろうか。
「うーん、なんかへん……いつもより魔力がでる……」
ルイが愚痴る。そういえば、僕も思ったよりも魔力が出たような……ふん、今となってはただの言い訳にしかならない。
これで失敗したらただ風を身体に吹かせただけ……じゃあ、成功ってどういうことなんだろう。
それは――。
「……あっ!?」
ふとルイの足が地面から離れた。
吹き付ける風は強いけど、それでもルイの身体は浮かんでいたんだ。
「ほぉ、1回目で成功するとはな」
イルノートも頷いている。
つまり、これがほぼ正解ってことなのだろう。
「やった! ぼくとんでっ……あっ!」
気を抜いてルイは魔力の発動をやめてしまい、お尻からすとんと床に落ちた。
前にもこんなことあったなぁ。ルイは最後の最後に気を抜いちゃうんだ。
痛い、と悲鳴を上げたけどその顔は笑顔に包まれていた。望んだ結果が出たんだし当然だよね。
おめでとう……ルイ。
僕は項垂れるしかなかった。うう! そして、イルノートの香りがするベッドに顔を埋めてしくしくと泣き真似をする。
まだ来て日にちは経ってないのに、彼のベッドは花みたいな香りがする。
ついつい、シーツに顔を埋めながら、すーっと鼻腔に彼の臭いを送り込む。あ、なんだかんだでこのにおい好きかも……もう一度、すーっとにおいを堪能していると、ふと我に返ってシーツからちらりと二人に視線を送った。
二人は僕を見て顔が引き攣ってる。視線が合ったら逸らされた。ふん……。
「……ところで、ルイ。いつもより魔力が出るって言ってたな。魔法を使うのはいつ以来だ?」
「う、うん。あそこを出てから一度もつかってないよ」
「久しぶりだから加減を忘れていた……違うか。そんなこともないはず。何か原因が……ん?」
僕を無視して2人が話を進め始める。
いいんだ。僕はイルノートの香りで癒されるんだ。
美青年の香り。イケメンは体臭まで素晴らしいのだろうか。
ああ、そうだ。僕もイルノートになれる可能性が……。
「ふへ、ふへへへへ」
「シズク、気持ち悪い声を出してないでちょっとこっちへ来い」
「……うん、なにイルノート」
きりっと表情を引き締めて顔を上げる。のっしりと体を起こして2人の元へ向かった。
「今から水魔法を使って水球を出してみろ。大きさは任せる」
「はいはい……了解ですよ」
ルイと場所を変えてもらい魔法の準備。億劫だから手を掲げることはしない。
余裕余裕。水の球1つ作るなら今の僕なら寝ていてもできる。
大きさは手のひらに収まるくらい。
直ぐに魔力を練って胸の前あたりに1つ水の球をあっさりと作り――……あれ?
出来上がった水の球は思ったよりも大きなものになった。
僕やルイの頭くらいの大きさだ。
「そのサイズはお前が想定していたものか?」
「ううん、手のひらくらいの大きさにしようとした。なんで?」
「……原因はお前たちの足だな」
うん? 言われて僕は自分の足元を見た。
特に変わったことはない。ラゴンからもらった黒い革のブーツを履いているけど。
「え、ブーツ?」
「違う。靴じゃない。その上だ」
「その上……ズボン?」
「馬鹿者。リングだリング!」
あ、ああ。そういえばルイから分けてもらったリングが片足に引っかかってるのを忘れていた。
この方足に掛かっているリングは以前ラゴンからもらったものだ。
最初は2つずつもらって両足につけていたんだよね。でも、僕が元々持っていたリングは闇魔法(?)を使ったはずみで壊れちゃったんだよね。
そういや、このリングをもらった日に腕に通して肩まで上げればいいかなって思ったのに、ルイに足につけろって怒られたこともあったっけ。懐かしいなあ。
あ、ちょっと黒くくすんでる。この汚れは洗って落ちるかな。
「で、このリングがどうかしたの?」
「シズクわざとか? そのリングの本来の役割をお前たちは教わっていると思うんだが?」
「本来の役割……うーん……魔法を教わる前にこれをつけろって言われただけだし」
「はあ……では、そのリングの名前?」
「リングの名前ね……えーっと」
ラゴンはリングのことをなんかの腕輪って呼んでたっけ。
なんだっけね……と頭を捻って思い出そうとしていると代わりにルイが答えてくれた。
「ええっと、まりょく、よくしの……うでわだっけ?」
「……正解だ。それを身に着けていると放出する魔力量が制限される。威力を抑えるには丁度良いんだが、消費する魔力は同じなんだ」
どうやら、この魔力抑止の腕輪はリミッターの役割を持っているらしい。
その為、この腕輪を装着している人が魔法を使用すると、半分の魔力が腕輪を通じて強制的に外に排出されてしまうそうだ。
「それで?」
「例えば一度に10の魔力を使って魔法を発動したとする。だが、実際は腕輪の効果によって半減した5の魔法が出来るってことだ。その為、腕輪を装着して10の魔力の魔法を作ろうとしたら余計に10を上乗せして発動しなければならない」
