第20話 メイド姉妹の昼の顔、その1
日も登り始めたばかりの早朝。
庭先に降り立った野鳥の囀りを耳にして、私の一日は始まる。
「…………朝だ」
隣で小さな寝息を立てる愛しい彼女を起こさないよう、ゆっくり静かに二段ベッドの上から降りる。そっと、物音を立てないように気を付けてながら梯子降りて、ひびの入った鏡の前で結った髪を解く。
昨日はついつい着替えずに寝てしまった。
こんな姿、屋敷の人に見られたら咎められちゃうかも。でも、昨晩は大変だったからって眠る前の自分への言い訳を今済ます。
次から気を付けようって櫛を梳かして乱れた髪を正す。
今では腰に届くほどに私の髪は伸びている。最初は抵抗があったけどいつしか慣れちゃった。
未だ目を覚ます気配のないお寝坊さんはこの長髪を喜んでくれるからいいけどね。
「ふわぁ……おっと」
と、小さな欠伸を一つ。鏡の中の私はまだ眠たそう。空の桶に水を生み出して顔を洗う。一緒に歯磨きも済ませてしまう。
こういう時って本当に魔法って便利だ。
使用した水を窓から外へと流し、近くにかけてある共有のタオルで顔を拭いて、ふう、さっぱり。
次に着替えに映る為、クローゼットを開ける……つい、昔着ていた服を見つけてしんみりしちゃう。
これを着ていた頃から、身体は一回り以上大きくなっている。窮屈でもう着られないけど、ラゴンからもらった服ってことで残しちゃってるんだよね。
……うん、もう少しだけ残しておこう。
「いけないいけない。遅れちゃう」
着ていた服をざっと脱ぎ、クローゼットの中の屋敷用の仕事服と交換する。
最初は紺の襟付きワンピースをうんしょと着込んでドロワースを穿く。
胸元のボタンを一番上まで閉じ、青色の細いリボンをちょうちょ結び。その上から真っ白なフリル付きのエプロンをかける。
同じデザインのフリル付きヘッドドレスを鏡を見ながら頭に装着。
最後に外履き用のブーツを履いて、服に埋もれた髪を払う――。
「こんなところかな?」
鏡の前で最終チェック。腰に手を当てポーズも取る。身だしなみの確認。よし、問題なし――……いや、問題あり。
「……っ!」
鏡越しで部屋の住人であるイルノートと目が合った。下段のベッドに横たわったまま、頬杖をついて微笑ましく私を見ていた……。
「おはよう。朝からご機嫌だな」
「い、イルノート! お、おはっ、おはよう、ございます……」
「その姿をすっかり板についてきたな」
「ま、まっさか? あ、早くいかないと遅れちゃうう」
「ふふ、いってらっしゃい」
顔を真っ赤に挨拶を済ませて、私は気恥ずかしさに身悶えながら3人の部屋を後にしました。
……この場所に来てもう3年。
早かったような長かったような。
最初はいろんな意味で大変だったけど、どうにかこの生活に馴染んでます。
◎
私たち2人の1日は、ご主人様とそのご両親の朝食の食材調達から、手提げの籠を持って街へと買い物へ向かいます。
屋敷から出る前、門を開けてもらうために門番さんにおはようございますと朝の挨拶だ。
誰であろうと挨拶はとても大事です。私はグラフェイン家の使用人の1人なのです。絶対に、忘れずに!
