part.5


 あの淡いブルーの星を調べてみようじゃないか。

 私は、探査船に搭載されているコンピュータの中に搭載されている、幾つもの頭脳で、合議にかける事にした。

 「クリス」も、他の頭脳も、「私」という頭脳のパーツである。私だけでは決定出来ない事もあるので、その時は頭脳同士で合議する事にシステム上設計されていた。

審議にかけて、結論が出た。

私は、探査船に記録されている、海王星についての記録を調べてみた。

海王星。太陽系の第八惑星。太陽系の惑星の中では一番外側を公転。地球の十七倍の質量を持ち、ガス惑星としては最も密度が高い。太陽から約45億キロ離れた距離にあり…………過去にも様々な調査記録があり、最初に出てくる記録は、それらを一緒にしてまとめられた総合的な資料である。

過去に、この惑星に直接調査された記録は無いのか。

成程。頭脳の一基の提案があった。私はそれを受け入れた。

過去に海王星を調査しに来た、探査船の記録を調べる。


地球からの観測調査はすでに十七世紀辺りから調査されていたようだ。その後二十世紀にようやく宇宙船が開発されて、二十世紀末期に惑星の近くにまで到達、以降何回も調査されていたようだ。その時に、この海王星の独特の淡いブルーの大気の構成が分かってきたようである。

調査は二十四世紀の現在に至るまで、何回とくり返されてきた。地球の十何倍もある大気に含まれる水素やヘリウム、「地表」というべきなのか、マントルといえる箇所の高密度の液体の「氷」。考えうる限りでは、地球化テラ・フォーミングよりも、資源用として有用だろう。

しかし土星や天王星と比べて、惑星調査が進んでいるようである。

私は、出来るだけこの惑星の表面に近づいてみた。過去にこの惑星の表面にまで近づいて調査した記録が残っている。でも実際採取したわけではない。

それにしては、海王星の大気、地質が実に記録が詳細にまで残っている。まるで、海王星の大気圏を突入し、個体なのか液体なのか分からない海のマントルまで到達してサンプルを取ってきたように。

妙に引っ掛かる。

この惑星は氷の惑星の通り、分厚い水素とヘリウム等の大気、水やアンモニア、メタンの液体から出来ているマントルといっても、静かなる海というわけではない。

この惑星の大気は複雑だ。温度差が激しく、気流の動きが地球の比では無い。探査船が大気圏に突入するものなら、文字通りバラバラになってしまう。

ドローン? いや、それ以前に電波で送ろうにも電子機器が持たない。

何故、ここまで調査出来るのだ?


「あなた、待ってたわ! 」

 大気圏近くまで近づいて来た。暴風が吹き荒れる大気に近づくのは、あまりにも危険だ。私は近づいた時点でバーニアを逆噴射して惑星の表面近くにまで停止した。

淡い青色の大気が広がっていた。そこに荒れるように地球とは違う雲が早く流れていた。これでは近づこうにも姿勢制御がかなり難しい。

アリシア、どこだ!

「クリス」が叫んでいた。だが女性の声の主の姿は見えない。しかし、先程よりも女性の声は強くなっている。

 行ってみよう。「クリス」の提言だった。

 やはり、過去にこの海王星の調査に来た探査船があったんだ。でないと、ここまで地質調査の結果は出ていない。

 過去に、この惑星に調査をした探査船の記録があるか調べた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る