第四話 変態は変態だがクズではない
結局、この変態と一緒に尾行する羽目になってしまった。
だが仕方ない。これは重要なことなのだから。
僕はなんとしてでも確認しなければいけない。
彼女がやりマンと呼ばれる種族かどうなのか・・・。
いや違うか、落ち着け冷静になるんだ僕。
大事なのはそこじゃない。学生がこんなことをしているのがまずいんだ。
もしばれたらパーティー契約なんてしてる場合じゃない。
最悪、彼女は停学だ。この隣にいる阿呆のように。
流し目に見ると奴はにやにやと気色悪い笑みを浮かべる。
「お、なんだーやっぱりクルトもこのかっちょいいサングラスとマスク欲しいのか?最初から素直にそういえばいいのにな、まったくこのツンデレめっ!」
「いらないよ、そんな不審者にしか見れないものなんて。
それにそれ付けたら万が一尾行がばれたとき君の仲間だと思われて
君のことを売れなくなるし。あとツンデレじゃない。」
「ひっど!まだおれを自警団に突き出す気だったのか!?
もうここまで来たら、えーとあれだよご飯食わらば箸までってやつなんだから
諦めて一緒に尾行をエンジョイしようぜー?」
それを言うなら毒を食らわば皿まで、だ。どんな間違いだ。それだと普通に頭おかしいやつのことを言ってるだけじゃないか。
コンがぐいぐいとサングラスやらを進めてきてウザいので無視をしつつ
ターゲットとの距離を詰める。
もうすでに歓楽街は目と鼻の先だった。言い訳できないところまで来ている。
だが僕は踏み出せずにいた。止められずにいた。
もしかしたら違うのではないかと。実はあれは彼女のお父さんで何かしら歓楽街に用があるだけかもしれないと。
だがそんな僕の期待を裏切るかのように彼女たちは歓楽街に入りどんどん奥に入っていく。
そして遂に歓楽街の一角、風俗街まで来てしまった。
なにか話しているようだが聞こえない。ここで割って入らなければもう行くところまで行ってしまうだろう。今しかない。
突撃しようと足を踏み込んだ僕をコンが止める。
彼のほうを見ると彼は耳の手を当てていた。よく見ると彼の耳は薄っすらと光っておりそこには魔術式が浮かび上がっていた。
コン・ロリーの魔術、聴覚強化。能力はシンプルで単純に耳がよくなるらしい、
前に彼がそういっていた。今の場にこれほど適した魔術はないだろう。
コンが聞き取った情報を言語化していく。
「ふーむなになに。ふむふむ。そういうことか。わかったぞクルト。
耳を貸せ。」
僕が彼の口元に耳をやると彼は向こうに聞こえないように小声で話し始めた。
「どうやらあの銀髪ロリッ子ちゃんお金がないらしく食うもんも住む場所も
確保するのが厳しいぽいな。そこにあの男がつけこんで
男がシタイときにヤラセテくれれば寝床と食いもんを確保してくれるっていう
契約らしいぞ。
尾行してるおれがいうのもなんだけどあいつ相当なクズでロリコンだなー。
いくらおれでも弱みにつけこんでしようとは思わないぜ。」
僕は一瞬胡乱な目でコンを見たが、考え直した。
確かにこいつは変態だが犯罪者ではない。イエスロリータノータッチの
精神の持ち主だったな。
目を閉じて頭を回す。どうしたらこの状況を打破できるか。
そもそもこれは彼女も合意している契約。そこに僕という部外者が割り入っていいのか。入るのだとしたら・・・。
考えがまとまる。とりあえずはやってみるしかない。姉さんには今度帰ってきたときにちゃんと連絡をしよう。
僕は駆け出した。後ろは見ていなかったがコンはきっと僕を笑っているだろう。
何故わざわざ面倒ごとに突っ込んでいくのかと。
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