夜勤の警護に勤しんでいた門番さんは朝日に欠伸を浮かべながらも返事を返してくれました。
挨拶も終わると私はこの屋敷の立つ丘を駆け足で下ります。
長い髪が風に舞う。
スカートが捲れるけど気にしてなんかいられない。でも、服を汚しでもしたら後の仕事に支障が出るのでそこは必要以上に注意を払わないといけません。
最初は朝一番の産み立て卵を買うために、いつも贔屓にしている養鶏場のガブおじさんの元へと向かいます。
おはようございます、と元気よく挨拶。麦わら帽子を紐で首に下げたガブおじさんは私に気づくなり顔を緩ませて手を振ってくれます。
お世話中の鶏をそっちのけにし会うたび私の頭をいつものように乱暴に撫でまわす。髪が乱れるのでこの歓迎、私はちょっと苦手です。
「よう、下の嬢ちゃん。お手伝いご苦労さん。ほら、今日の分用意してあるぜ。グラフェイン様によろしくな」
「は、はい、いつもありがとうございます。じゃあ、卵の代金です」
そう私は片手で髪の毛を直しながらポケットから巾着を手に取り、中から卵10個の代金である4リット銅貨を手渡します。
ガブおじさんは笑いながら乱暴にズボンのポケットに小銭を入れました。
「毎度あり! 割らねえように気ぃ付けるんだぞ!」
「はい。ではまた明日」
見送ってくれるガブおじさんを背に、またそそくさと走って次の場所へ。
次に向かうのはこの街唯一の商店街に構えている評判のパン屋さんです。
まだ朝も早いって言うのにお店にはもうお客さんがいます。
この町に住む別の貴族のメイドさんです。
「おはようございます!」
「……ああ、おはようございます」
いつも挨拶を返すだけで、お互い名前は知らない間柄ですが、顔なじみでぺこっと頭を下げて挨拶を交わします。
私よりもずっと年上で、多分20かそこらだと思うけど、私のような3年程度のなんちゃってメイドとは違って貫禄のあるメイドさんです。
纏めた髪をすっぽりと埋めたメイドキャップに、踝まであるロングスカートのメイドドレス。背筋もピンと伸ばして佇まいもきりっとしててかっこいい。
互いに多忙な時間にしか会わないので、今まで交わした会話なんて一言二言の挨拶くらいです。でも、嫌われてはいないと思います。挨拶をするときはいつも笑ってくれるのだから。
もう彼女の籠の中には布に包まれたパンが収まっているので入れ違いですね。
「おはようございます。リップさん」
メイドさんと会釈でお別れをし、私は開店準備に追われているリップ夫人に挨拶をしました。三角巾を頭に巻いたエプロン姿のリップ夫人は、ふくよかな体つきの気さくな方です。そして、たくましい人なんだ。
「ああ、おはよう! 今日もご苦労様! ちょっと待ってな。あんたー! グラフェイン様んところのパンできてるー?」
リップ夫人はそう店の奥へと、朝っぱらだというのに近所に響き渡るくらいに大きな声を上げて夫のノズ店長を呼びました。呼ばれてすぐさま厨房からむすっとしながらノズ店長が現れて、黙ったまま細長いバゲットを5本手渡してくれます。
まだほかほか熱々で気を付けないと火傷をしてしまいそう。
このお店に顔を出し始めた頃はリップ夫人越しにパンを貰っていたけど、最近はその固い顔をよく見せてくれます。
ノズ店長が気難しそうなのはいつものこと。
顔を合わせるたびに、不機嫌なときに来ちゃったのかなって毎回思ってたけど、無口で不愛想なのがノズ店長みたいです。近くにいることが多いので見方が変わったけど、出会ったころのイルノートみたい。顔は強面だけど。
「いつも美味しいパンをありがとうってグラフェイン様が言ってました」
「……そうか」
返ってくるのはその一言。
ノズ店長はおしゃべり大好きな奥さんのリップ夫人とは違って口下手みたいです。
「あんたねえ。もう少しくらい喜んだらどうなんだい? ごめんね。亭主恥ずかしがり屋だから大目に見てやってよ」
「いえいえ、私も食べさせてもらってますが、ノズ店長が作るパンすっごい好きです」
食卓には上がったけど手つかずで残ることがある。また、用意はしたけど出されなかったものとか。そういう余った端切れを使用人の間で食べさせてもらえます。
それが美味しいのなんのって。こんな美味しい物残すなんてもったいない!