そして、それは腕輪1つに限る話。
僕たちはもともと2つ腕輪を装着して今まで魔法を扱っていた。
「長くなったがつまり、普段多めに消費していた魔力量に体が慣れてしまっていると言う話だ。お前たちが魔力をうまく操れなかった原因がそれだろう」
「そっか、だからぼくもへんだなーっておもったんだ」
「多分だが、腕輪が2つあればシズクも雷の瞬動魔法は成功したんじゃないか」
「そ、そうだったのか!」
試しにルイの腕輪を借りて2つ付けて瞬動魔法を発動してみた。
思った通りに僕は移動に成功した……けど、今度は移動した先で思うように止まれず、その場でごてんと転がり背中を打ち付けてしまった。
「いててて……一応は出来た、かな?」
「及第点だな。だが、成功と言ってもいいだろう。……これで課題も出来てしまったな」
そう、僕らは腕輪1つでの魔力調整に慣れないといけなくなった。
2年近く制限を受けたままだったので、慣れるまではまた一苦労した。腕輪1つでも使えるのが当然になったら今度はその腕輪も外して制限なしの魔法にも慣れないといけない。
けれど、それは少し先の話になる。
「強化魔法も併用して学んでいく。魔力消費量は減っているから楽だとは思うぞ」
「うん、がんばる! ぼくのほうがシズクよりもはやくなれるからね!」
「そうだね。早く腕輪無しに慣れていかないとね」
それから毎日ラゴンと共に行った魔法の反復練習を含めてイルノートから指導を受けた。
魔力の調整が下手になったことは大きな足枷となったけど、足枷が外れたことは悪いことばかりではなかった。
魔力放出時、細かな操作に余計な力が入らなくなった分滑らかに行われるようになったんだ。炎弾や水弾といったものは前よりも早く複数個出すこともできたしね。
2つ目の足枷が外す時が来たらいったい僕たちはどれだけうまく使えるようになるんだろうか。
その時が来るまで僕たちは1つのリングを身に着けて魔法を放ち続ける。
僕たちはいつしか5歳を過ぎていた。
◎
この屋敷に僕ら以外の奴隷は1人としておらず、皆雇用という形をとっている。休暇は交代制だ。
また、通常の休暇とは別に数か月に一度、10日ほどの長期休暇を貰えることもある。
グラフェイン家の皆さんが王都グランフォーユへと招集と名ばかりのパーティーに参加されるからだ。
パーティーにはこの屋敷の中でも優秀な従者が追従し、トラスさんはもちろん、シーナさん、ゴドウィンさんも参加する。
残る人の中にはメイド長のカリアさんもいたけど、彼女は責任者として屋敷の留守を任される。
そして、その招集とやらが掛けられ、僕ら3人も留守を任されることになった。
ゼフィリノス様はルイを連れて行きたがっていたが今回もオーキッシュ様は許さなかった。
ルイが奴隷だとか彼のお気に入りとも関係なく、この屋敷に仕えたばかりの新人を連れていくことは他の従者たちに示しがつかないからだそうだ。
10日の休みと言っても屋敷の管理があるから遠出は出来ない。
サグラント近郊の農村ならともかく、少し遠くの町に行こう計画を練っても帰宅が2・3日前後する可能性が高いらしい。
悪天候や体調不良、一番のネックは足となる馬車なんかの出発時間や到着時間が結構ルーズなのだそうだ。予定通りにいかないのはざらにあるみたい。
ここで雇われている人たちの半分は遠方から出稼ぎに来ている人でもある。僕らとは違って身元がはっきりとしている真っ白な人でもある。
帰郷する場合、許可を得てひと月ふた月ほどの長期休暇を貰うと聞いた。
これらの理由から残留組は普段通りの休暇として過ごす。でも、やっぱり長い休みであってか羽を伸ばしていつも以上に買い物や食事なんかをみんな楽しむそうだ。
ただ、門限があって日が落ちたら屋敷の門は完全に閉じてしまうため、それまでに戻らないと屋敷の中には入れなくなってしまうのだ。
もしも無断で入ろうとして見つかったら使用人でも罪に咎められる。また、夜間は屋敷を囲う柵には魔道具を利用した防犯がかかっているらしく、触ると感電するとかなんとか。
夜遅くまで遊ぶ人は外泊をすることが前提で、町にある宿を取ったりするみたい。町に家族がいる人は帰って休暇を自宅で過ごすって話も聞いた。
外泊をする場合は事前に申請をしておくこと、と他の従者の方たちから教えられた。
そして僕らの10日ばかりの休暇の内容はすでにイルノートが決めていたらしく、3人分の外泊届けも出し終わっていると後から聞かされた。
届けといっても口頭での約束だ。
先着順で僕らは2日目の午後から2泊の予定とのこと。帰宅は4日目の午前中だ。
ルイはどこに行くのかと楽しみにしているけど、イルノートが娯楽で休みを取るとは僕には思えなかった。
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