でも、そのおかげで私たちの口へと運べるんだから残してくれてありがとうでも言うべきでしょうか。
「……うまかったか?」
「はい! 私の同室の人たちも評判ですよ! でもちょっとしか食べれないからそれがちょっと残念です」
口にすることができた日はもうルンルン気分。元気一杯、仕事にもいつも以上に精が出る気がします。
ふん、なんて口を曲げるノズ店長。それが可笑しくてくすくすって笑ってしまう。
さて、そろそろお暇させてもらいましょうか――
「ちょっと待てろ」
あれ、いつもなら無言で店の奥に消えちゃうノズ店長からの待ったの声です。
奥へと引っこんじゃったけど、なんだろう?
屋敷に戻らないといけないから長いこと待っていられないのですが……そんな心配も無用だったみたい。
待っている間にリップ夫人にパンの代金で6枚の10リット銅貨を渡し、お釣りで1リット銅貨を5枚貰う。パン1本11リット銅貨の計算だ。
私が購入するパンはグラフェイン家が発注しているもので店頭に並んでいる普通のパンよりも値段は割高でした。ちなみに同じようなパンなのにお店に出ているバケットは1本4リット銅貨で売られています。
貰ったパンを布に包んで籠の中に収め終わるのと同じくらいでノズ店長がまた戻ってきました。手には2つ、丸いパンをもって……え、くれるの!?
「そんな、私お金なんて……」
「サービスだ。いつも来てくれるもう1人の子と一緒にな」
「……あ、ありがとう……ございます」
思わず言葉を忘れてしまうほど驚いてしまいました。
照れているのか、いつもの仏頂面のノズ店長が口元がへらへらと動いていました。若干頬も赤みを射してます。リップ夫人なんてまあなんて驚いた声を出して笑ってるし。
口数は少ないけど、ノズ店長は優しいことを、私ともう1人の彼女も知っています。
ノズ店長が厨房からお店に顔を出すようになってからは、私が店を後にするとき外まで出てリップ夫人と一緒に見送ってくれていることを知っています。
私の手にはまだ焼き上がったばかりの茶色い丸いパンが2つ乗ってて、それはまるでノズ店長の優しさの温度みたく思えてちょっと涙が出そうになる……。
袖て目元を拭って、再度感謝を口にする。
「ありがとうございます! 大事に、大事に食べさせてもらいますね」
「ちょっとちょっと! 大げさだよお! あんたも恥ずかしがってないで!」
「……あ、ああ。またおいで」
「いつもありがとうね。じゃあ、もう1人の子にもよろしくね」
「はい! それではまた!」
私は頭を下げて店を後にします。
腕には主人用の卵とパンの入った籠をぶら下げ、両手には私たちのパンをもって屋敷まで走ります。
少し走って振り返り、まだ見送ってくれていた2人へと大きく手を振り返しました。リップ夫人は両手で、ノズ店長は片手でぎこちなく振り返してくれました。
また私は前を向いて走ります。
◎
早く帰ってもらったパンを食べたくて仕方ありません。
ですが、商店街から屋敷までは結構な距離があります。
歩いていけば主人たちの朝食の時間には間に合うでしょう。
でも、朝食の時間に間に合うようでは駄目です。調理時間と私たち自身の朝食のためにももっと早く帰らなければなりません。
結局のところ私は使用人で、もてなす側なのです。
卵を割らないよう。パンを落とさないよう。両の足を前へ前へと出すしかありません。走ります。
商店街を走るだけならまだしも屋敷は丘の上。この幼い身では全速力で辿り着いても体力が尽き、この次に待つ仕事に支障が出てしまいます。
そこで私は魔法を使います。
使うのは雷と風の強化魔法の同時利用です。
体内の魔力で雷の瞬動魔法を発動し、足の運びを早くします。続いて風の浮遊魔法を纏って身体を軽くします。
どちらの魔法も力加減が必要です。強すぎると地面の踏み込みが大きすぎて体勢を崩しますし、軽くなり過ぎて籠の中の食材が宙に放り出されたりします。何より、他の人の目につきます。
今の私はとても足の速い子程度にしか思われないはずです。もちろん、とても足の速い子と街でも良く私たちのことを噂されます。噂も足の速い子供までならいいのです。
手荷物を気にしなければ今の私でも馬の全速力にも負けないくらいの速度が出せます。身体のことを気にしなければ遥かに早く走れます。
普通に走るのも、魔法で高速で走るのも、体を動かす量は同じで最終的には同等の疲労を生み出します。
違いは早く行動がとれるかであり、魔力を消費している分魔法を使っている方がさらに疲労を高めます。
早く走るだけなら雷の瞬動魔法だけでも十分ですが、その後の体力の消耗を考えると身体を軽くした方が身にかかる負担が激減するので私は風の浮遊魔法を併用しています。
これによって魔力の消費はより激しくなりますが、身にかかる疲労は極端に減らすことが出来ます。
個人的な感覚ですが、魔法無しで全力で走る疲労を10とすると、雷の瞬動魔法を使用する疲労は10と魔力消費3。ですが倍近い速度で走ることが可能。そこに風の浮遊魔法を掛け合わせると、疲労は5に、魔力消費7と言ったところでしょうか。
陽の出ている間、魔法を使用することは殆ど無いので、ここで使ってしまって問題はありません。
短時間であれば風の浮遊魔法を使って空を飛ぶこともできますが、空を飛ぶのは……はい、人目につきます。朝と言え油断はできません。風の浮遊魔法は陽の出ているうちはあまり使い勝手が悪いんです。
◎
屋敷について直ぐに厨房へ向かって3人のお抱えシェフさんたちに卵とパンを渡します。もちろん挨拶も忘れません。
それからは私たちのまかないを作ってくれる去年の暮れあたりに雇われた若くもその腕を見込まれたモルニルさんのご厚意から2人分の朝食を貰って――え?
「今日の朝食これ良いんですか!?」
「昨日の残りの卵だしね。練習がてらに作らせてもらったんだけど、失敗しちゃったから食べてよ」
「失敗したって……いえ、ありがとうございます!」
「うん、みんなには内緒だよ? ところでその手に持ってるパンは?」
「あ、はい。実はですね、今日私たちにサービスだってパン貰ったんですよ!」
「ああ、ノズさんところのパン屋さんだね。美味しいよね。僕も君に……あ、いや! 君たちに手作りパンを作れればいいんだけど……やっぱりノズさんにはかなわないや。よかったね」
「ん? ええ、とても楽しみです!」
「じゃあ、名残惜しいけど時間だからそろそろ。お仕事がんばってね!」
「はい! いつもありがとうございます!」
モルニルさん、いつも以上にこんな素敵な朝食をありがとうございます。
その後、駆け足で自室に戻って外履き用のブーツを脱ぎ、受け取った朝食を机代わりにしている適当に外から拾ってきた小箱の上に置きます。
「ふぅ……」
待ちに待った朝食と言う名の小休憩は寝坊助さんを起こすところから始まります。
ちなみに今日はお寝坊さんですが、明日は私がお寝坊さんです。街への買い物は日替わりで行っています。
今朝挨拶を交わしたもう1人の同居人はすでにベッドの上からいませんでした。
あ、もしも両方が寝坊した場合は彼が起こしてくれます。何度も助けてもらいました。感謝しきれません。
私は梯子を上って寝坊助さんを起こします。
相変わらず可愛い寝顔です。食べてしまいたいほどです。
でも我慢。そっと肩を揺らします。
「ほら、朝食の時間だよ。起きなさい」
「う、うーん。もうちょっと……」
思わず笑みがこぼれます。このやり取りはもはや日課。もちろん明日は私がこの起こされる役を演じます。
出来ればもっと寝かしておきたいですが、それを許される身分ではないことは互いに知っています。
「だめ! 仕事が待ってるよ! ほら、早く起きないと……」
「……起きないと?」
あらら、実はもう起きてるみたい。片目を開けて舌をぺろって出して私を見つめてきます。
幼いその表情と蠱惑的な笑みにたじろいでしまいます。ですが、ここで慄いているわけにもいきません。
「起きないと…………食べちゃうぞ?」
「いいよ、食べても」
「う……」
先ほど思った私の心の中を読んでいるんでしょうか。思わずドッキリしちゃいます。
まったく、どこでそんな言葉を覚えてくるのはさっぱりです。まだ横になったままなのにこちらを見て不敵に笑うんです。卑怯者め。
でも、こんなことでどぎまぎしていたら相手なんてできません。
「へえ、いいんだ? じゃあ、ルイの分の朝ごはん、1人で食べちゃうね!」
「あ――! だめっ、シズク食べちゃだめ! ぼくの分食べたら怒るよ!」
そこでやっとお寝坊さんだったルイが慌てて身を起こします。
「ふふん、でも、ルイは食べていいって言ったよね~?」
「ああ、ひどい! シズクはいつも意地悪だ。ぼくはそんな意味で言ったんじゃないやい!」
「じゃあ、どういう意味?」
「え……わかんない、けど、レティがそういえば喜ぶって……」
む、レティか……私が一度も会ったことがない少女からの入れ知恵のようです。
私のルイになんてことを教えるんだ! 心の中で文句を言います。
と……ええ、そう。
実は私――いや、僕は女装をし女の子としてこの3年弱をメイドしてグラフェイン家にて働かせてもらっている。
口調も日中はこのような話し方を強要させられているんだ。それもすべて命令なので聞かないといけない。
最初は嫌々だったけど今ではもう慣れた……いえ、慣れました。ええ、慣れたんです。
「あ、そだ。おはよう。シズク」
「はい、おはようございます。ルイ」
さて、誰かさんのせいで調子は狂いましたが、いつも通りの挨拶を終えます。
最初はこの話し方で振るとすごい嫌な目で見られました。私も嫌でした。
でも、今では諦めてくれたのか馴染んでくれたのか気にしないでくれます。それがルイなりの優しさなのかはわかりません。けど、私が鼻歌交じりで仕事をしているとたまに憐れんだような視線を感じる時があります。
気のせいですよね。まだルイは7歳なんですから。
それからベッドから降りて2人でご飯を食べます。
今日はノズ店長から頂いた丸まるとしたパンに、さらに失敗したという理由で真っ黄色のふわふわプレーンオムレツを貰ったのでいつもより豪勢です。
2人して歓声を上げて食事を始めます。
この街で私たちのことはよく知られています。
お恥ずかしい話、可愛らしいメイドが2人グラフェイン家に仕えている、と当の本人である私たちの耳にも届いています。
可愛らしいとは…………恐縮するばかり……ですが。
ですが、評判は優秀でもなければ無能でもなく可愛いメイド止まり。いえ、止めなくてはならないのです。
私たちは可愛いメイド姉妹止まりでないといけません。
それ以上の評価はなるべく上げずに現状維持。それ以上の特色……ルイはともかく、人間と見られている私が魔法を使えることを知られてはいけません。
魔法を使えることが知られると色々と面倒なので隠さなければいけません。
イルノートにも口止めされました。私もそれでいいと思っています。
この数年でいろいろなことを学びました。
私は魔法というものは吐き出すものばかりに思っていましたが、こうして身体能力の上昇を可能にするものも覚えました。
雷と風の他に、筋力を補助してくれる火の活性魔法。身を守ってくれる水の硬化魔法があります。
4つ同時利用もできますが、その分使用時間は極端に減るので、大体2つ同時利用、多くても3つ利用します。
使用時間というのは魔力が枯渇するのではなく身体への負担からの時間です。
訓練を積めば積むほどその持続時間は増えますが、今はまだまだ教わっている身、そして成長している身です。無理をすることは禁じられました。
相変わらず、木・金・土属性の魔法は未だに手つかずの状態で、闇魔法なんかまったく……。
ただ、魔法は努力次第ではどのようなことも実現可能なのかもしれません。
「わあ、やっぱりノズ店長のパンはすっごい美味しいね!」
「イルノートにも分けてあげたかったな。残念だよ」
この食事を終えれば直ぐに仕事が待っています。今日も一日頑張ろう! と己を鼓舞します。
だけど、今だけ――この朝食という短い時間だけは気を緩めてもいいよね。
私の……僕のメイドとしての一日は、まだ始まったばかりなんだから。
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